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第1章 王国編
第28話 変化
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*****
「うぷっ、もう、なにも、入らない」
「ぼ、うぷ、ぼくも」
とりあえず食べられるだけ食べてしまおうということになったので、僕たちはひたすら肉を焼き、果物を腹に詰め込み、限界を超えてなお食べ続けていた。
しかしそれだけ食べても堆く積まれた食料の山は半分以上残っていた。
「あ! そうだ! ウォロロロロ」
「汚えなお前! ウプッ、ウ、ウォロロロロ」
*****
「はぁ、すっきり」
「すっきりじゃねえよ! うつったじゃねえか!」
「あははっ、まあそういうこともあるよ」
「ねえよ」
「まあそんなことはどうでもよくて、黒凰達も食べるんじゃない?って言おうと思ったんだよね。このままじゃ絶対持ちきれないし、捨てるのももったいないし」
「ああ、いい考えだな! というかドラール達はもしかして何も食べてないのか?」
「・・まあ僕の知る限りでは」
「おまえ・・、まあ俺関係ないしな」
「け、けどドラール達は不死鳥だから! 多分大丈夫だよ!」
僕はそう言ってまずはドラールを影から呼び出した。影から出てきたドラールは特に変わった様子はなく前見たときのまま変わっていなかった。と思う。
「ドラール達もご飯いる?」
「頂けるのですか?」
「もちろん!」
「いえ、確かに私たちは霊獣ですので食事はほとんどいらないんですがね、美味しいものは普通に好きですからね。デューク様は眷属には食事を与えないタイプの主人かとばかり思っておりました。」
「こいつ完全にお前らの食事の事なんて忘れてたぞ」
「そんなことは無い!! 断じてない!」
「フフッ、冗談ですよ。アール達も呼び出してあげて頂けますか? お腹を鳴らしていると思うので」
僕はすぐにアールからクールまで呼び出した。クールを呼び出す頃にはある程度魔力の流し方のコツが分かり、初めてアール達を呼び出したときよりも早く呼び出せるようになっていた。
ドラール達はもの凄い勢いで食料を消費し、気がつけば食料はちょうど袋に収まりきるほどに減っていた。
「じゃあ荷物もまとまったし出発するか」
「しゅっぱぁーつ!」
しかしその頃にはすでに日は傾きはじめていて、歩き始めてしばらくすると日が暮れてしまった。
周りにちょうどよく隠れられそうな場所が全くなかったので、適当なところが見つかるまで進むことになった。
「そういえばだけどよ、さっき木霊から何かもらったじゃんか? あれは何をもらったんだ?」
「何もらったんだろう? なんかあんまり変わった感じしないんだよね」
「さっきの様子から考えると何かしらの術だと思うんだけどなぁ」
「なんか暖かかったのは覚えてる」
「う~ん、新しい魔回路が増えてたりしないか?」
「そもそも前の形を覚えてないんだけど」
「なんで覚えてないんだよ」
「だって自分の体をそんなにまじまじと見ることないでしょ」
「見るだろ! 俺なんて魔回路の一筋一筋に名前つけてるぞ!」
「・・気持ち悪」
「おま! キモいの長いバージョン言いやがったな! キモいと気持ち悪いじゃ2文字しか変わらねえけどな、破壊力は100倍くらい違うんだぞ!」
「3文字じゃない?」
「・・うるせえ!」
「あははははっ、ドンマイドンマイ」
そんな風に話しながら歩いていると、今までは全く人の手が加わっていないような景色だったのが、気づけば畑のような景色に変わってきていた。
豊かに実った何かしらの植物が、夜風に吹かれてそよそよとたなびいている。
よく見ると花粉のようなものが飛んでいる。
「ねえドレイク、この植物って、ふぇ、ふぇ、ふぇくしょい!! はくしょい! ぶえっくしょい!!!」
くしゃみのせいでおかしなところに力が入ってしまって背中を攣りそうになってしまった。攣っていないのにじんじんしている。
「ふい~、やば、くしゃみめっちゃでた。あはは」
