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27. 事の顛末
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無事に裁判が終わり、私達は王宮内の応接室に戻りました。
今は私もウィリアム様も呪いを解くために手を離せない状態です。
どういうわけか、あの罪人は鎧の中身が私であると気付いていたようです。
気分は良くないですが、簡単に呪いを解ける私達だけが狙われたのは幸いでした。
「私の方は終わりましたわ」
「こっちも終わったよ」
安心して椅子に腰掛けようとした時でした。
カチャカチャと装備がぶつかる音が聞こえてきました。
鎧を着たままだったわね……。
慌てて装備一式を外して、テーブルの上に丁寧に置きます。
「これはお返ししますね」
「いや、持っててもらって構わない」
「何故ですか?」
「騎士のシルフィも美しかった……。気に入ってしまったんだよ」
どうやらウィリアム様は新しい扉を開いてしまったようです。
でも、流石にこれを持って帰ったらお父様とお母様──特にお父様が大騒ぎするに違いありません。
「では、ウィリアム様のお部屋に置いておいてください」
「また付けてくれるのか……?」
「考えておきますわ」
「ぜひ前向きに考えておいてほしい!」
嬉しそうなウィリアム様。
騎士姿の私の何がいいのでしょうか……?
「分かりましたわ……」
「ありがとう」
困惑気味に答える私。
それからしばらくは他愛ない雑談をしたりして過ごしました。
◇
あの裁判から数日。
エドガーの取り巻きだった他の人達の刑罰も決まり、私達は平穏な生活を取り戻しました。
もちろん反発も出たようですが、どれも重い罪ではありません。
要するに「また王族に手を出したら分かっているよな?」という趣旨の脅しです。
ちなみにエドガーは今も厳しい拷問中で、処刑は来週になるそうです。新たな証拠は出てきていません。
呪いを使い聖女の力を持つ人物を殺めようとした罪も加わった状態なので、公開処刑になるそうです。
この国では聖女の人気はかなりのもの。
病を防ぎ、怪我を治す。限界はありますが、今までに聖女によって貴族市民問わず多くの命が救われています。
だから、そんな聖女候補を殺めようとした人がどんな扱いを受けるのか、想像したくもありません。
他にも、私に対するいじめに参加した人達は、王宮内の危険人物リストに入れられました。
これで私が将来、彼らと関わることは殆どなくなるはずです。
私達の周りの様子も少しだけ変化もありました。
私にも聖女の力があると分かった直後から、今まで私のことを快く思っていなかった人達が距離を縮めてきたのです。
もちろん無視しましたけれど。
簡単に態度を変える人なんて信用出来ません。
「今日は天気もいいし、庭園で話さないかい?」
この1週間であったことを思い出していたら、ウィリアム様にそんなことを言われました。
私も同じ気分だったので、頷きます。
「ええ。そろそろお花が咲く頃ですし、気になっていましたの」
ウィリアム様にエスコートされながら、庭園の方へと歩いていきます。
昨日、正式に私は聖女候補になったのですが、彼の私に対する態度はいつも通りです。
「まだ二分咲きくらいですのね」
「そうだね。でも向こうはすごいよ」
そう言われて、ここからは木で見えない場所に向かいます。
そして見えてきたのは、ピンや白のお花の絨毯でした。
「綺麗……」
「後ろも見てみて」
「すごい……」
お花の絨毯に圧倒されてしまって、単語しか言えなくなってしまいました。
公爵邸にある落ち着いた雰囲気の庭園も好きですが、こういう庭園も気に入りました。
「少し抱きしめてもいいかな……?」
「ええ……」
ふとウィリアム様が口にしたことに困惑しながら頷きます。
すると、彼はそっと抱き寄せてきました。
「本当に無事でいてくれてよかった。助けるのが遅くなってしまってすまない。怖かっただろう……?」
「そんなことは……」
……あるかもしれません。
権力、魔法、護身術。これのお陰で強がることは出来ていました。
でも、身に受ける殿方からの暴力は痛かったですし、怖かったです。
反撃しても、数で押される。今更ながらその可能性にも気付いて、恐怖心が襲ってきました。
「確かに怖かったですけど、助けてくださったので大丈夫ですわ。
でも、次からはすぐに助けて欲しいですわ」
「ああ、絶対に助ける。もう離れたりはしない」
「絶対ですわよ?」
「ああ、約束する」
あんな風に暴力を振るわれることはもう無いでしょう。
でも、ずっとウィリアム様といられる。
そう思うと、なんだか不思議な気持ちが湧いてきました。
この気持ちは何なのでしょうか?
答えは……分からない方が幸せかもしれませんね。
***********
ここまでお読みくださりありがとうございます!
