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126. お茶会①

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 色々なことがあった宴会の翌朝、私はお茶会のために社交用のドレスに着替えてアイセア様とイリーナ様が来るのを表の道が見える窓の前で待っていた。
 隣にはジーク様がいて、さっきからずっと抱きしめられている。

 そんな時、私の耳元で彼がこう囁いた。


「キス、してもいい?」

「外から見えない場所でなら……」

「分かった」


 ジーク様はそう答えると、私の頭に手を回して顔を近づけてきた。


「ここ窓から見えるわよ⁉︎」

「カーテンがあるから大丈夫だよ」


 私が声を上げた意味はなく、そのまま唇を奪われてしまった。


 それから十秒ほどしてジーク様が離れ、私は彼を直視できなくて窓の外に視線を戻した。
 その時には1台の豪奢な馬車が門の前まで来ていて、さっきの行為を見られていないか不安になりながら玄関に向かった。




「ごきげんよう、イリーナ様」


 玄関前に止まったグレイル公爵家の紋章入りの馬車から降りてきたイリーナ様に頭を下げる私。


「ごきげんよう。急なお茶会なのに出迎てくれてありがとう」


 砕けた口調でそう口にするイリーナ様。
 今日のお茶会は私的なものだから、昨日のように堅苦しい会話にはならないと思う。

 それに、将来親戚になることが決まった後に初めて会った時、堅苦しい会話は避けて欲しいとお願いされたから私も砕けた口調で話すことにしている。
 とは言っても、呼び捨てにする訳ではないから、万が一誰かに聞かれても不敬罪と言われることは無いと思う。


「友達なんだから出迎えて当然よ。早速だけど、部屋に案内してもいいかしら?」

「お願いするわ」


 イリーナ様が笑顔で返事をすると、侍女さんが近付いてきて私に耳打ちしてきた。


「ノートリア家の馬車が門の前まで来ています」

「分かったわ、ありがとう。
 イリーナ様、アイセア様が門に着いたみたいだから少し待っててもらえないかしら?」

「そういうことなら、そこに隠れるわ。後ろからこっそり近付いて驚かすの」

「部屋で待ってるってことにするのね?」

「ええ。任せたわよ!」


 そう言って花瓶が置いてある台の影に隠れるイリーナ様。
 壁にぶつかる音がしたけど、気づかなかったことにしてアイセア様を出迎えに向かった。


「ごきげんよう、フィーナ様」

「ごきげんよう。イリーナ様はもう来られているので、早速ですが今日の会場まで案内させていただきますね」

「分かりましたわ」


 アイセア様の返事を待ってから玄関に入ると、花瓶のある台の影からスカートの裾がはみ出しているのが見えた。

 これは……バレたわね……。
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