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2. こちらからお断りします

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「認めるんだな? なら、本当に婚約破棄だ! シエルもなんか言ってやってくれ」

 苦し紛れと言わんばかりに、そう捲し立てるアドルフ。
 そんな時だった。

「お姉様は虐めなんてしていませんわ」

 シエルがそう口にした。

「は?」

 シエルの言葉が予想外だったのか、目の前の男アドルフは間抜けな声を上げた。

「お姉様は虐めなんてしていませんわ。確かにお粥しか食べられていないとは言いましたわ。
 でもその後に、私が病気だから仕方ないって言ったのを覚えていますか?」

 アドルフが抱き寄せようとした手を振り払い、そう口にするシエル。

「は? そんなこと聞いていないぞ」

「それは貴方が私の話を遮ったせいですわ」

「じゃあ、この写真は?」

 慌てた様子で写真を見せるアドルフ。
 それに対して、シエルはこう口にした。

「これは私がお姉様の物を壊してしまって謝りに行った時のもので、こっちの写真は護身術を練習している時のものですわ。
 それよりも、何故勝手に私達の写真を撮っていますの?」

「それはシエルが虐められていると聞いたからで……」

「それでも、女性の私生活を勝手に撮影するのは犯罪ですわよ?」

「そ、それは……」

 シエルにそう言われ、言葉を詰まらせるアドルフ。

「そういう訳ですので、犯罪者と婚約する訳にはいきませんの。なので、この婚約、破棄させて頂きますわ」

「ちょっと待ってくれ……」

 何をしたかったのか分からないけれど、結婚前に彼の本性が見れて良かった。
 婚約破棄を告げながら、私はそんなことを思った。
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