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第1章 王国編
第11話 検討
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俺はデュークに絡まった糸を急いでほどいた
案の定、デュークの体からはガプルの匂いがプンプンしていた
これだけ匂いをまき散らしていたら捕まるのも無理はない
しかし捕まったのがただの蜘蛛だったのは不幸中の幸いだな
もしもギガントファン(さっき家を壊したやつ)なんかに見つかってたらいくらアースドラゴンとは言え子供の鱗じゃかみ砕かれてた可能性があるからな
ドレイクは匂いを消すための呪文を唱え、デュークを担いで家に向かった
学者だった頃よりはよほど運動しているが、それでも自分以上の重量を担ぎながら長距離を移動するのは2徹した後の体にはきつかった
今思えば普通に魔法で運べば良かったのだが、2徹したせいで頭が極端に悪くなっていたんだろう
バカ真面目におんぶして運んでしまった
そして家に、いや元々家があったところに着いた俺は、最初は睡眠不足で場所を間違えたのかと思ったが、よく見ればそこら一帯には木片や布袋が散乱していた
すぐ近くにはマンドラゴラらしき輪切りの植物も散乱していた
2徹後の動きの悪い頭でどうにかこうにか考えた結果、結界を張り直していなかったせいで、ガプルの匂いをプンプンさせたどこかのお馬鹿なドラゴンの匂いを隠蔽しきれず、魔物をはじくことも出来なかったせいで家が解体されちゃったのかなという結論にいたった
「・・・どぉしてだよぉぉぉ!!!何でこんなことばっかり起きるんだよぉぉ!!!」
――5分後
ひとしきり叫び終わるとタイミング良く?デュークが起きてきた
「あれ、なんでこんなところにいるんだ? 蜘蛛に捕まって、それでその後・・」
少々の沈黙の後デュークは俺に気がついたようだ
「あ、ドレイクが助けてくれたの?」
「俺が行ったときにはもう蜘蛛は煤になってたぞ」
「え?じゃあだれが・・」
「お前がブレスで倒したんじゃないのか?」
「え?ブレス?そんなの使えるわけ無いじゃん」
「はぁ?そんな訳あるかよ、ドラゴンなのにブレスがはけないわけ無いだろう」
「知らないよそんなの!だけど僕はブレスを出した記憶なんてないよ!」
「ドラゴンのブレスは魔法とは別物だから生まれついて吐けるはずだぞ?」
「・・だけど知らないの!」
「まあいいけど」
「あ!そんなことより大変なんだ!」
「ああ、多分それならもう大丈夫だぞ」
「なんで?」
「もう匂いとっておいたから」
「なんの?」
「ガプルの」
「ん?」
「赤い木の実食べただろ?」
「うん」
「あれはな、ガプルっていってな、草食獣がバカみたいに好む匂いを出すんだよ
だから食べた後はしっかり匂いを消さないと、襲われるんだ。だからまあ普通の神経してたら匂いの消し方も知らずにあんな物を食べようとはしないだろうな」
「そんなこと知るかぁぁぁぁ!!!こっちは5日間ほぼ飲まず食わずだったんだよ!しょうが無いでしょうが!」
「あっはっは、まあそうだよな、次からは気をつけろよ」
デュークはなんだかむず痒いようなくすぐったいような気持ちがした
「そんなことより今は家も畑もなくなっちまったことの方が問題なんだよ」
「そういえばなんでドレイクはこんなところに住んでるの?」
「いや、まあいろいろあったんだよ」
「いろいろあったのか・・、なるほどね」
「まあそんなことは今いいんだって、けどそうだな・・、うん久しぶりに町に行くのも悪くない手だな」
「へ?」
何かしらの理由で人のいるところには行きたくないのだろうと思っていたデュークは思わず間抜けな声を出してしまった
しかし実際のところ、ドレイクはロワール帝国の権力や金にとりつかれたジジイどもが嫌いなだけで、ついでにそのジジイどもに目をつけられているだけで、人が嫌いだとかコミュ障だとかそういうわけではないのだ
そういうわけで、森に接する多くの国の内の一つで反ロワール的な傾向のある王家によって治められているヴィンチ王国に行き、いろいろと調達することにした
「よーし、そうと決まれば善は急げだ!もう行くぞ!」
「ま、待ってよ!その国はドラゴンが入っても平気なの?」
「ああ、ダイジョブダイジョブ、なんとかなるよ」
「なんかすごい嘘くさいんだけど」
「まあ多分平気だよ」
「ほんとに?」
「まあここにこのまま居るよりはいいんじゃないか?」
「まあ、たしかに」
