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141. 領地での生活
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翌朝、目を覚ますといつもと違う天井が目に入ってきた。
「おはようございます、お嬢様」
「おはよう……」
天井や部屋のつくりが違っても、他はいつもと同じ。
アンナが側にいて、朝の身支度を済ませたら朝食に向かう。
廊下の景色は違うけど、動きはいつもと同じ。
あまりここには来ないから旅行のような気分で不思議な感じがするけど、ここも我が家なのよね……。
「フィーナ、おはよう」
「おはようございます、ジーク様」
途中でジーク様に会い、一緒に朝食に向かう。
その途中だった。
「今なら誰も見てないからいいよね?」
「いいって?」
聞き返すと、ジーク様が顔を近付けてきて……。
その瞬間、ジーク様の質問の意図を理解した。
この行為は恥ずかしいけど、誰にも見られていない今ならと思って受け入れる姿勢を見せる私。
すると、動きを止めていたジーク様が私の背中に手を回して唇を近付けてきて……。
しばらくの間、私達は抱き合って唇を重ねたまま動かなかった。
この後、顔の火照りが収まるのを待ってから朝食に向かった。
火照りが収まるのを待ったのは、お祖母様にさっきの行為を悟られないようにするためだったのだけど……
「フィーナちゃん、後でお茶しましょう」
……どうやら感付かれてしまったみたいね。
「分かりましたわ」
諦めた私はそう返事をするのだった。
ちなみに、ジーク様はお父様やお祖父様と今後の家同士の関係について話し合っていたから、感付かれたのは私のせいよね……。
「お茶も結構だが、午後はフィーナと新しい鉱山を掘りに行くからそれまでに終わらせてくれ」
「分かってるわ」
「ならいい」
お祖父様とお祖母様はそんな会話をしているのだけど、問題の本人が何のことか聞かされていませんわよ!?
「鉱山を掘りに行くなんて聞いてませんわ」
「今朝決めたばかりなんだ。許してほしい」
「構いませんけど……」
そんな感じで今日の予定に関する会話をしていたら、私の目の前のお皿が空になった。
既にお兄様とルシアは朝食を終えて自室に戻っているから、私も「ごちそうさま」を言ってから一度部屋に戻ることにした。
それから少しして、テラスでお祖母様とお茶をすると、予想通りこんなことを聞かれた。
「それで、彼とはどこまで行ったのかしら?」
「お祖母様の想像にお任せしますわ」
「まさか最後まで行ったの?」
「流石にそんなことはしませんわ。結婚前ですわよ!?」
慌てて反論する私。
最後までというのがどういうことかは理解しているし、そもそもその行為が怖くて抵抗があるのだから勘違いされたら困るもの。
「グレイヴでは結婚前でも問題ないと聞いたのだけど、まだなのね。安心したわ」
「……え? 結婚前でも問題ない……?」
「そうよ。知らなかったの?」
「はい。ローザニアと同じだと思ってましたわ」
「だから、いつ襲われても大丈夫なように覚悟しておきなさいね?」
「彼はそんなことしませんから大丈夫ですわ!」
そもそも、なんでこんな恥ずかしい会話にするのよ!?
