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132. ルシアside 恐怖の時間①

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 目を開けると、見たことのない悪趣味な絵が視界に飛び込んできた。
 恐る恐る周りを見回すと、真っ黒な壁と金属で出来た重厚な扉だけの殺風景な部屋にいるというのが分かった。
 そして、冷たい何かに両手足を拘束されていることも。


「ここ……どこ……?」


 思わずそんな言葉が出てしまったのも仕方ないよね……。
 目が覚めたら知らない場所にいたのだから。


「ようやくお目覚めかな? ルシア嬢」

「……っ」


 上の方から突然声をかけられて思わず息を呑んだ。
 この声は……


「僕が誰だか分かるかい?」


 ……お姉様に辛い思いをさせたクラウス王子ね。


「分かったらどうするのですか?」

「もしかして、大国の王太子であるこの僕のことを知らないのかなぁ?」

「質問に質問で返さないでください!」

「僕に反抗していいと思ってるのかな? ルシア、自分の立場分かってる?
 魔法を使ったら全身から血が吹き出す魔導具をつけられて拘束されてる。反抗したらどうなるかくらい、わかるよね?」


 感じる気持ち悪い笑みを浮かべて耳元でそんなことを言ってくる王子。
 こんなことをされて恐怖を感じないはずがなかった。

 魔法が使えなければ私に出来るのは助けを待つことだけだから……。


「そうそう、貴女の姉には『今日中にここに来なかったらルシア嬢を貰うって』って手紙を送ったから、今日のうちは犯しはしないから安心してね。
 だから、助けに来てくれることを祈っておくといいよ」

「今すぐに私を解放した方がいいと思いますよ?」

「大丈夫、アストリア家のことは対策済みだよ。万が一、僕が攻撃されたら貴女の身体に毒が入るようにしてあるからね」


 そう口にし、私の耳を舐めてくる王子。気持ち悪いわ!


「舐めないでください!」

「あ? 反抗するんだ?
 これは反抗出来ないように教育しないとダメだよなねぇ?」


 私が嫌悪感を露わにしたのが気に入らなかったのか、突然頬を張られた。
 そして、布が破れる音が聞こえてきた。


「可哀想だから、服はそのままにしておいたけど、反抗するならいらないってことだよね」


 そんな言葉が聞こえて王子のいる足元の方を見てみると、ちょうどドレスのスカートの部分が破かれているところだった。

 まさか王子がここまで酷い人だとは思わなかったわ……。年頃の令嬢に肌を晒させることがどんなに辛いことなのか知っているはずなのに!
 お姉様がこんな人と一緒にいて無事だったのが不思議だわ。


「止めてください……」

「分かった」


 王子はそう口にすると、ドレスを破く手を止めてくれた。

 本当にやめてくれるのね……!


「とでも言うと思ったか⁉︎ 残念、それも反抗だから教育追加ね」


 私が希望を見出した直後、そんな言葉と共にドレスが太腿の上あたりまで引き裂かれて足が露わになってしまった。


「流石はフィーナの妹、綺麗だよ」


 そう口にしながら破られたドレスを引き抜く王子。
 こんな人に素肌を晒す羽目になってしまって、涙を止められなかった。

 このままここにいたら次はもっと酷いことをされる。そう思ってしまって強い恐怖も覚えた。


 誰でもいいから……早く助けて……!

 早く助かりたいの一心で、居場所を知らせるために周囲に魔力を飛ばす私だった。
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