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アクアナ神殿(3)
しおりを挟むその後も神殿長は色々と説明をしてくれたけれど、まとめてみるとここには私たちのように異世界からきた巫女は3人。
もともとこの世界出身の巫女が17人。
結構な数の巫女さんがこの神殿に部屋をあたえてもらって住んでいるらしい。
そして、それぞれが依頼を受けたり、または水の精霊から指示をうけて水を呼びにいったり、水を清めたりしているらしい。
水を呼ぶとか、清めるとか……、どうやってやるの?と思ったけど、それは私の表情でわかったのか、神殿長の説明によると私たちがでてきた泉で精霊様と練習するらしい。
精霊とかなんだかちょっと楽しそう!
とにかく私たちは練習して早く精霊様の力を貸してもらえるようになることが一番大切なお仕事らしい。
それ以外は衣食住すべてこの神殿でみてくれるそうな。
じゃあ、一生この神殿なのかと思えばそうでもなく、結婚して神殿から離れることもできるそう。
あまりにも巫女が減るようであれば引き留められることもあるそうだけど、大体は大丈夫とのこと。
ふむ……。
女神様のお話では私は二度の界渡りをしているからもうこれ以上行き来できないらしいので、この世界で生きていくしかない。
まだこの世界のことわからないけれど、とにかく衣食住困らないし、自分が必要とされているようだし、将来自由にできる権利もある。
なかなか幸せな異世界転移だと思う。
まずはできることを頑張ろう!
心の中で神殿長の話をまとめて、自分に気合をいれていると、神殿長から今度は自己紹介をしてほしいと言われた。
ここは年長からいくべきかな。
「私からします。
私は水下杏菜といいます。杏菜が名前です」
職業とか、この世界では意味がないのでなんとも端的な名前だけの自己紹介になった……。
「私は清水れいか。高校生」
セーラー服の彼女はやはり高校生だった。
とっても無表情なのが気になる……。
やっぱり、異世界に突然きてしまってショックだったのかも。
私もショックではあるけれど、それはもうしょうがないと思えてもしまう諦めのよい大人。
でも、彼女はまだ高校生。
やりたいこともたくさんあっただろう。
私で力になれるなら、話聞いたりしよう!
------
それから、私は早くなじめるように私専属のお世話係となったエルザさんにこの世界のこと、精霊のことなどたくさん質問して教えてもらった。
ここアクアナ国は水の神殿の総本山がある場所でそのおかげで水がとても豊富なこと。
ここから東へいくと砂漠が広がっているらしい。
その砂漠の向こうにはガルダシャーン帝国という大きな国があり、その帝国のまわりにここアクアナのような小国がちらばっている。
ガルダシャーンという国名を聞いたときに思わずびくっと体が揺れてしまって、エルザさんに驚かれた。
その帝国こそ、この世界にくるときに会った、女神様こと水の精霊の女王様からお願いされた場所だった。
その帝国の城下町に井戸をひいてほしいと言っていた。
目当ての場所がこんなに早くわかってよかった!
エルザさんに女神様からのお願いについて説明をすると、瞳をキラキラさせて跪かれてしまった。
女神様からのお願いは神託として極稀に降りてくることがあるけれど、ここ十年以上はおきていないので、とても名誉なことだという。
ただ、その神託を叶えるためにもとにかく私が精霊様にお願いして力をかりることができるようにならなくてはいけないので、その練習をしっかりしましょう!ということになった。
練習は最初に私がつかっていた泉のまわりで行う。
水に手をつけたり、体をつけたりして水を感じながらその中に水本体と違う力を感じることができるように集中する。
……といわれたけど。
はっきり言って、全くわからない。
れいかちゃんも時々泉で一緒になるけれど、彼女もつかめないようで困った顔をしたりイライラしたりしている。
これは……OJTが必要だ!
実際に精霊の力をつかうことができる巫女のその様子をみせてもらいたい!
1週間ほど自分で試行錯誤したけれど、ちっともわからないのでエルザさんに他の巫女さんに会って教えてもらえないかとお願いしてみた。
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