4 / 29
夢の中の泉の出会い(3)
しおりを挟む
「やっぱり違う?」
うかがうように少し背をかがめて顔を覗きこまれて、思わぬ至近距離のきりっとした瞳が鋭くてドキリとする。
なんか色々この夢は大変。
「あの、一応誤解がないように確認させてもらいたいんですけど……
娼館って、あの女性が男性のお相手をするそういう場所のことですよね」
軽い頷きで肯定がかえってくるとなんだか恥ずかしくていたたまれなくなった。
「それなら、違います。
私、そういうのとは関係なく……
裸で驚いたとは思うんですが、家にいたはずがほんとにいつのまにやらこんなところに…… っくしゅ!!」
説明していたのに体がひえたのか盛大にくしゃみをしてしまった。
まわりに目をむけると木々の間からみえる空が少しピンク色になってきている。
夢なのに日が暮れて、下がる気温にあわせてくしゃみするなんて、この夢すごい!!
今までみたことのないようなリアルな夢に驚いている私の腕をつかんだままだった彼は隣に立つとぐっと肩をだいてきた。
思わぬ急接近にかっと顔に熱があがった。
裸に一枚布をまいただけの姿でこんなに男の人と接近するなんて初めてで、いい年して恥ずかしいけれど、聞こえてしまうんじゃないかと心配になるぐらい心臓の音がうるさかった。
「俺、体温高いから近くで触れてたら寒くないんじゃない?」
彼の言葉に少し気持ちを落ち着けてみると、確かに彼の手がつかんでいる肩がほんのり温かい。
少しだけ触れ合っている体の右側もじんわりと熱を感じる。
ずいぶん体温の高い人なんだな。
くしゃみをした私のことを気遣っての対応だったのに真っ赤になった自分に今度は恥ずかしくなる。
「あのさ、何があったか、もう少し聞いてもいい? 俺も助けになれるかもしれないし」
彼のマントにくるまった私にそう聞いてきた。
それはそうだろう。 こんな場所で裸でいたんだもの、不思議に思わないはずはない。
「座って話そうか」
彼のうながしで二人で木々に隠れるように一際大きな木の根元に座った。
彼の手はまだ私の肩にまわされたまま。
いやでも、体はぴったりくっついて、どうみてもラブラブカップルがイチャイチャしているようにしか見えない体勢。
やばい!!
これは恥ずかしい!!
でも、彼のイケメンフェイスをみなくてよいのは少しいいかもしれない。
これで顔が見えてたら、恥ずかしすぎる。
「何があったか……といっても、私もほんとによくわかないんです」
ほてった顔を見られたくなくて、少しうつむき加減で状況を説明する。
「自分の家のお風呂につかっていたんです。
で、お湯に潜って、浮き上がったらここにでてたんです」
端的に状況を説明したつもりだったけれど、自分でも何言ってんのと思う。
……沈黙が痛い。
「あ!!あの!!自分でもおかしいと思うんだけど!」と声をあげて彼のほうを振り仰いだと同時、彼も私のほうをふりむいた。
ぎゃー!!
間近で顔みちゃった!!
この、少しきつめな目が!!たまらん!!
どちらかといえば強面系がタイプの私の好みぴったりの顔が至近距離にあって続きを言うこともできず、ぽかんとしてしまった。
「精霊によばれたのかもね」
だから、彼が最初いったことがよく理解できなかった。
うかがうように少し背をかがめて顔を覗きこまれて、思わぬ至近距離のきりっとした瞳が鋭くてドキリとする。
なんか色々この夢は大変。
「あの、一応誤解がないように確認させてもらいたいんですけど……
娼館って、あの女性が男性のお相手をするそういう場所のことですよね」
軽い頷きで肯定がかえってくるとなんだか恥ずかしくていたたまれなくなった。
「それなら、違います。
私、そういうのとは関係なく……
裸で驚いたとは思うんですが、家にいたはずがほんとにいつのまにやらこんなところに…… っくしゅ!!」
説明していたのに体がひえたのか盛大にくしゃみをしてしまった。
まわりに目をむけると木々の間からみえる空が少しピンク色になってきている。
夢なのに日が暮れて、下がる気温にあわせてくしゃみするなんて、この夢すごい!!
今までみたことのないようなリアルな夢に驚いている私の腕をつかんだままだった彼は隣に立つとぐっと肩をだいてきた。
思わぬ急接近にかっと顔に熱があがった。
裸に一枚布をまいただけの姿でこんなに男の人と接近するなんて初めてで、いい年して恥ずかしいけれど、聞こえてしまうんじゃないかと心配になるぐらい心臓の音がうるさかった。
「俺、体温高いから近くで触れてたら寒くないんじゃない?」
彼の言葉に少し気持ちを落ち着けてみると、確かに彼の手がつかんでいる肩がほんのり温かい。
少しだけ触れ合っている体の右側もじんわりと熱を感じる。
ずいぶん体温の高い人なんだな。
くしゃみをした私のことを気遣っての対応だったのに真っ赤になった自分に今度は恥ずかしくなる。
「あのさ、何があったか、もう少し聞いてもいい? 俺も助けになれるかもしれないし」
彼のマントにくるまった私にそう聞いてきた。
それはそうだろう。 こんな場所で裸でいたんだもの、不思議に思わないはずはない。
「座って話そうか」
彼のうながしで二人で木々に隠れるように一際大きな木の根元に座った。
彼の手はまだ私の肩にまわされたまま。
いやでも、体はぴったりくっついて、どうみてもラブラブカップルがイチャイチャしているようにしか見えない体勢。
やばい!!
これは恥ずかしい!!
でも、彼のイケメンフェイスをみなくてよいのは少しいいかもしれない。
これで顔が見えてたら、恥ずかしすぎる。
「何があったか……といっても、私もほんとによくわかないんです」
ほてった顔を見られたくなくて、少しうつむき加減で状況を説明する。
「自分の家のお風呂につかっていたんです。
で、お湯に潜って、浮き上がったらここにでてたんです」
端的に状況を説明したつもりだったけれど、自分でも何言ってんのと思う。
……沈黙が痛い。
「あ!!あの!!自分でもおかしいと思うんだけど!」と声をあげて彼のほうを振り仰いだと同時、彼も私のほうをふりむいた。
ぎゃー!!
間近で顔みちゃった!!
この、少しきつめな目が!!たまらん!!
どちらかといえば強面系がタイプの私の好みぴったりの顔が至近距離にあって続きを言うこともできず、ぽかんとしてしまった。
「精霊によばれたのかもね」
だから、彼が最初いったことがよく理解できなかった。
10
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
皇帝は虐げられた身代わり妃の瞳に溺れる
えくれあ
恋愛
丞相の娘として生まれながら、蔡 重華は生まれ持った髪の色によりそれを認められず使用人のような扱いを受けて育った。
一方、母違いの妹である蔡 鈴麗は父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った。そんな鈴麗は、破格の待遇での皇帝への輿入れが決まる。
しかし、わがまま放題で育った鈴麗は輿入れ当日、後先を考えることなく逃げ出してしまった。困った父は、こんな時だけ重華を娘扱いし、鈴麗が見つかるまで身代わりを務めるように命じる。
皇帝である李 晧月は、後宮の妃嬪たちに全く興味を示さないことで有名だ。きっと重華にも興味は示さず、身代わりだと気づかれることなくやり過ごせると思っていたのだが……

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私の愛する夫たちへ
エトカ
恋愛
日高真希(ひだかまき)は、両親の墓参りの帰りに見知らぬ世界に迷い込んでしまう。そこは女児ばかりが命を落とす病が蔓延する世界だった。そのため男女の比率は崩壊し、生き残った女性たちは複数の夫を持たねばならなかった。真希は一妻多夫制度に戸惑いを隠せない。そんな彼女が男たちに愛され、幸せになっていく物語。
*Rシーンは予告なく入ります。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる