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14. エピローグ
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日が空いてしまいましたが、後日談のようなお話しです。
よろしくお願いします。
***********
アルバート様と婚約してから半年。
私は今日も王宮に来ていた。
理由は簡単で、妃教育を受けているから。
本音を言えば、妃教育なんて大変なことはしたくないのだけど……。
「今日もお疲れ様」
「アルバート様もお疲れ様ですわ」
……こんな風に、ゆっくり彼とお話ししたり出来ているから、それほど苦になってはいない。
学院には相変わらず通っているけれど、進級してからは、成績が良かったお陰で授業が少なくなっている。
だから、先週くらいから一気にスケジュールが楽になったいた。
ちなみに、アルバート様は私よりももっと過酷なことをしている。
国王になるためには、座学以外にも武術も身に付けないといけないらしくて、陛下や騎士団長から猛特訓を受けているらしい。
それでも彼の表情に疲労の色は見えない。
きっと、表情に出さないようにしているのね。
「今日は父上が優しかったから、少し楽だったよ。模擬戦が5回で済んだ」
「普段は何回ですの?」
「20回はあるね」
うん、少しどころじゃないわね?
「普段はそんなに大変なのですね……」
「レシアの方が大変だと思うけど? あれほど細かい所作を一々指摘されてたら、身が持たないよ」
そんなことを口にするアルバート様。
確かに、手の高さや視線の向きがほんの少し違っていただけで指摘されるのはストレスが溜まる。でも、慣れればそうでもないのよね。
「でも、アルバート様の所作は見とれるほど綺麗ですわよね?」
「それはありがとう。だが、この所作は細かいところまで指摘されていないんだ」
「それは貴方が完璧だったからですわ」
さらっと出来る自慢されてしまった。
でも、そんなことで声色を変えたりはしない。
「そうかな?」
「ええ、絶対にそうですわ」
そんなことを話しているうちに、沈みかけていた日はすっかり地平線の向こうに消えてしまっていた。
「寒くなってきたし、そろそろ中に入ろう」
「ええ」
エスコートされながら、テラスを後にする私。
妃教育は大変だけど、この幸せな日々が続いて欲しい。
そんな風に思っている。
ちなみにだけど、私達が幸せな日々を過ごしている一方で、セラフィは地獄のような日々を送っているらしい。
というのも、ある日を境に私への恨み言を言い始めたから。
彼女は反省することで極刑を免れていた身だから、こんなことをすればどうなるかは分かっている。
今は処刑の準備のために、投獄されているらしい。
強制労働に駆り出されるという話もあるそうだけど、それは私には分からない。
「レシア、考え事中かな?」
不意に、声をかけられて驚く私。
「は、はい。何かありましたの?」
こう返事をした時だった。
アルバート様が足を停めたと思ったら、優しく抱きしめられていた。
「いや、なんでもない」
顔が近い。それなのに、少しずつ近付いてきている。
王宮を出る前の習慣になってしまったこの儀式が何をするものかは分かっている。
だから、私は目を閉じてその時を待った。
*****************
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。
また気が向きましたら、後日談を投下する予定ですので宜しくお願いします。
よろしくお願いします。
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アルバート様と婚約してから半年。
私は今日も王宮に来ていた。
理由は簡単で、妃教育を受けているから。
本音を言えば、妃教育なんて大変なことはしたくないのだけど……。
「今日もお疲れ様」
「アルバート様もお疲れ様ですわ」
……こんな風に、ゆっくり彼とお話ししたり出来ているから、それほど苦になってはいない。
学院には相変わらず通っているけれど、進級してからは、成績が良かったお陰で授業が少なくなっている。
だから、先週くらいから一気にスケジュールが楽になったいた。
ちなみに、アルバート様は私よりももっと過酷なことをしている。
国王になるためには、座学以外にも武術も身に付けないといけないらしくて、陛下や騎士団長から猛特訓を受けているらしい。
それでも彼の表情に疲労の色は見えない。
きっと、表情に出さないようにしているのね。
「今日は父上が優しかったから、少し楽だったよ。模擬戦が5回で済んだ」
「普段は何回ですの?」
「20回はあるね」
うん、少しどころじゃないわね?
「普段はそんなに大変なのですね……」
「レシアの方が大変だと思うけど? あれほど細かい所作を一々指摘されてたら、身が持たないよ」
そんなことを口にするアルバート様。
確かに、手の高さや視線の向きがほんの少し違っていただけで指摘されるのはストレスが溜まる。でも、慣れればそうでもないのよね。
「でも、アルバート様の所作は見とれるほど綺麗ですわよね?」
「それはありがとう。だが、この所作は細かいところまで指摘されていないんだ」
「それは貴方が完璧だったからですわ」
さらっと出来る自慢されてしまった。
でも、そんなことで声色を変えたりはしない。
「そうかな?」
「ええ、絶対にそうですわ」
そんなことを話しているうちに、沈みかけていた日はすっかり地平線の向こうに消えてしまっていた。
「寒くなってきたし、そろそろ中に入ろう」
「ええ」
エスコートされながら、テラスを後にする私。
妃教育は大変だけど、この幸せな日々が続いて欲しい。
そんな風に思っている。
ちなみにだけど、私達が幸せな日々を過ごしている一方で、セラフィは地獄のような日々を送っているらしい。
というのも、ある日を境に私への恨み言を言い始めたから。
彼女は反省することで極刑を免れていた身だから、こんなことをすればどうなるかは分かっている。
今は処刑の準備のために、投獄されているらしい。
強制労働に駆り出されるという話もあるそうだけど、それは私には分からない。
「レシア、考え事中かな?」
不意に、声をかけられて驚く私。
「は、はい。何かありましたの?」
こう返事をした時だった。
アルバート様が足を停めたと思ったら、優しく抱きしめられていた。
「いや、なんでもない」
顔が近い。それなのに、少しずつ近付いてきている。
王宮を出る前の習慣になってしまったこの儀式が何をするものかは分かっている。
だから、私は目を閉じてその時を待った。
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ここまでお読み下さり、ありがとうございました。
また気が向きましたら、後日談を投下する予定ですので宜しくお願いします。
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コメントありがとうございます。
そう言って頂けて嬉しい限りです(´∀`*)
出版のお話に関しては、文字数と現在の傾向の問題がありますので、難しいと思っています。
次回作はご希望に沿えるか分かりませんが、楽しんでいただけると幸いです。
ご指摘ありがとうございます。修正しました。