28 / 29
お願いしにいってみる
しおりを挟むエルザさんに落ち着いてもらった後、もう少しこの方針でいいのか確認することにした。
「エルザさん、そういうわけで私はガルダシャーン帝国の帝都へ行きたいのですが、以前エルザさんに教えていただいたようにここからガルダシャーンまで、女性一人で行くのは難しく、商隊に混ぜてもらうか、今回のように用事があってこられたガルダシャーン帝国の方に同行するかしか方法がないと思ってます。
今回の後宮入りにたとえば、後宮に入らず、同行するだけ、というのは無理と思いますか?」
「どうでしょう。そこはガルダシャーンの方に聞いてみないとわからないですね」
「やっぱり、そうですよね。では、まずは同行するだけをお願いしてみます。
それが無理であれば、後宮入りもやむなしで……。
それか、れいかちゃんは後宮入りを望んでいましたので、彼女のお世話係の一人として同行させてもらうという案もどうですかね」
「まぁ!レイカ様は後宮入りを望まれているのですか?!」
エルザさんは信じられないとばかりに驚いて目を見開いている。
「そうなんです。彼女なりに考えがあるのだと思うんですが……。
お世話係のアイラちゃんもれいかちゃんにお世話係として同行すると話していました」
「まぁ……!
確かに、アイラはレイカ様をお慕いしていることはよくわかっていましたが。
そうですか、同行すると……」
エルザさんはアイラちゃんが同行するときいてさらに驚いていた。
そうして、二人で話し合って、ひとまず神殿長にお伺いをたててみることにした。
私の希望としては、第一はただの同行者として帝都へ同行させてもらう。帝都についた後は現地の水の精霊の神殿分殿に滞在する。
第二希望はれいかちゃんのお世話係その二として同行する。
最終希望として後宮入りの水巫女としていく。
「ということで、神殿長、私の希望は通りますでしょうか?」
いきなり訪ねて行った神殿長は嫌な顔もせずに私の話をきいてくれた。
エルザさんからは女神様の使命のために帝都へ行きたいと付け加えたほうがよいと言われたので、それについても神殿長に説明した。
神殿長はニコニコとして私の話を最後まで聞いてくれたあと、やはりすべてガルダシャーンからの使者に聞いてみないとわからない、とのことだった。
ただ、ガルダシャーン側がOKをだしたならば、神殿としてはとめることはない、とのことだった。
それもそうか……。
ということで、今度はガルダシャーンからの使者の代表を探して聞いてみることにした。
神殿長に確認すると、使者の団体さんは人数が多いので代表者はじめ位上めの方たちは神殿内の客間に、その他大勢の皆様は街内の宿にわかれて滞在しているとのことだった。
確認するならば代表者とのことで、神殿長の呼んでくれた神殿の女官さんに連れられて代表者の部屋へとむかった。
ガルダシャーンの使者が滞在している部屋は私達水巫女の居住している部屋がある建物とは本殿をはさんで逆側にあった。
同行してくれているエルザさんの話では、宿がとれなかった旅人や神殿のお参りのためだけにここまできた旅人のための部屋が用意してある建物だとか。
一番奥まった部屋の扉を女官さんがノックしてくれると入室の許可があったので木の扉をくぐって部屋へはいる。
部屋の中には私達の部屋と同様のシンプルな机や椅子がならべられていて、その机に3人の男性がついていた。
「これは水巫女様。私どもに何か?」
一番奥に座っていた、もっとも年齢が高そうな男性が笑みを浮かべて話しかけてきた。
建物の中にはいったからか、街中でみたときは全員顔に布をまきつけていたけれど、今は顔をさらしている。
話しかけてきた男性は黒髪に一筋グレーが混じっていて、ナイスミドル?シニア?
笑みをたたえた目元の皺も味があって素敵。
彫の深い濃い顔で、かなりダンディでかっこいいおじさまだった。
「あの、ガルダシャーン帝国からの代表の方に伺いたいことがあるのですが……」
話しやすそうな笑顔にちょっと安心して切り出すと、どうぞ、聞いてくださいと促された。
どうやらこの男性が代表者のよう。
「あの……。
こちらへは水巫女を皇太子様の後宮入りにお連れするために来られたとわかっているのですが、私も諸事情でガルダシャーンの帝都の水の精霊の神殿へ行く必要がありまして。
できたら、帝都へ戻られるときに同行させていただけないかとお願いにまいりました」
言ってて図々しいお願いのような気がしてきて徐々に声が小さくなってきてしまった。
「ふむ……。まぁ、あなた一人ぐらいなら馬車へのせても特に負担には……」
おお!許可がでる?!と喜んだところに遮る声があった。
「イサム様、お待ちください」
かけられた声のほうへ顔をむけると、街に出かけたときにおこった馬ラクダにヴェールをはみはみされた事件のときに声をかけてきたベビーフェイスマッチョな彼が待ったをかけていた。
10
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
皇帝は虐げられた身代わり妃の瞳に溺れる
えくれあ
恋愛
丞相の娘として生まれながら、蔡 重華は生まれ持った髪の色によりそれを認められず使用人のような扱いを受けて育った。
一方、母違いの妹である蔡 鈴麗は父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った。そんな鈴麗は、破格の待遇での皇帝への輿入れが決まる。
しかし、わがまま放題で育った鈴麗は輿入れ当日、後先を考えることなく逃げ出してしまった。困った父は、こんな時だけ重華を娘扱いし、鈴麗が見つかるまで身代わりを務めるように命じる。
皇帝である李 晧月は、後宮の妃嬪たちに全く興味を示さないことで有名だ。きっと重華にも興味は示さず、身代わりだと気づかれることなくやり過ごせると思っていたのだが……

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる