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第三章 不夜城攻略編
第47話 寄生菌は眠らない
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「それは、おかしい」
モーズはユストゥスの【寄生菌は眠ならない】という答えを、真っ向から否定した。
「ウミヘビ達の毒素をステージ5感染者が受けた時、彼らは人間が起こす作用と同じ挙動をして亡くなっていた」
例えば痙攣。
例えば錯乱。
例えば呼吸困難。
「進行が進んだ『珊瑚』には鎮静剤が効かないなど、毒が作用しにくいとは言え、量を調整すれば麻酔作用も再現出来るのでは?」
「確かに致死毒を注がれた『珊瑚』は人間と似たような亡くなり方をする。だが、フリッツが言っていただろう? 『珊瑚』は脳にも寄生する、と。故にある程度宿主の特徴を模倣できるのかもしれん」
「そんな、毒の効果を模倣した所で、『珊瑚』に何の益があるというのだ。無駄にエネルギーを消費するだけではないか!」
どう考えても理にかなっていない、無意味な事に思え、モーズはつい語気を強くしてしまう。
「人に擬態をしている可能性もあるが……。まぁ真に身体が反応している、という説。それ自体は否定しない」
ユストゥスは頭ごなしに否定するのではなく、意外と素直にモーズの主張も聞き入れてくれる。
「幾ら菌糸を張り巡らそうとも脳を支配しようとも、人の生体機能の完全再現など、真菌には無理な話だ。しかし感染者の身体は処分するまで、変質はしても朽ちずにいる。
それは身体が呼吸をし、酸素を確保し、血が巡り、栄養が行き渡っている証拠だ。そういう面で身体は生きている、故に毒の反応が人と同じ、と捉える事も出来る」
教授として人に勉学を教える立場に居ただけに、ユストゥスとても冷静に分析し、自分の見解を述べてくれた。
「だが! 所詮は寄生菌。本体は人間ではない。故に、ステージ5の感染者は頭が吹き飛ぼうとも動く」
その上で、ユストゥスはモーズが把握していない事柄も含めて否定をしてきた。
人間が、人間の身体を持つ者が、頭がなくとも動くなどと、彼の言っている意味がわからず、モーズは戸惑う。
「……は? いや、感染者は首を失えば亡くなるだろう? 実際、タリウムの手により首を切り落とされた者は、二度と動く事はなかった」
「あれは首を落とされて死んでいるのではない! 抽射器が触れた箇所から入った毒素が全身へ巡った事で中毒死しているのだ!」
モーズが今まで外傷死と捉えていた【処分】は、中毒死だった。
思い返せば、ニコチンの銃弾は人体の急所ではなく菌糸に当たっても毒が巡っていた。セレンに至っては抽射器を使う事さえなく、触れた対象に指先から毒素を送り中毒死に追いやっていた。断首によって絶命させていたように見えたタリウムも、その実、彼らと同じ事をしていたのだ。
ウミヘビはいついかなる時も毒素で【処分】をこなしているのだと、モーズはここで初めて思い知った。
「しかし、頭がなくとも動くなど、そのような話、聞いた事が……」
「頭部を失った感染者は凶暴性が急激に増す。故にペガサス教団のようなバイオテロ組織を警戒し、この情報は伏せてある。つい最近まで民間人であった貴様が知らないのは普通の事だ」
それに欠損の激しい感染者の身体を維持するのは流石に難しいらしく、短期間で朽ちてしまう。
なので人前に現れる事は滅多にないのだと、ユストゥスは付け足す。
「ステージ5感染者を捕える方法を模索する事は止めん。フリッツも望んでいる事だ。成功すればわかる事も多かろう。……が、下手に希望を持つのはよせ」
ユストゥスはモーズの無知を責めている訳でも嘲笑う訳でも、怒っている訳でもない。
ましてモーズの目指す〈感染者保護〉という目標を無謀だ愚行だなどと、間違っても言わない。
「人間ではなく、あくまで『珊瑚』を相手にした研究の一環として取り組むのがいいだろう」
彼はただ、現状わかっている現実をモーズに伝えてくれている。教えてくれている。
それだけだ。
(頭がなくとも、人である為に最も大切な脳がなくとも動くステージ5は、もはや、人ではない……?)
しかしその突き付けられた現実は、モーズの祈りに似た願いを叶える事は叶わないと断言してくるような、残酷な現実。
(……私があの時、聴こえた声は、幼い少女の苦痛な叫びは、悲劇に至るまでの映像は……)
全て幻だったのだろうか?