「それにな、ヴィンチには少しだけ知り合いがいるんだ」
ドレイクはニヤッと笑いながらそう言うとスタスタ歩き始めた
案の定、デュークの体からはガプルの匂いがプンプンしていた
これだけ匂いをまき散らしていたら捕まるのも無理はない
しかし捕まったのがただの蜘蛛だったのは不幸中の幸いだな
もしもギガントファン(さっき家を壊したやつ)なんかに見つかってたらいくらアースドラゴンとは言え子供の鱗じゃかみ砕かれてた可能性があるからな
ドレイクは匂いを消すための呪文を唱え、デュークを担いで家に向かった
学者だった頃よりはよほど運動しているが、それでも自分以上の重量を担ぎながら長距離を移動するのは2徹した後の体にはきつかった
今思えば普通に魔法で運べば良かったのだが、2徹したせいで頭が極端に悪くなっていたんだろう
バカ真面目におんぶして運んでしまった
そして家に、いや元々家があったところに着いた俺は、最初は睡眠不足で場所を間違えたのかと思ったが、よく見ればそこら一帯には木片や布袋が散乱していた
すぐ近くにはマンドラゴラらしき輪切りの植物も散乱していた
2徹後の動きの悪い頭でどうにかこうにか考えた結果、結界を張り直していなかったせいで、ガプルの匂いをプンプンさせたどこかのお馬鹿なドラゴンの匂いを隠蔽しきれず、魔物をはじくことも出来なかったせいで家が解体されちゃったのかなという結論にいたった
「・・・どぉしてだよぉぉぉ!!!何でこんなことばっかり起きるんだよぉぉ!!!」
――5分後
ひとしきり叫び終わるとタイミング良く?デュークが起きてきた
「あれ、なんでこんなところにいるんだ? 蜘蛛に捕まって、それでその後・・」
少々の沈黙の後デュークは俺に気がついたようだ
「あ、ドレイクが助けてくれたの?」
「俺が行ったときにはもう蜘蛛は煤になってたぞ」
「え?じゃあだれが・・」
「お前がブレスで倒したんじゃないのか?」
「え?ブレス?そんなの使えるわけ無いじゃん」
「はぁ?そんな訳あるかよ、ドラゴンなのにブレスがはけないわけ無いだろう」
「知らないよそんなの!だけど僕はブレスを出した記憶なんてないよ!」
「ドラゴンのブレスは魔法とは別物だから生まれついて吐けるはずだぞ?」
「・・だけど知らないの!」
「まあいいけど」
「あ!そんなことより大変なんだ!」
「ああ、多分それならもう大丈夫だぞ」
「なんで?」
「もう匂いとっておいたから」
「なんの?」
「ガプルの」
「ん?」
「赤い木の実食べただろ?」
「うん」
「あれはな、ガプルっていってな、草食獣がバカみたいに好む匂いを出すんだよ
だから食べた後はしっかり匂いを消さないと、襲われるんだ。だからまあ普通の神経してたら匂いの消し方も知らずにあんな物を食べようとはしないだろうな」
「そんなこと知るかぁぁぁぁ!!!こっちは5日間ほぼ飲まず食わずだったんだよ!しょうが無いでしょうが!」
「あっはっは、まあそうだよな、次からは気をつけろよ」
デュークはなんだかむず痒いようなくすぐったいような気持ちがした
「そんなことより今は家も畑もなくなっちまったことの方が問題なんだよ」
「そういえばなんでドレイクはこんなところに住んでるの?」
「いや、まあいろいろあったんだよ」
「いろいろあったのか・・、なるほどね」
「まあそんなことは今いいんだって、けどそうだな・・、うん久しぶりに町に行くのも悪くない手だな」
「へ?」
何かしらの理由で人のいるところには行きたくないのだろうと思っていたデュークは思わず間抜けな声を出してしまった
しかし実際のところ、ドレイクはロワール帝国の権力や金にとりつかれたジジイどもが嫌いなだけで、ついでにそのジジイどもに目をつけられているだけで、人が嫌いだとかコミュ障だとかそういうわけではないのだ
そういうわけで、森に接する多くの国の内の一つで反ロワール的な傾向のある王家によって治められているヴィンチ王国に行き、いろいろと調達することにした
「よーし、そうと決まれば善は急げだ!もう行くぞ!」
「ま、待ってよ!その国はドラゴンが入っても平気なの?」
「ああ、ダイジョブダイジョブ、なんとかなるよ」
「なんかすごい嘘くさいんだけど」
「まあ多分平気だよ」
「ほんとに?」
「まあここにこのまま居るよりはいいんじゃないか?」
「まあ、たしかに」
「それにな、ヴィンチには少しだけ知り合いがいるんだ」
ドレイクはニヤッと笑いながらそう言うとスタスタ歩き始めた
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