54 / 355
第三章 不夜城攻略編
第54話 奈落
しおりを挟む
落ちてゆく。急降下してゆく。
テーマパークにあるアトラクションに乗ったらこんな体験を味わえるのだろうか、なんて、モーズは一瞬足を踏み入れた事のない施設を思い浮かべてしまった。
ただの現実逃避だ。床に叩き付けられる前にオニキスの手を振り払い、どうにかしなければと内心焦るが、満面の笑みを浮かべている彼の手は溶接したかのように腕から離れない。
ドンッ! ドンッ!
そんなモーズがどうしようも出来なかったオニキスの手を、後から降り立ったニコチンが的確に撃ち抜き穴を空ける。
「いっ、ったぁ~っ!!」
穴が空き力が入らなくなったオニキスの手から、モーズの腕が離れた。
「モーズ! 手ェ伸ばせ!!」
そして解放されたモーズに向けてニコチンが左手を伸ばす。
時間差で落下した二人の距離は、どう足掻いても縮まる事はない。手を伸ばしても届く事はあり得ない。
(手を、手を伸ばす)
しかしモーズは既に教わっている。アイギスは、手足の延長線なのだと。
それに応えるように、腕を伸ばしニコチンの手を掴むイメージを浮かべた途端、アイギスは一本の触手を伸ばしてニコチンの手を取ってくれた。
その触手をぐいと引っ張り、ニコチンはモーズを自分の元まで引き上げ左腕で雑に抱えた。
「よし! これで、狙い易くなったなァ!」
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
そしてモーズという障害がなくなったや否や、ニコチンは容姿なくオニキスに白い発光体を撃ち込む。ちょっとやそっとの毒では効果がないとわかっているからか、直接身体にダメージを与えにかかっているようだ。
空中だろうと彼の腕は健在で、二発は見事オニキスの片腕と脇腹を撃ち抜いた。外した三発目は、地上階で山積みになった感染者ごと床を破壊した。硬質な菌糸を貫く事が可能な銃撃だけあり、威力がとんでもない。
しかも小さな穴をキッカケとして、床は積み上がった感染者と落下してきた瓦礫の重みに耐え切れなくなり、大穴が空いてしまう。
「うぅうっ! 酷い~っ!」
痛みに喘ぎながら、オニキスは壁から生えた菌糸に視線を向けると、その内の一つを急速に成長させて伸ばし、ニコチンの右腕を思い切り叩き付けた。
ゴキンッ!
骨が折れた音が、空に響く。
同時に持っていられなくなったニコチンの拳銃が、手から離れ宙に飛んだ。
「ニコチン!」
「……っ! 再生すっから気にすんな! それよりアイギスで落下どうにかしねぇと真っ平になるぞ俺ら! 俺は再生出来るがお前ぇは死ぬ!」
「その状態でも再生出来るのか!?」
「仮に俺を上手くクッションに出来たとして、お前ぇ青い海の中で死ぬぞ?」
「つまり君の血で中毒死になると!? え、ええと、浮かぶ、浮かぶイメージ……!」
『初っ端から分離しようと目論んでいたのかよ。アレ上級者向けだから今はやんなくていいって』
訓練場で聞いたフリーデンの教えがモーズの脳裏を過ぎる。
アイギスを分離しコントロールするのは上級者向け。ユストゥスのようにアイギスに乗って飛ぶのは至難の業だろう。モーズは決して器用な方ではない。土壇場で成功出来るとは考えない方がいい。
『何か高い所にある物を見て届かないな~、届きたいな~って感じの場面を想像して、届きたいな~って感じの場面を想像して、アイギスに手の延長線として触手を出して貰う!』
先程と同じだ。
ニコチンの手を掴んで貰ったように、何かを掴めばいい。
(掴む、掴む。手を、届ける)
例えばそう、海中の珊瑚礁のように、壁から無数に生える菌糸を。
モーズは上に向かって腕を伸ばし、更にアイギスの触手を四方へ伸ばした。
***
「間一髪、ってか」
地上階の穴を通った先、地下の床に叩き付けられる直前。
モーズの右腕から生えたアイギスの触手は、地上階の菌糸や穴の端から剥き出しになった床材を掴み、どうにか宙吊りになる事が出来ていた。