◇
目的地であるドイツ東部の片田舎は、かつては農業が盛んな長閑な土地だったのだろう、という名残が残る村だった。麦畑の跡地、トウモロコシ畑の跡地、ジャガイモ畑の跡地など、村の周囲にある広い土地を活用した跡がある。
だが三ヶ月前に一人の村人がステージ5になったのを皮切りに起きたという感染爆発によって、人の手から離れた今は荒れ果て寂れ、見る影もない。
村の中央に密集するように建てられた赤屋根民家も、風化による廃墟にはなっていないが、毒々しい菌糸が外壁一面を覆っていて、遠目から見ると村そのものが血管が浮き上がった腸のように見える。
そんな光景の中でも特に目立つのは、村の高台に建てられた《城》であった。
とんがり屋根と白い外壁を持つ、おとぎ話に出てきそうな小さめの城。
そこもまた、血の雨を浴びたかのように赤く染まっている。
(感染対策が確立した今でも起きる、感染爆発か……。幾らワクチンなどで対策をしていようとも、ステージ5感染者は直接胞子を他者に植え付ける事により、無理矢理に感染させてしまう。そうすると、抑制剤も間に合わず一気に症状が進行してしまう)
村の外れに無事車が着陸した後、降車したモーズは村の酷い有様に言葉も出なかった。
ステージ5感染者だろう、農作業服を着た村人が腹から背中から顔から菌糸を生やし、怠慢な動きで赤屋根民家が密集した住宅街を徘徊をしている。
幾度か地元の警察や国連の軍が対処を試みたものの、感染者の多さから【処分】に苦戦し、〈根〉の除去に成功する事も出来ないまま三ヶ月が過ぎ、オフィウクス・ラボに依頼が来たのだ。
その事を、モーズは車内で読んだ資料で知った。
「ふん、焼き討ちはしなかったようだな。賢い事だ」
クロロホルムを連れて下車したユストゥスが言う。
村を更地にするのは簡単である。戦車や火薬を所持している軍の方が手早く出来るだろう。
だが『珊瑚』処分で最も大切なのは〈根〉を見付け、菌床から切り離す事。
焼け野原にした際に運良く〈根〉も巻き込まれていたらいいが、取り逃がした場合〈根〉はその攻撃を学習、再び菌床を作った際に同じ手段で処分しようとしても対策されてしまう。
そして手をこまねいている内に菌床を拡大し、都市をも飲み込んでゆく。
20年前はそれによって壊滅的な被害を受けた軍隊や都市が幾つもある。故に菌床を作った〈根〉の処分は慎重に、確実に、正確に行わなくてはならない。
「ではこれより、処分作業に入る!」
ユストゥスは白衣を翻し、そう宣言した。
▼△▼
補足
生物はクラゲなど脳のない生き物でも睡眠はとります。
では単細胞の生物である真菌は? となりますが、真菌とクラゲとの違いは神経がない所。
神経のある生物には睡眠または活動低下が確認されていますが、神経のない真菌は睡眠が必要ないと判断しました。
別に監修を受けている訳でもない素人の解釈なので間違っていたらごめんなさい…
モーズはユストゥスの【寄生菌は眠ならない】という答えを、真っ向から否定した。
「ウミヘビ達の毒素をステージ5感染者が受けた時、彼らは人間が起こす作用と同じ挙動をして亡くなっていた」
例えば痙攣。
例えば錯乱。
例えば呼吸困難。
「進行が進んだ『珊瑚』には鎮静剤が効かないなど、毒が作用しにくいとは言え、量を調整すれば麻酔作用も再現出来るのでは?」
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「そんな、毒の効果を模倣した所で、『珊瑚』に何の益があるというのだ。無駄にエネルギーを消費するだけではないか!」
どう考えても理にかなっていない、無意味な事に思え、モーズはつい語気を強くしてしまう。
「人に擬態をしている可能性もあるが……。まぁ真に身体が反応している、という説。それ自体は否定しない」
ユストゥスは頭ごなしに否定するのではなく、意外と素直にモーズの主張も聞き入れてくれる。
「幾ら菌糸を張り巡らそうとも脳を支配しようとも、人の生体機能の完全再現など、真菌には無理な話だ。しかし感染者の身体は処分するまで、変質はしても朽ちずにいる。
それは身体が呼吸をし、酸素を確保し、血が巡り、栄養が行き渡っている証拠だ。そういう面で身体は生きている、故に毒の反応が人と同じ、と捉える事も出来る」
教授として人に勉学を教える立場に居ただけに、ユストゥスとても冷静に分析し、自分の見解を述べてくれた。
「だが! 所詮は寄生菌。本体は人間ではない。故に、ステージ5の感染者は頭が吹き飛ぼうとも動く」
その上で、ユストゥスはモーズが把握していない事柄も含めて否定をしてきた。
人間が、人間の身体を持つ者が、頭がなくとも動くなどと、彼の言っている意味がわからず、モーズは戸惑う。
「……は? いや、感染者は首を失えば亡くなるだろう? 実際、タリウムの手により首を切り落とされた者は、二度と動く事はなかった」
