婚約破棄され家を出た傷心令嬢は辺境伯に拾われ溺愛されるそうです 〜今更謝っても、もう遅いですよ?〜

八代奏多

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143. 鉱山開拓

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 午後、昼食を終えた私はお祖父様と両親と共に新しく鉱石が見つかった場所に来ていた。


「この辺でいいだろ」

「深さは50メートルになるようにするのよ」

「分かりましたわ」


 早速、私は鉱山を作るための準備を始めた。

 これから、アストリア家に伝わる殲滅魔法を使って地面に穴を開けるのだけど……殲滅魔法を実際に使ったことはなかったから緊張するわ……。

 ちなみに、この殲滅魔法はアストリア家の血を引いていないと絶対に使えない。
 さらに、本家で生まれた者にしか教えることが許されないから、将来生まれるはずの私の子供に教えることはできない。

 使用する時は必ず他の魔法で分からないようにしているから、存在すら知られていないらしい。


 そんな危険な魔法なのだけど、扱うのは簡単で、普通の魔法と同じように起動できる。
 ただ、魔力の消費量と反動がとてつもないらしいから、少し怖いのよね……。


「結界の構築終わったわ。誰もいないからいつでもいいわよ」

「幻影も完璧だ」


 お父様……完璧って言い切るのね……。


「分かりましたわ。5秒後に撃ちます」


 私がそう言って、殲滅魔法を撃つために手を前に出すと、お祖父様が防御魔法を私達に起動してくれた。


 そして……


「バースト・マグナス!」


 ……私が起動句を口にすると、白い光の玉が放たれた。
 その玉は一瞬にして狙った場所の地面に当たって、真っ白な閃光と轟音が私達を襲った。


 そして、光と土埃が収まると地面が大きく抉れていて、新しく見えるようになった部分は青く煌めいていた。

 それを目にした瞬間だった。
 身体中から力が抜けて、倒れかけてしまった。


「大丈夫か?」


 私が倒れないように支えてくれるお父様。


「身体に力が入らなくなってしまいましたわ……」

「今の魔法の反動だろう。すぐに元通りになるから少し休みなさい」


 そう口にすると、すぐに馬車を側まで移動してくれた。


「もう立てるか?」

「ええ。少しなら大丈夫そうですわ」


 そう答え、1人で馬車に乗り込む私。
 
 この後はいつも通り使用人さん達に出迎えられ、ジーク様とお茶をしたりして1日を終えた。


 そして翌朝。


「旦那様、王都の民の避難が完了しました。これでいつでも空から攻撃できます」

「避難誘導ご苦労様。誘導に参加したものは一日休むように」


 朝食の場でお父様と執事さんがそんなことを話していた。

 私はというと……


「まだ言ってなかったけど、来週にはグレイヴに戻るからね」

「そう……分かったわ。気をつけてね」


 ジーク様と少しの間離れてしまうと知って少しだけ落ち込んでいた。
 私はここにいないといけないし、アトランタ家にに避難する理由も今は無いから……。
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