「・・おまえ、変化出来たのか?」
「え?」
ドレイクはそう言うと急に距離を取り出した。
「うぷっ、もう、なにも、入らない」
「ぼ、うぷ、ぼくも」
とりあえず食べられるだけ食べてしまおうということになったので、僕たちはひたすら肉を焼き、果物を腹に詰め込み、限界を超えてなお食べ続けていた。
しかしそれだけ食べても堆く積まれた食料の山は半分以上残っていた。
「あ! そうだ! ウォロロロロ」
「汚えなお前! ウプッ、ウ、ウォロロロロ」
*****
「はぁ、すっきり」
「すっきりじゃねえよ! うつったじゃねえか!」
「あははっ、まあそういうこともあるよ」
「ねえよ」
「まあそんなことはどうでもよくて、黒凰達も食べるんじゃない?って言おうと思ったんだよね。このままじゃ絶対持ちきれないし、捨てるのももったいないし」
「ああ、いい考えだな! というかドラール達はもしかして何も食べてないのか?」
「・・まあ僕の知る限りでは」
「おまえ・・、まあ俺関係ないしな」
「け、けどドラール達は不死鳥だから! 多分大丈夫だよ!」
僕はそう言ってまずはドラールを影から呼び出した。影から出てきたドラールは特に変わった様子はなく前見たときのまま変わっていなかった。と思う。
「ドラール達もご飯いる?」
「頂けるのですか?」
「もちろん!」
「いえ、確かに私たちは霊獣ですので食事はほとんどいらないんですがね、美味しいものは普通に好きですからね。デューク様は眷属には食事を与えないタイプの主人かとばかり思っておりました。」
「こいつ完全にお前らの食事の事なんて忘れてたぞ」
「そんなことは無い!! 断じてない!」
「フフッ、冗談ですよ。アール達も呼び出してあげて頂けますか? お腹を鳴らしていると思うので」
僕はすぐにアールからクールまで呼び出した。クールを呼び出す頃にはある程度魔力の流し方のコツが分かり、初めてアール達を呼び出したときよりも早く呼び出せるようになっていた。
ドラール達はもの凄い勢いで食料を消費し、気がつけば食料はちょうど袋に収まりきるほどに減っていた。
「じゃあ荷物もまとまったし出発するか」
「しゅっぱぁーつ!」
しかしその頃にはすでに日は傾きはじめていて、歩き始めてしばらくすると日が暮れてしまった。
周りにちょうどよく隠れられそうな場所が全くなかったので、適当なところが見つかるまで進むことになった。
「そういえばだけどよ、さっき木霊から何かもらったじゃんか? あれは何をもらったんだ?」
「何もらったんだろう? なんかあんまり変わった感じしないんだよね」
「さっきの様子から考えると何かしらの術だと思うんだけどなぁ」
「なんか暖かかったのは覚えてる」
「う~ん、新しい魔回路が増えてたりしないか?」
「そもそも前の形を覚えてないんだけど」
「なんで覚えてないんだよ」
「だって自分の体をそんなにまじまじと見ることないでしょ」
「見るだろ! 俺なんて魔回路の一筋一筋に名前つけてるぞ!」
「・・気持ち悪」
「おま! キモいの長いバージョン言いやがったな! キモいと気持ち悪いじゃ2文字しか変わらねえけどな、破壊力は100倍くらい違うんだぞ!」
「3文字じゃない?」
「・・うるせえ!」
「あははははっ、ドンマイドンマイ」
そんな風に話しながら歩いていると、今までは全く人の手が加わっていないような景色だったのが、気づけば畑のような景色に変わってきていた。
豊かに実った何かしらの植物が、夜風に吹かれてそよそよとたなびいている。
よく見ると花粉のようなものが飛んでいる。
「ねえドレイク、この植物って、ふぇ、ふぇ、ふぇくしょい!! はくしょい! ぶえっくしょい!!!」
くしゃみのせいでおかしなところに力が入ってしまって背中を攣りそうになってしまった。攣っていないのにじんじんしている。
「ふい~、やば、くしゃみめっちゃでた。あはは」
「・・おまえ、変化出来たのか?」
「え?」
ドレイクはそう言うと急に距離を取り出した。
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