「あれは首を落とされて死んでいるのではない! 抽射器が触れた箇所から入った毒素が全身へ巡った事で中毒死しているのだ!」
モーズが今まで外傷死と捉えていた【処分】は、中毒死だった。
思い返せば、ニコチンの銃弾は人体の急所ではなく菌糸に当たっても毒が巡っていた。セレンに至っては抽射器を使う事さえなく、触れた対象に指先から毒素を送り中毒死に追いやっていた。断首によって絶命させていたように見えたタリウムも、その実、彼らと同じ事をしていたのだ。
ウミヘビはいついかなる時も毒素で【処分】をこなしているのだと、モーズはここで初めて思い知った。
「しかし、頭がなくとも動くなど、そのような話、聞いた事が……」
「頭部を失った感染者は凶暴性が急激に増す。故にペガサス教団のようなバイオテロ組織を警戒し、この情報は伏せてある。つい最近まで民間人であった貴様が知らないのは普通の事だ」
それに欠損の激しい感染者の身体を維持するのは流石に難しいらしく、短期間で朽ちてしまう。
なので人前に現れる事は滅多にないのだと、ユストゥスは付け足す。
「ステージ5感染者を捕える方法を模索する事は止めん。フリッツも望んでいる事だ。成功すればわかる事も多かろう。……が、下手に希望を持つのはよせ」
ユストゥスはモーズの無知を責めている訳でも嘲笑う訳でも、怒っている訳でもない。
ましてモーズの目指す〈感染者保護〉という目標を無謀だ愚行だなどと、間違っても言わない。
「人間ではなく、あくまで『珊瑚』を相手にした研究の一環として取り組むのがいいだろう」
彼はただ、現状わかっている現実をモーズに伝えてくれている。教えてくれている。
それだけだ。
(頭がなくとも、人である為に最も大切な脳がなくとも動くステージ5は、もはや、人ではない……?)
しかしその突き付けられた現実は、モーズの祈りに似た願いを叶える事は叶わないと断言してくるような、残酷な現実。
(……私があの時、聴こえた声は、幼い少女の苦痛な叫びは、悲劇に至るまでの映像は……)
全て幻だったのだろうか?
◇
目的地であるドイツ東部の片田舎は、かつては農業が盛んな長閑な土地だったのだろう、という名残が残る村だった。麦畑の跡地、トウモロコシ畑の跡地、ジャガイモ畑の跡地など、村の周囲にある広い土地を活用した跡がある。
だが三ヶ月前に一人の村人がステージ5になったのを皮切りに起きたという感染爆発によって、人の手から離れた今は荒れ果て寂れ、見る影もない。
村の中央に密集するように建てられた赤屋根民家も、風化による廃墟にはなっていないが、毒々しい菌糸が外壁一面を覆っていて、遠目から見ると村そのものが血管が浮き上がった腸のように見える。
そんな光景の中でも特に目立つのは、村の高台に建てられた《城》であった。
とんがり屋根と白い外壁を持つ、おとぎ話に出てきそうな小さめの城。
そこもまた、血の雨を浴びたかのように赤く染まっている。
(感染対策が確立した今でも起きる、感染爆発か……。幾らワクチンなどで対策をしていようとも、ステージ5感染者は直接胞子を他者に植え付ける事により、無理矢理に感染させてしまう。そうすると、抑制剤も間に合わず一気に症状が進行してしまう)
村の外れに無事車が着陸した後、降車したモーズは村の酷い有様に言葉も出なかった。
ステージ5感染者だろう、農作業服を着た村人が腹から背中から顔から菌糸を生やし、怠慢な動きで赤屋根民家が密集した住宅街を徘徊をしている。
幾度か地元の警察や国連の軍が対処を試みたものの、感染者の多さから【処分】に苦戦し、〈根〉の除去に成功する事も出来ないまま三ヶ月が過ぎ、オフィウクス・ラボに依頼が来たのだ。
その事を、モーズは車内で読んだ資料で知った。
「ふん、焼き討ちはしなかったようだな。賢い事だ」
クロロホルムを連れて下車したユストゥスが言う。
村を更地にするのは簡単である。戦車や火薬を所持している軍の方が手早く出来るだろう。
だが『珊瑚』処分で最も大切なのは〈根〉を見付け、菌床から切り離す事。
焼け野原にした際に運良く〈根〉も巻き込まれていたらいいが、取り逃がした場合〈根〉はその攻撃を学習、再び菌床を作った際に同じ手段で処分しようとしても対策されてしまう。
そして手をこまねいている内に菌床を拡大し、都市をも飲み込んでゆく。
20年前はそれによって壊滅的な被害を受けた軍隊や都市が幾つもある。故に菌床を作った〈根〉の処分は慎重に、確実に、正確に行わなくてはならない。
「ではこれより、処分作業に入る!」
ユストゥスは白衣を翻し、そう宣言した。
▼△▼
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生物はクラゲなど脳のない生き物でも睡眠はとります。
では単細胞の生物である真菌は? となりますが、真菌とクラゲとの違いは神経がない所。
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