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暗黙 了

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ジャガイモとインゲン

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またか、また出た。かーちゃんの料理ジャガイモとインゲンを油で炒め砂糖と醤油で味付けしたおかず。はっきり言ってまずい。何故か週一で、でてくる。肉屋のコロッケの時はおかわりするけど、この料理は不味すぎて俺は嫌いだった。兄貴は働き始めて3ヶ月、水道屋で働かせてもらっている。一日七千円。兄貴はすごいな。兄貴はバイクの免許を取り50のバイクを買うんだと言っていた。家には8万入れてくれているらしい。俺も中学生卒業したらすぐ、兄貴の会社で使ってもらうことになっている。親方がいい人で、弟も卒業したら連れてこいと言ってくれた。早く卒業して、俺も働きたい。兄貴の給料日、「おかえり」かーちゃんが言うと、不機嫌そうに茶の間の畳に座った。手には何か箱をらしき物が、入った袋をもっていた。弟はお菓子を食べながらテレビを見ている。かーちゃんは、晩飯の支度をしている。かーちゃんは、8時から5時まで、近くのプラスチック工場で長年つとめている。兄貴機嫌わるそうだな、何か仕事であったのかな、俺は漫画読むふりをしながら、兄貴をみていた。兄貴は「チャリで会社いくのつかれたから、もうやめた」とデカイ声でいった。みんなびっくりした。やはり何かあったんだ。俺はそう思った。兄貴は、袋からローラスケートの箱をとりだして、これ履いて仕事に行くと言った。弟が、あー、ぎゃーと叫んだ。食べていた安いお菓子の袋を畳に捨てて、兄貴のそばにかけよった。ローラースケート。流行ってるんだよな。弟の団地の友達はみんな持って遊んでる。兄貴は、あ、これは兄ちゃんのだからといった。弟は泣きそうになって、ローラースケートの箱を見ていた。兄貴は、大笑いしながら、弟にそれを手渡した。俺のお下がりの大きめなTシャツで、涙を拭いて、兄貴を何度もたたいた。兄貴は、大笑いしてる。俺も笑った。かーちゃんをみたら、笑ってなかった。俺も早く働きたい。そう心から思った。学校の奴らは、帰ったらゲーセンに行っていた。俺は誘われても行かなかった。次の日俺はかーちゃんに、修学旅行行かないといった、「なんでいかないの?積み立て学校でしてるのに」と叱られた。「同じクラスのメンバーと気が合わないし、京都にいきたくないから。」そうこたえた、2泊3日旅館は私服でいいらしい。俺にできる精一杯のことだった。かーちゃんは、この頃疲れてる、晩飯食べたらすぐ寝るし。修学旅行行かない人は積み立てが、もどってくる。俺はその金をかーちゃんに、渡したかった。働けば旅行もいけるし、今行かなくてもいいと思った。小学生の弟には、修学旅行も、高校も行かせてやりたい。俺は卒業が待ち遠しかった。
猫達に、べったりくつつかれながら、俺は夢をみていたのかな?あと三年で50になる親父が遠い昔の夢を見ていた。もしかしたら、今が夢なのか?できれば今が夢であって欲しい。ジャガイモとインゲンのクソまずいおかずが、今テーブルの上にあればいいのに。
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