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117. 建国記念祭④
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いつになく賑やかな夕食を終えた後、私はジーク様と屋敷の屋上に出ていた。
去年までは王城から花火を見てたし、その前は家族でテラスや庭から見ていたから、ここから見るのは初めてになる。
「少し冷えてるけど、上着は着なくても大丈夫?」
少し風が吹いた時、そんなことを聞いてくるジーク様。
「大丈夫よ。これ、寒くならないように作られてるから」
「おお、ほんとだ。これなら大丈夫そうだな」
私が摘んで見せた袖をペタペタと触るジーク様。触ってみて安心したのか、彼の視線は街の方に戻っていた。
その時、遠くで小さな破裂音が響いた。
真っ直ぐに空へと上がっていく光の粒。意識しないで私はそれを目で追っていた。
そしてその光が止まったと思った瞬間、大輪の花が夜空に咲いた。
直後、破裂音が響いて、それと同時に新しい光が昇っていた。
「綺麗な色だな……」
「うん……」
それからはしばらくの間、私は大した会話もせずに花火に見入っていた。
ジーク様は私を抱き寄せて何かと葛藤したりもしていたみたいだけど……。
花火が終わって屋敷に戻ると、廊下で顔を赤らめたリーシェ様とお兄様とすれ違って、私は心の中でリーシェ様に「おめでとう」と言った。
口付けをしているところは見ていないけど、様子がそうとしか思えなかったから……。
「フィーナ、この後はもう寝る?」
すれ違って少しして、そんなことを聞いてくるジーク様。
「そのつもりだけど、どうかしたの?」
「ソーラス様から頂いたワインに付き合ってもらおうと思ってね」
「私、お酒はあまり強くないから少しだけなら……」
ローザニアでは結婚出来る年齢……成人を迎えたらお酒を飲んでも大丈夫とされているから、今年17歳になる私でも飲むことが出来る。
これはグレイヴでも同じで、男性は16歳から、女性は14歳からになっている。
ちなみに、ローザニアには成人を迎えた日に、それを祝うパーティーで初めてお酒を口にする習わしがある。
その時は酔ってしまったりはしなかったのだけど、その翌年の建国記念祭の夜にお兄様に乗せられてワインを飲みすぎてしまって大変なことをしてしまったのよね……。
それ以来、お酒の類は口にしないようにしていたから、ちょうど1年振りに口にすることになる。
「もちろんたくさん飲ませたりはしないから安心して。ダイニングで待ってる」
「うん」
そう返事をして、私は湯浴みのために部屋に戻った。
それから20分、魔法で髪を乾かしながらダイニングに入ると、ジーク様だけでなくお父様とお母様もいて驚いた。
「お待たせしました……」
「始めるから座って」
「始めるって、何を始めるのですか?」
「大事な話を、だ」
そうして、軽いお菓子とワインを口にしながら結婚についての話が始まった。
大事な話とは言っても、私とジーク様がどこまで進んだのかとか、身体を求めたり求められたことはあるかとか、普段は絶対に話せないよう内容の話をさせられてしまった。
恥ずかしくて言えないはずなのに、酔いのせいで全部話してしまっていた。
ちなみに、話が終わった後はお母様がお父様に強いお酒を勧めて酔い潰れさせていたわ。
お父様はお酒に強いと思ってたけど、あんな風になってしまうのね。
お父様は水を飲んだらすぐに回復していたけど、私はそうもいかず……ジーク様に抱き抱えられて寝室に向かう羽目になった。
「フィーナ、大丈夫?」
「うん、らいじょうぶ……」
「うん、大丈夫じゃなさそうだね」
「ジークさま、いっしょにねて?」
「それをしたらソーラス様に殴られるから、グレイヴに戻ったらね」
呂律の回らない状態でそんな会話をした後、気が付いたら朝になっていて、恥ずかしすぎてベッドの中で悶える私だった。
