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131. 襲撃②

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 お兄様が部屋を出てから数分、汗一つかいていないお兄様が部屋に入ってきた。


「フィーナ、大丈夫?」

「はい、まだ身体が熱いけど大丈夫ですわ。ところで、王子は?」

「それが、外に出た時には姿が見えなかったんだ。逃げたのか、それとも……」


 そこまで言って言葉を濁すお兄様。
 その時に私はお兄様が何を言いたいのかを察して、嫌な感覚を覚えた。


「ルシアが危ないわ! 今すぐに知らせないと!」

「ちょうどグレイル公爵邸を出た頃か。護衛は付いてるから大丈夫だと思うよ」


 お兄様はそう口にするけど、胸騒ぎがするのよね……。
 念のため防御の魔法を使っておいた方が良さそうね。

 ちなみに、身体はまだ熱を持っていてふわふわするような感覚だけど、動くのに支障はない。
 だから、ルシアに何かあったらすぐに助けに行けるように準備だけしようと一旦私の部屋に向かうことにした。


「近くにはいないと思うけど、何があるか分からないから気をつけて」

「うん、ありがとう」


 そう返事をしてから護衛2人と部屋を出て、私の部屋に向かった。


「すぐに着替えるから待ってて」

「畏まりました」


 それからお忍びで外出する時用の動きやすい服に着替えた私は、時間を潰すためのものをいくつか手にして部屋を後にした。


 ちょうどその時、焦りを浮かべた侍女さんとする違って、気になった私は彼女を呼び止めた。


「何かあったのかしら?」

「その、大変申し上げにくいのですが……ルシアお嬢様が襲われて行方不明になっているそうです」

「なんですって⁉︎ 犯人は分かっているの?」

「申し訳ないのですが、私は詳しくは存じておりません。今、旦那様が会議を開かれているので、そちらに行けば詳細が分かるかと思います」

「分かったわ、ありがとう。引き止めてごめんなさい」


 そう口にし、急いでジーク様のいる部屋に向かう私。
 そして、部屋に入ろうとするとジーク様がちょうど部屋から出ようとしていたみたいでぶつかりそうになってしまった。


「ごめんなさい」

「すまない。今から探そうと思ってたからちょうど良かった」

「そうだったのね。……それよりも、大変なことになっちゃったの!」

「何が起きた?」


 ジーク様に問われて、侍女さんから聞いたことを簡単に伝えると、すぐにお父様達がいる部屋に行くことになった。
 

 そして数分後……


「フィーナ、ルシアを探すのを手伝ってもらえないか?」


 ……会議の場でお父様にそう問いかけられた。


「私にできることならなんでもしますわ。
 ルシアが怖い思いをしてるのに、私だけゆっくりしているなんて出来ませんもの」

「身体は大丈夫か?」

「まだ少しだけ火照っているけど、これくらい大丈夫です」

「分かった、手分けして探そう。フィーナとジーク君はこの区画を頼む」


 王都の地図に線を引いて示すお父様。


「はいっ!」

「分かりました。フィーナは必ず護ります」


 私達はまだ捜索できていない場所に向かうことになった。
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