「そこまで信頼しているなら将来も安心できそうだわ。
グレイヴでの生活はどうだった?」
「竜と一緒に生活しているのが驚きましたわ。でも、すごく楽しかったです」
「今も似たような状況よね」
庭の方を見ながら微笑むお祖母様。
そこでは竜たちが翼を広げて休んでいて、ローザニアにいるとは思えない光景が広がっていた。
「そうですわね。でも、やっぱりグレイヴとは全然違いますわ」
「私も一度でいいから行ってみたいわね」
「行ったことなかったんですか?」
「ええ、私はローザニアから出たことがないのよ」
「そうだったのですね……」
そんな感じで、色々と驚くようなことを初めて知らされる私だった。
この後も色々なことを話し、気が付けばお昼の時間を過ぎていて……お祖父様に軽くお説教される羽目になったのはまた別の話ね。
「おはようございます、お嬢様」
「おはよう……」
天井や部屋のつくりが違っても、他はいつもと同じ。
アンナが側にいて、朝の身支度を済ませたら朝食に向かう。
廊下の景色は違うけど、動きはいつもと同じ。
あまりここには来ないから旅行のような気分で不思議な感じがするけど、ここも我が家なのよね……。
「フィーナ、おはよう」
「おはようございます、ジーク様」
途中でジーク様に会い、一緒に朝食に向かう。
その途中だった。
「今なら誰も見てないからいいよね?」
「いいって?」
聞き返すと、ジーク様が顔を近付けてきて……。
その瞬間、ジーク様の質問の意図を理解した。
この行為は恥ずかしいけど、誰にも見られていない今ならと思って受け入れる姿勢を見せる私。
すると、動きを止めていたジーク様が私の背中に手を回して唇を近付けてきて……。
しばらくの間、私達は抱き合って唇を重ねたまま動かなかった。
この後、顔の火照りが収まるのを待ってから朝食に向かった。
火照りが収まるのを待ったのは、お祖母様にさっきの行為を悟られないようにするためだったのだけど……
「フィーナちゃん、後でお茶しましょう」
……どうやら感付かれてしまったみたいね。
「分かりましたわ」
諦めた私はそう返事をするのだった。
ちなみに、ジーク様はお父様やお祖父様と今後の家同士の関係について話し合っていたから、感付かれたのは私のせいよね……。
「お茶も結構だが、午後はフィーナと新しい鉱山を掘りに行くからそれまでに終わらせてくれ」
「分かってるわ」
「ならいい」
お祖父様とお祖母様はそんな会話をしているのだけど、問題の本人が何のことか聞かされていませんわよ!?
「鉱山を掘りに行くなんて聞いてませんわ」
「今朝決めたばかりなんだ。許してほしい」
「構いませんけど……」
そんな感じで今日の予定に関する会話をしていたら、私の目の前のお皿が空になった。
既にお兄様とルシアは朝食を終えて自室に戻っているから、私も「ごちそうさま」を言ってから一度部屋に戻ることにした。
それから少しして、テラスでお祖母様とお茶をすると、予想通りこんなことを聞かれた。
「それで、彼とはどこまで行ったのかしら?」
「お祖母様の想像にお任せしますわ」
「まさか最後まで行ったの?」
「流石にそんなことはしませんわ。結婚前ですわよ!?」
慌てて反論する私。
最後までというのがどういうことかは理解しているし、そもそもその行為が怖くて抵抗があるのだから勘違いされたら困るもの。
「グレイヴでは結婚前でも問題ないと聞いたのだけど、まだなのね。安心したわ」
「……え? 結婚前でも問題ない……?」
「そうよ。知らなかったの?」
「はい。ローザニアと同じだと思ってましたわ」
「だから、いつ襲われても大丈夫なように覚悟しておきなさいね?」
「彼はそんなことしませんから大丈夫ですわ!」
そもそも、なんでこんな恥ずかしい会話にするのよ!?
「そこまで信頼しているなら将来も安心できそうだわ。
グレイヴでの生活はどうだった?」
「竜と一緒に生活しているのが驚きましたわ。でも、すごく楽しかったです」
「今も似たような状況よね」
庭の方を見ながら微笑むお祖母様。
そこでは竜たちが翼を広げて休んでいて、ローザニアにいるとは思えない光景が広がっていた。
「そうですわね。でも、やっぱりグレイヴとは全然違いますわ」
「私も一度でいいから行ってみたいわね」
「行ったことなかったんですか?」
「ええ、私はローザニアから出たことがないのよ」
「そうだったのですね……」
そんな感じで、色々と驚くようなことを初めて知らされる私だった。
この後も色々なことを話し、気が付けばお昼の時間を過ぎていて……お祖父様に軽くお説教される羽目になったのはまた別の話ね。
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