予告より長くなってしまいましたが、今回で完結となります。
日は空いてしまいますが、あと数話ほど後日談を投稿予定ですので、そちらも楽しんで頂けると幸いです。
今は私もウィリアム様も呪いを解くために手を離せない状態です。
どういうわけか、あの罪人は鎧の中身が私であると気付いていたようです。
気分は良くないですが、簡単に呪いを解ける私達だけが狙われたのは幸いでした。
「私の方は終わりましたわ」
「こっちも終わったよ」
安心して椅子に腰掛けようとした時でした。
カチャカチャと装備がぶつかる音が聞こえてきました。
鎧を着たままだったわね……。
慌てて装備一式を外して、テーブルの上に丁寧に置きます。
「これはお返ししますね」
「いや、持っててもらって構わない」
「何故ですか?」
「騎士のシルフィも美しかった……。気に入ってしまったんだよ」
どうやらウィリアム様は新しい扉を開いてしまったようです。
でも、流石にこれを持って帰ったらお父様とお母様──特にお父様が大騒ぎするに違いありません。
「では、ウィリアム様のお部屋に置いておいてください」
「また付けてくれるのか……?」
「考えておきますわ」
「ぜひ前向きに考えておいてほしい!」
嬉しそうなウィリアム様。
騎士姿の私の何がいいのでしょうか……?
「分かりましたわ……」
「ありがとう」
困惑気味に答える私。
それからしばらくは他愛ない雑談をしたりして過ごしました。
◇
あの裁判から数日。
エドガーの取り巻きだった他の人達の刑罰も決まり、私達は平穏な生活を取り戻しました。
もちろん反発も出たようですが、どれも重い罪ではありません。
要するに「また王族に手を出したら分かっているよな?」という趣旨の脅しです。
ちなみにエドガーは今も厳しい拷問中で、処刑は来週になるそうです。新たな証拠は出てきていません。
呪いを使い聖女の力を持つ人物を殺めようとした罪も加わった状態なので、公開処刑になるそうです。
この国では聖女の人気はかなりのもの。
病を防ぎ、怪我を治す。限界はありますが、今までに聖女によって貴族市民問わず多くの命が救われています。
だから、そんな聖女候補を殺めようとした人がどんな扱いを受けるのか、想像したくもありません。
他にも、私に対するいじめに参加した人達は、王宮内の危険人物リストに入れられました。
これで私が将来、彼らと関わることは殆どなくなるはずです。
私達の周りの様子も少しだけ変化もありました。
私にも聖女の力があると分かった直後から、今まで私のことを快く思っていなかった人達が距離を縮めてきたのです。
もちろん無視しましたけれど。
簡単に態度を変える人なんて信用出来ません。
「今日は天気もいいし、庭園で話さないかい?」
この1週間であったことを思い出していたら、ウィリアム様にそんなことを言われました。
私も同じ気分だったので、頷きます。
「ええ。そろそろお花が咲く頃ですし、気になっていましたの」
ウィリアム様にエスコートされながら、庭園の方へと歩いていきます。
昨日、正式に私は聖女候補になったのですが、彼の私に対する態度はいつも通りです。
「まだ二分咲きくらいですのね」
「そうだね。でも向こうはすごいよ」
そう言われて、ここからは木で見えない場所に向かいます。
そして見えてきたのは、ピンや白のお花の絨毯でした。
「綺麗……」
「後ろも見てみて」
「すごい……」
お花の絨毯に圧倒されてしまって、単語しか言えなくなってしまいました。
公爵邸にある落ち着いた雰囲気の庭園も好きですが、こういう庭園も気に入りました。
「少し抱きしめてもいいかな……?」
「ええ……」
ふとウィリアム様が口にしたことに困惑しながら頷きます。
すると、彼はそっと抱き寄せてきました。
「本当に無事でいてくれてよかった。助けるのが遅くなってしまってすまない。怖かっただろう……?」
「そんなことは……」
……あるかもしれません。
権力、魔法、護身術。これのお陰で強がることは出来ていました。
でも、身に受ける殿方からの暴力は痛かったですし、怖かったです。
反撃しても、数で押される。今更ながらその可能性にも気付いて、恐怖心が襲ってきました。
「確かに怖かったですけど、助けてくださったので大丈夫ですわ。
でも、次からはすぐに助けて欲しいですわ」
「ああ、絶対に助ける。もう離れたりはしない」
「絶対ですわよ?」
「ああ、約束する」
あんな風に暴力を振るわれることはもう無いでしょう。
でも、ずっとウィリアム様といられる。
そう思うと、なんだか不思議な気持ちが湧いてきました。
この気持ちは何なのでしょうか?
答えは……分からない方が幸せかもしれませんね。
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ここまでお読みくださりありがとうございます!
予告より長くなってしまいましたが、今回で完結となります。
日は空いてしまいますが、あと数話ほど後日談を投稿予定ですので、そちらも楽しんで頂けると幸いです。
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