水巫女はハレムで溺れる

愛月なみ

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ガルダシャーンからの用件(2)

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 ガルダシャーン帝国からの要件とは皇太子の後宮に水巫女を最低一人、おさめてほしいという依頼だった。

 みんな当然びっくりしていたけれど、皇太子さまと水の精霊の力をもった女性と出会わせる機会を増やすため、に集めているだけのようで、1年間後宮にいればその後は希望すれば辞退して後宮からでることも可能だとか。

 それだったら、志願してこの人たちにガルダシャーン帝国の帝都へつれていってもらうのも手かなぁ。

 女性一人で砂漠をこえてガルダシャーン帝国へ行くなんて無謀だし。

 それなら、お迎えっぽい馬車もあったので、それにのって連れて行ってもらうほうがいいかも……。

 一夫多妻の帝国皇帝や皇太子はノーサンキューだけど、帝都までの送迎はウェルカム!!

 1年間後宮にいて、その間に女神様のお願いもかなえて、1年後にははれてフリーに私の幸せを探す!!というのはどうだろう。

 とりあえず、エルザさんにも相談してみようかなぁ。

 私が一人で色々考えている間にも、まわりの水巫女もお互い顔を見合わせてざわざわ話し合っている。


「それでは、急に決められるものでもないでしょうか。
返答は少しまつと言われていますので、2日後の朝までに希望者は私まで連絡をください。

 2日後のお昼にまたここでお話をいたしましょう。
そのときに、希望者がいなければ申し訳ありませんが全員でお話合いとさせてください。
それでは、解散いたします」

 神殿長の解散でざわざわと話しながら水巫女たちが部屋へ戻っていく。

 少し前のほうにはれいかちゃんがみえた。
話しかけようとしたら端によっていたお世話係のアイラちゃんがれいかちゃんに走り寄ってきた。

「レイカ様!!とんでもないお話でしたね!!」

 アイラちゃんの言葉にれいかちゃんは頷いた。

「そうね、とんでもない話だったけど、私にとってはかなりいい話よ」

「「え?」」

 思わず、驚くアイラちゃんの声にかぶせて私も驚きの声をあげてしまった。

 その声で気づいたのか、れいかちゃんとアイラちゃんが振り返った。

「あんなさん!」

「あ、ごめん。れいかちゃんたちの話が聞こえちゃって……」

「いいんですよ!
それより、すごいチャンスだと思いません?!
この世界で一番大きな国の皇太子の後宮ですよ?
皇太子ってことは、次の皇帝ってことですよね?!
玉の輿ですよ!!」

 れいかちゃんが熱く語りだして、私にせまりよってくる。

「れいかちゃん!落ち着いて!!」

 あまりの迫力に私もアイラちゃんも若干引き気味。

「あ、ごめんなさい。
でも、これはすごいチャンスだと思いません?
私が一番位の高い女子になれるかもしれないんですよ?
っていうか、なってみせます!!
わたし、後宮いきます!!」

 拳をにぎって訴えてくるれいかちゃんに、頷くことしかできない。

「エルザさんに話をきいたときから、一番大きな国のガルダシャーン帝国が気になっていたんですよ。
 でも、砂漠こえなくちゃいけないし、大変だなって思ってたんですけど……
むこうからお迎えにきてくれるなんて!!
 これは絶対、運命だと思うんです!!」

 なんと、れいかちゃんもエルザさんに話をきいたときから、ガルダシャーンに興味をもっていたとは。
 そういえば、結構くいついて質問してたもんなぁ。

「レイカ様……
 アクアナ神殿からでていかれるのですか?
私、レイカ様のお世話をさせていただくことを使命と思っておりましたのに……」

 レイカちゃん大好きアイラちゃんがれいかちゃんの話をきいて横でウルウルしだした。

「ん~~。これは私にとってビッグチャンスだし~。
でも、全く知らない人ばかりっていうのも嫌だなー

 あ!!アイラちゃんも一緒にガルダシャーンに行かない?
私のお世話係として!!」

 アイラちゃんの涙にちょっと勢いをなくしたれいかちゃんだけど、いいことを思いついた!とばかりに同行を提案している。

 え……、でも、アイラちゃんにもご家族とかここにいるんじゃ……?

「私も……?
ありがとうございます!!
私も同行させていただきます!! 私はレイカ様の第一のお世話係です!!」

 キラキラした瞳でアイラちゃんが喜んでいる。

「え!? アイラちゃん、大丈夫なの?!ご家族とかは……?」

「はい!私は孤児でこの神殿に引き取っていただきましたので、独り身ですからレイカ様のいかれるところが私の居場所です!!」

 驚く私の目の前で、レイカちゃんとアイラちゃん、よかったー!一緒だね~!なんて言いながらニコニコしている。

 ぱっと決められる二人の決断力がうらやましい……
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