ちなみに、ジーク様はお父様よりも飲んでいたはずなのだけどあまり酔っていなかった。
去年までは王城から花火を見てたし、その前は家族でテラスや庭から見ていたから、ここから見るのは初めてになる。
「少し冷えてるけど、上着は着なくても大丈夫?」
少し風が吹いた時、そんなことを聞いてくるジーク様。
「大丈夫よ。これ、寒くならないように作られてるから」
「おお、ほんとだ。これなら大丈夫そうだな」
私が摘んで見せた袖をペタペタと触るジーク様。触ってみて安心したのか、彼の視線は街の方に戻っていた。
その時、遠くで小さな破裂音が響いた。
真っ直ぐに空へと上がっていく光の粒。意識しないで私はそれを目で追っていた。
そしてその光が止まったと思った瞬間、大輪の花が夜空に咲いた。
直後、破裂音が響いて、それと同時に新しい光が昇っていた。
「綺麗な色だな……」
「うん……」
それからはしばらくの間、私は大した会話もせずに花火に見入っていた。
ジーク様は私を抱き寄せて何かと葛藤したりもしていたみたいだけど……。
花火が終わって屋敷に戻ると、廊下で顔を赤らめたリーシェ様とお兄様とすれ違って、私は心の中でリーシェ様に「おめでとう」と言った。
口付けをしているところは見ていないけど、様子がそうとしか思えなかったから……。
「フィーナ、この後はもう寝る?」
すれ違って少しして、そんなことを聞いてくるジーク様。
「そのつもりだけど、どうかしたの?」
「ソーラス様から頂いたワインに付き合ってもらおうと思ってね」
「私、お酒はあまり強くないから少しだけなら……」
ローザニアでは結婚出来る年齢……成人を迎えたらお酒を飲んでも大丈夫とされているから、今年17歳になる私でも飲むことが出来る。
これはグレイヴでも同じで、男性は16歳から、女性は14歳からになっている。
ちなみに、ローザニアには成人を迎えた日に、それを祝うパーティーで初めてお酒を口にする習わしがある。
その時は酔ってしまったりはしなかったのだけど、その翌年の建国記念祭の夜にお兄様に乗せられてワインを飲みすぎてしまって大変なことをしてしまったのよね……。
それ以来、お酒の類は口にしないようにしていたから、ちょうど1年振りに口にすることになる。
「もちろんたくさん飲ませたりはしないから安心して。ダイニングで待ってる」
「うん」
そう返事をして、私は湯浴みのために部屋に戻った。
それから20分、魔法で髪を乾かしながらダイニングに入ると、ジーク様だけでなくお父様とお母様もいて驚いた。
「お待たせしました……」
「始めるから座って」
「始めるって、何を始めるのですか?」
「大事な話を、だ」
そうして、軽いお菓子とワインを口にしながら結婚についての話が始まった。
大事な話とは言っても、私とジーク様がどこまで進んだのかとか、身体を求めたり求められたことはあるかとか、普段は絶対に話せないよう内容の話をさせられてしまった。
恥ずかしくて言えないはずなのに、酔いのせいで全部話してしまっていた。
ちなみに、話が終わった後はお母様がお父様に強いお酒を勧めて酔い潰れさせていたわ。
お父様はお酒に強いと思ってたけど、あんな風になってしまうのね。
お父様は水を飲んだらすぐに回復していたけど、私はそうもいかず……ジーク様に抱き抱えられて寝室に向かう羽目になった。
「フィーナ、大丈夫?」
「うん、らいじょうぶ……」
「うん、大丈夫じゃなさそうだね」
「ジークさま、いっしょにねて?」
「それをしたらソーラス様に殴られるから、グレイヴに戻ったらね」
呂律の回らない状態でそんな会話をした後、気が付いたら朝になっていて、恥ずかしすぎてベッドの中で悶える私だった。
ちなみに、ジーク様はお父様よりも飲んでいたはずなのだけどあまり酔っていなかった。
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