そして少しの間を置いて床に届くまで触手を伸ばし、モーズらを降ろす。
「衝撃殺せなかったろ。お前ぇ腕脱臼してねぇか? おい、モーズ」
ニコチンは雑に左腕で抱えていたモーズを床に降ろすが、モーズは起き上がれずに寝転がってしまった。
脈も呼吸もあるが、意識を失っている。恐らく穴を通過する際に、剥き出しになっていた床材に頭をぶつけてしまったのだろう。顔の側面から軽く出血をしている。
その際にフェイスマスクのベルトも千切れてしまったようで、彼の顔を覆っていた筈のマスクが消えていた。
「おいおい、マスクどこやったんだ。……いや、抽射器手放しちまった俺も人の事は言えねぇか。ユストゥスに知られたら怒鳴られちまうな」
ニコチンは肩をすくめつつ、折れた右腕を左手で掴んで雑に形を整える。
途端、右腕はバキンゴキンと音を立てた後、骨がくっ付き元通り動かせるようになった。そして床に転がしていたモーズの様子を軽く見てみると、予想通り右肩を脱臼していたので力技で腕を肩にはめた。
激痛が走った筈だが、唸り声を上げただけで依然としてモーズは起きない。これは暫く意識が戻らないだろう。
「うぅ~! 足ずっと痛い! お腹も痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 何で何で!? 何で塞がんないの!? これが悪いんだ、これが!!」
オニキスの嘆きと共に、地上の穴からガンガン、ガチャガチャと硬質な物を踏み付ける音が聞こえる。
恐らく、地上階に落としたニコチンの拳銃を蹴っている。
「おいクソ餓鬼! 俺の抽射器で何してんだ!!」
「……あぁ。わかった君が、やにかすかぁ」
ふと、オニキスの声が駄々を捏ねる子供じみた声から、冷え切った声音に変わる。
「悪い子は、死んじゃえ」
それを合図として、影に隠れていた人影が動き出す。感染者だ。しかも一人や二人ではない。
100人は、居る。
「おいおい。どう見ても村の人口越えてンだろ。どっからかき集めたんだコイツら」
村の集落、地上階と最上階で片した感染者の時点で既に村の人口を越えている。その上、更に人数が増えるとは。ニコチンは苦笑した。
実際、地下で蠢く感染者の服装は農家の作業服などではなく、軍服が多い。災害を鎮圧しに来て感染させられた軍人がここに放り込まれたのかもしれない。
腕章を付けている者も見受けられる。恐らくメディア関係者だろう。後は通行人か野次馬か。
(逃げるか? いや、厳しいな)
テーマパークの施設としてカラクリを仕込もうとしていたのだろう、城の地下は異様に広かった。
1階分、3メートル程の高さならば一っ飛びで上がれるが、ここはそれ以上の高さがあり、モーズを抱えてとなると少々厳しい。
(マスクをしていないモーズの前で毒霧は使えねぇ。とは言えこの数を相手に素手でってのはキツいな。俺単体ならどうにでもなるが、意識のないモーズを庇いきれん)
クスシがどこでどう命を落とそうが、ニコチンにとってはどうでもいい事。だが自分の手の届く範囲で亡くなれば、その責任はウミヘビに向かう。
連帯責任。
(こいつに何かあったら、関係のないアセトにまで罰が下る)
それはニコチンが最も避けたい事態。
しかし彼は今、2丁とも拳銃を手放してしまい丸腰だ。
(となると、コレか)
ニコチンは常に白衣のポケットに入れている携帯灰皿を手に取ると、金具をカチカチと弄って変形させる。
そして、手の平に収まる小さな銃へ姿を変えた。
――3丁目。
それを自分のこめかみに向けて、撃った。
テーマパークにあるアトラクションに乗ったらこんな体験を味わえるのだろうか、なんて、モーズは一瞬足を踏み入れた事のない施設を思い浮かべてしまった。
ただの現実逃避だ。床に叩き付けられる前にオニキスの手を振り払い、どうにかしなければと内心焦るが、満面の笑みを浮かべている彼の手は溶接したかのように腕から離れない。
ドンッ! ドンッ!
