水巫女はハレムで溺れる

愛月なみ

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ガルダシャーン帝国って?

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「アンナ様、大丈夫ですか?」

 真っ赤になった顔が見えたのか、心配そうなエルザさんの声がかかった。

「熱かったですか?
 窓を少しあけましょうか」

「大丈夫!大丈夫です!!」

 周りをみると、れいかちゃんにアイラちゃんまでこちらを見ている。
恥ずかしい!!

 精霊様、精霊様、今すぐ両手をひんやりさせてください。お願いします。

 スムーズにお願いできるようになった精霊様にお願いして両手を冷やしてそれを両頬にあてる。

 あ~。気持ちいい。

「それで、さっきの話だとこのあたりだとこのガルダシャーン帝国が一番大きくて安定してるってことだよね?」

 れいかちゃんが話を引き戻してくれた。ありがたい。

 そうだった、さっきはガルダシャーン帝国の話をきいていたんだった。
それでついでに思い出してしまったんだった。

「そうですね、他の国も安定していますが、大きいといえばガルダシャーン帝国になるかと思います」

「そのガルダシャーン帝国にはこのアクアナ神殿と同じような水巫女がいられる神殿とかはないの?」

 れいかちゃんもガルダシャーンに興味があるのか、がんがん質問していく。

「ございます。このアクアナ神殿が本殿ですから一番大きく、仕える人員も多いのですが、ガルダシャーン帝国にも一応分殿がございます。
 ですが、そちらはあくまでも分殿ですので、水巫女様は常駐はされていないです」

「じゃあ、その神殿に私がいけば、水巫女なんだから一番えらくなるの?」

 この質問にはエルザさんも一瞬つまっていた。
そういえば、前にれいかちゃんと話していたとき、「自分が主人公」とか言っていたような気もする。
 なるほど、この神殿には私達をのぞいても20人の水巫女がいるらしいから、その他大勢になってしまうのがいやだったのかもなぁ。
 自分の欲望に忠実なれいかちゃん、嫌いじゃない。
 むしろ、応援したいかも。

「えらい……がどのような点を指しているかで難しいのですが、現地には分殿長がいらっしゃいますので、組織の管理上は分殿長が一番偉くなるかとは思います」

「えー。そうなんだー」

 組織管理上のトップは別にいることがわかると明らかにがっかりしたようなれいかちゃん。
 まぁ、神殿長がいるのだから分殿長がいてもおかしくはないかもなぁ。

「あ!でも、そこには水巫女がいないんだったら、オンリーワンにはなれるわけか!
それもいいかも!」

 常駐している水巫女がいないことを思い出したれいかちゃんはぱぁっと明るい顔をした。

「でもエルザさん。地図をみてみるとこことガルダシャーンの間にはとても広い砂漠がひろがっているようですけど、行く手段とかあるんですか?」

 飛行機に車、電車などないだろうと思った私の素朴な疑問にれいかちゃんもはっ!と気づいたような表情をした。

「商人が行き来しますので道はありますし、途中に街もありますから行くことはできますが、長旅になりますし、まず女性一人では無理です。
 このアクアナ神殿から用事があるときは商人のキャラバンに同行させてもらうか、先方から依頼があって警護の軍人に迎えにきてもらって行くことが多いです」

 なるほど……。いけなくはないけど、一人じゃ無理、と。

「え~~、大変そう!! まさか、歩きでいくの?」

 れいかちゃんもその道のりの大変さに嫌そうな顔をしている。

「そうですね、商人の馬車に空きがあれば乗せてもらえますし、依頼をうけた場合は大体、馬車を用意して迎えにきてくれますね」

「ここからガルダシャーンまで何日ぐらいかかるんですか?」

 広さが皆目見当がつかない。

「そうですね。馬車にのせてもらって急いで30日ぐらいとかではないでしょうか」

「「30日!!」」


 私とれいかちゃんの驚きの声があがった。

 飛行機で外国にも大体24時間、乗り換えしても2日ぐらいで到着できる現代からしたら30日ってすごいわ!!
 いや、でも、急いで30日っていってたから、なれない馬車だからゆっくりしてもらったらそれい以上……。

 これは気合をいれないと、行こう!!と思えないな……。

 でも、女神様のお願いだからガルダシャーン帝国にはいかないといけない……。

 私とれいかちゃん、二人ともこの世界の交通事情をしってずーーんと沈んだ顔になった。



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