婚約破棄され家を出た傷心令嬢は辺境伯に拾われ溺愛されるそうです 〜今更謝っても、もう遅いですよ?〜

八代奏多

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118. 建国記念日①

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 久しぶりにワインを口にした日から2日、ついに建国記念日が来てしまった。

 今は朝食を終えて部屋に戻ったところで、アンナを含む侍女さん5人にアレコレされている。
 メイクをされ、その後にコルセットで腰を締め付けられたり……。


「お嬢様、もう少し締めますか?」

「このままで問題ないなら締めなくていいわ」


 正装は腰を細く見せる前提で作られているから、コルセットで締める必要があるのだけど……これが苦しくて辛いのよね……。


「ではもう少し締めますね~」

「今の質問の意味は⁉︎」

「お嬢様の状態を見るためにしただけですよ」


 そんなことを口にしながら、コルセットの締め付けを少し強くするアンナ。
 何かが押し出されそうだわ……。


「コルセットはこれで終わりです。屈んだり出来ますか?」

「問題ないわ」


 屈んだりすると締め付けが強くなるけど、少しの間だけなら体調が悪くなったりすることは無さそうだった。
 お腹いっぱいに何かを食べたら大変なことになるのは間違いないけれど……。


「良かったです。もう時間があまりないので着替えを進めましょう!」

「ええ」


 そう返事をした私は、パニエなどの正装の下に着るものを身につけた。
 そして、いよいよ正装のドレスを着る時になってしまった。


「お嬢様、準備はいいですか?」

「いつでもいいわよ」

「では……」


 3人がかりで正装のドレスを支える侍女さん達。
 それが私を包み込み、侍女さん達が手を離すとずっしりとした重みが肩にかかった。


「やっぱり重いわ……」

「貴族様って、これが大変ですよね~。何も知らない時は羨ましいと思っていましたけど、お手伝いするようになってから全く思わなくなりましたわ」

「私もです。これは流石に重すぎですから」


 突然始まる愚痴大会。
 少し時間が経つと、王家の悪口大会に発展しつつあったから、私はそれをやめさせることになった。

 いくら王子がアレな人でも、悪口は不敬罪になってしまうから良くないと思うのよね……。
 本人がいなければ問題はないけど、どこで誰が聞いているかなんて分からないもの。


「お嬢様、装飾品はどうされますか?」

「軽めのでお願い」

「かしこまりました」


 すぐにアンナが耳飾りと首飾りを持ってきてくれた。
 それを受け取った私は姿見の前に移動して身に付けて、侍女さん達に最終確認をしてもらった。


「問題ないと思います」

「ありがとう。行ってくるわ」

「「お気をつけて!」」


 部屋を出た私は転ばないように慎重に階段を降りて、エントランスに向かった。




「お待たせしました」


 エントランスに着いた私は待っていたお兄様とお父様にそう声をかけた。
 ちなみに、建国記念の式典はローザニア王国の貴族のみが参加するようになっているから、ジーク様は一緒に行かない。


「今日はフィーナが一番乗りなんだね」

「たまたまですわよ……」


 お兄様とそんなことを話していると、お母様が来て、それから少ししてルシアもやって来た。


「遅くなってごめんなさい……」

「まだ予定よりも早いから気にしなくていい。あと少しで馬車の準備が出来るから待っててくれ」


 お父様がそう口にすると、エントランスの扉から騎士さんが入ってきて馬車の用意が出来たことを口にした。
 それを聞いた私達はエントランス前に止めてある馬車に乗って、使用人さん達に見送られて式典が行われる王宮内の聖堂に向けて移動を始めた。

 私の正装姿を見たいと言っていたジーク様は見送りに来なかったけど、どうしたのかしら……?
 帰ってきてからでも見せられるから大した問題では無いと思うけど……。
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