そんなモーズがどうしようも出来なかったオニキスの手を、後から降り立ったニコチンが的確に撃ち抜き穴を空ける。
「いっ、ったぁ~っ!!」
穴が空き力が入らなくなったオニキスの手から、モーズの腕が離れた。
「モーズ! 手ェ伸ばせ!!」
そして解放されたモーズに向けてニコチンが左手を伸ばす。
時間差で落下した二人の距離は、どう足掻いても縮まる事はない。手を伸ばしても届く事はあり得ない。
(手を、手を伸ばす)
しかしモーズは既に教わっている。アイギスは、手足の延長線なのだと。
それに応えるように、腕を伸ばしニコチンの手を掴むイメージを浮かべた途端、アイギスは一本の触手を伸ばしてニコチンの手を取ってくれた。
その触手をぐいと引っ張り、ニコチンはモーズを自分の元まで引き上げ左腕で雑に抱えた。
「よし! これで、狙い易くなったなァ!」
ドンッ! ドンッ! ドンッ!
そしてモーズという障害がなくなったや否や、ニコチンは容姿なくオニキスに白い発光体を撃ち込む。ちょっとやそっとの毒では効果がないとわかっているからか、直接身体にダメージを与えにかかっているようだ。
空中だろうと彼の腕は健在で、二発は見事オニキスの片腕と脇腹を撃ち抜いた。外した三発目は、地上階で山積みになった感染者ごと床を破壊した。硬質な菌糸を貫く事が可能な銃撃だけあり、威力がとんでもない。
しかも小さな穴をキッカケとして、床は積み上がった感染者と落下してきた瓦礫の重みに耐え切れなくなり、大穴が空いてしまう。
「うぅうっ! 酷い~っ!」
痛みに喘ぎながら、オニキスは壁から生えた菌糸に視線を向けると、その内の一つを急速に成長させて伸ばし、ニコチンの右腕を思い切り叩き付けた。
ゴキンッ!
骨が折れた音が、空に響く。
同時に持っていられなくなったニコチンの拳銃が、手から離れ宙に飛んだ。
「ニコチン!」
「……っ! 再生すっから気にすんな! それよりアイギスで落下どうにかしねぇと真っ平になるぞ俺ら! 俺は再生出来るがお前ぇは死ぬ!」
「その状態でも再生出来るのか!?」
「仮に俺を上手くクッションに出来たとして、お前ぇ青い海の中で死ぬぞ?」
「つまり君の血で中毒死になると!? え、ええと、浮かぶ、浮かぶイメージ……!」
『初っ端から分離しようと目論んでいたのかよ。アレ上級者向けだから今はやんなくていいって』
訓練場で聞いたフリーデンの教えがモーズの脳裏を過ぎる。
アイギスを分離しコントロールするのは上級者向け。ユストゥスのようにアイギスに乗って飛ぶのは至難の業だろう。モーズは決して器用な方ではない。土壇場で成功出来るとは考えない方がいい。
『何か高い所にある物を見て届かないな~、届きたいな~って感じの場面を想像して、届きたいな~って感じの場面を想像して、アイギスに手の延長線として触手を出して貰う!』
先程と同じだ。
ニコチンの手を掴んで貰ったように、何かを掴めばいい。
(掴む、掴む。手を、届ける)
例えばそう、海中の珊瑚礁のように、壁から無数に生える菌糸を。
モーズは上に向かって腕を伸ばし、更にアイギスの触手を四方へ伸ばした。
***
「間一髪、ってか」
地上階の穴を通った先、地下の床に叩き付けられる直前。
モーズの右腕から生えたアイギスの触手は、地上階の菌糸や穴の端から剥き出しになった床材を掴み、どうにか宙吊りになる事が出来ていた。
そして少しの間を置いて床に届くまで触手を伸ばし、モーズらを降ろす。
「衝撃殺せなかったろ。お前ぇ腕脱臼してねぇか? おい、モーズ」
ニコチンは雑に左腕で抱えていたモーズを床に降ろすが、モーズは起き上がれずに寝転がってしまった。
脈も呼吸もあるが、意識を失っている。恐らく穴を通過する際に、剥き出しになっていた床材に頭をぶつけてしまったのだろう。顔の側面から軽く出血をしている。
その際にフェイスマスクのベルトも千切れてしまったようで、彼の顔を覆っていた筈のマスクが消えていた。
「おいおい、マスクどこやったんだ。……いや、抽射器手放しちまった俺も人の事は言えねぇか。ユストゥスに知られたら怒鳴られちまうな」
ニコチンは肩をすくめつつ、折れた右腕を左手で掴んで雑に形を整える。
途端、右腕はバキンゴキンと音を立てた後、骨がくっ付き元通り動かせるようになった。そして床に転がしていたモーズの様子を軽く見てみると、予想通り右肩を脱臼していたので力技で腕を肩にはめた。
激痛が走った筈だが、唸り声を上げただけで依然としてモーズは起きない。これは暫く意識が戻らないだろう。
「うぅ~! 足ずっと痛い! お腹も痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 何で何で!? 何で塞がんないの!? これが悪いんだ、これが!!」
オニキスの嘆きと共に、地上の穴からガンガン、ガチャガチャと硬質な物を踏み付ける音が聞こえる。
恐らく、地上階に落としたニコチンの拳銃を蹴っている。
「おいクソ餓鬼! 俺の抽射器で何してんだ!!」
「……あぁ。わかった君が、やにかすかぁ」
ふと、オニキスの声が駄々を捏ねる子供じみた声から、冷え切った声音に変わる。
「悪い子は、死んじゃえ」
それを合図として、影に隠れていた人影が動き出す。感染者だ。しかも一人や二人ではない。
100人は、居る。
「おいおい。どう見ても村の人口越えてンだろ。どっからかき集めたんだコイツら」
村の集落、地上階と最上階で片した感染者の時点で既に村の人口を越えている。その上、更に人数が増えるとは。ニコチンは苦笑した。
実際、地下で蠢く感染者の服装は農家の作業服などではなく、軍服が多い。災害を鎮圧しに来て感染させられた軍人がここに放り込まれたのかもしれない。
腕章を付けている者も見受けられる。恐らくメディア関係者だろう。後は通行人か野次馬か。
(逃げるか? いや、厳しいな)
テーマパークの施設としてカラクリを仕込もうとしていたのだろう、城の地下は異様に広かった。
1階分、3メートル程の高さならば一っ飛びで上がれるが、ここはそれ以上の高さがあり、モーズを抱えてとなると少々厳しい。
(マスクをしていないモーズの前で毒霧は使えねぇ。とは言えこの数を相手に素手でってのはキツいな。俺単体ならどうにでもなるが、意識のないモーズを庇いきれん)
クスシがどこでどう命を落とそうが、ニコチンにとってはどうでもいい事。だが自分の手の届く範囲で亡くなれば、その責任はウミヘビに向かう。
連帯責任。
(こいつに何かあったら、関係のないアセトにまで罰が下る)
それはニコチンが最も避けたい事態。
しかし彼は今、2丁とも拳銃を手放してしまい丸腰だ。
(となると、コレか)
ニコチンは常に白衣のポケットに入れている携帯灰皿を手に取ると、金具をカチカチと弄って変形させる。
そして、手の平に収まる小さな銃へ姿を変えた。
――3丁目。
それを自分のこめかみに向けて、撃った。
10
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
「日本人」最後の花嫁 少女と富豪の二十二世紀
さんかく ひかる
SF
22世紀後半。人類は太陽系に散らばり、人口は90億人を超えた。
畜産は制限され、人々はもっぱら大豆ミートや昆虫からたんぱく質を摂取していた。
日本は前世紀からの課題だった少子化を克服し、人口1億3千万人を維持していた。
しかし日本語を話せる人間、つまり昔ながらの「日本人」は鈴木夫妻と娘のひみこ3人だけ。
鈴木一家以外の日本国民は外国からの移民。公用語は「国際共通語」。政府高官すら日本の文字は読めない。日本語が絶滅するのは時間の問題だった。
温暖化のため首都となった札幌へ、大富豪の息子アレックス・ダヤルが来日した。
彼の母は、この世界を造ったとされる天才技術者であり実業家、ラニカ・ダヤル。
一方、最後の「日本人」鈴木ひみこは、両親に捨てられてしまう。
アレックスは、捨てられた少女の保護者となった。二人は、温暖化のため首都となった札幌のホテルで暮らしはじめる。
ひみこは、自分を捨てた親を見返そうと決意した。
やがて彼女は、アレックスのサポートで国民のアイドルになっていく……。
両親はなぜ、娘を捨てたのか? 富豪と少女の関係は?
これは、最後の「日本人」少女が、天才技術者の息子と過ごした五年間の物語。
完結しています。エブリスタ・小説家になろうにも掲載してます。

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~
海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。
再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた―
これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。
史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。
不定期更新です。
SFとなっていますが、歴史物です。
小説家になろうでも掲載しています。

【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる