115 / 155
115. 建国記念祭②
しおりを挟む
「ところで、目的の屋台はどこにあるんだ?」
歩きながらそんなことを聞いてくるジーク様。
私は広場のある場所を指差してこう答えた。
「あの赤と黄色の屋根の屋台よ」
「随分と派手な屋台だな」
「確かに派手だけど、分かりやすくて助かってるわ」
そんな会話をしながらその屋台に近付くと、その屋台の人ーーリーシェ様が私に手を振ってきた。
「もしかして、貴族がやってるのか?」
「商人さんと貴族が一緒にやってるのよ」
「それはなんというか、すごいな……」
驚いているみたいで、半ば放心しているような声を出すジーク様。
それからすぐにリーシェ様がいる屋台の前に着いた。
「リーシェ様、ごきげんよう」
「ごきげんよう、フィーナ様。そちらの殿方は婚約者様ですか?」
この前会ったときに話していたからか、そう問いかけてくるリーシェ様。
「ええ」
「はじめまして、フィーナの婚約者のジーク・アトランタと申します。よろしくお願いします」
「リーシェ・ウェスニアです。こちらこそ、宜しくお願いしますわ」
挨拶を交わすジーク様とリーシェ様。
私はそれが終わるのを待ってから、会話を再開した。
「リーシェ様はお兄様と会う約束はしていますの?」
「ええ、午後から一緒にこの辺りをまわる予定ですわ」
そんな時、屋台の裏のお店から男性が出てきて、リーシェ様に声をかけた。
「リーシェ様、本日はありがとうございました。これ以降は我々にお任せください」
「もうそんな時間なのね。フィーナ様、帰る準備をするので少し待ってていただけませんか?」
「分かりましたわ」
この後、リーシェ様がお兄様と行く予定がない場所を3人でまわって、お昼はうちの屋敷で一緒にとることになった。
元々リーシェ様はそうするつもりだったみたいで、お兄様に準備をお願いしていたらしい。
ちなみに、ルシアは彼女の婚約者様と夕方まで一緒にいるみたい。
今は歩いて屋敷に戻っているところなのだけど、話すことが無くなってしまって会話が途切れてしまっている。
そんな時、リーシェ様が私の耳元に顔を近づけてきて小声でこんなことを口にした。
「フィーナ様、相談がありますの」
「何かありましたの?」
「何かが起きたわけではないのですけど、実はまだイリアス様と口付けしたことすらなくて……。イリアス様の気持ちが私に向いてないのではないかと不安ですの」
恋して婚約してるはずなのに、口付けはまだだったなんて驚きだわ……。
「お兄様のことだから、リーシェ様に嫌われるのが怖くて出来ていないだけだと思いますわ。リーシェ様から誘ってみたら上手くいくと思いますけど……」
「わ、私からですか⁉︎ そんなの恥ずかしすぎて出来ませんわ!
その……フィーナ様からイリアス様に口付けするように伝えていただけませんか? 私の名前は伏せて」
「努力してみますわ」
「努力じゃなくて確実にお願いします!」
「う、うん……考えておくわ」
リーシェ様の勢いに負けて、つい頷いてしまった。
おまけに敬語も忘れてしまったけど、リーシェ様は特に気にしていないみたいだった。
歩きながらそんなことを聞いてくるジーク様。
私は広場のある場所を指差してこう答えた。
「あの赤と黄色の屋根の屋台よ」
「随分と派手な屋台だな」
「確かに派手だけど、分かりやすくて助かってるわ」
そんな会話をしながらその屋台に近付くと、その屋台の人ーーリーシェ様が私に手を振ってきた。
「もしかして、貴族がやってるのか?」
「商人さんと貴族が一緒にやってるのよ」
「それはなんというか、すごいな……」
驚いているみたいで、半ば放心しているような声を出すジーク様。
それからすぐにリーシェ様がいる屋台の前に着いた。
「リーシェ様、ごきげんよう」
「ごきげんよう、フィーナ様。そちらの殿方は婚約者様ですか?」
この前会ったときに話していたからか、そう問いかけてくるリーシェ様。
「ええ」
「はじめまして、フィーナの婚約者のジーク・アトランタと申します。よろしくお願いします」
「リーシェ・ウェスニアです。こちらこそ、宜しくお願いしますわ」
挨拶を交わすジーク様とリーシェ様。
私はそれが終わるのを待ってから、会話を再開した。
「リーシェ様はお兄様と会う約束はしていますの?」
「ええ、午後から一緒にこの辺りをまわる予定ですわ」
そんな時、屋台の裏のお店から男性が出てきて、リーシェ様に声をかけた。
「リーシェ様、本日はありがとうございました。これ以降は我々にお任せください」
「もうそんな時間なのね。フィーナ様、帰る準備をするので少し待ってていただけませんか?」
「分かりましたわ」
この後、リーシェ様がお兄様と行く予定がない場所を3人でまわって、お昼はうちの屋敷で一緒にとることになった。
元々リーシェ様はそうするつもりだったみたいで、お兄様に準備をお願いしていたらしい。
ちなみに、ルシアは彼女の婚約者様と夕方まで一緒にいるみたい。
今は歩いて屋敷に戻っているところなのだけど、話すことが無くなってしまって会話が途切れてしまっている。
そんな時、リーシェ様が私の耳元に顔を近づけてきて小声でこんなことを口にした。
「フィーナ様、相談がありますの」
「何かありましたの?」
「何かが起きたわけではないのですけど、実はまだイリアス様と口付けしたことすらなくて……。イリアス様の気持ちが私に向いてないのではないかと不安ですの」
恋して婚約してるはずなのに、口付けはまだだったなんて驚きだわ……。
「お兄様のことだから、リーシェ様に嫌われるのが怖くて出来ていないだけだと思いますわ。リーシェ様から誘ってみたら上手くいくと思いますけど……」
「わ、私からですか⁉︎ そんなの恥ずかしすぎて出来ませんわ!
その……フィーナ様からイリアス様に口付けするように伝えていただけませんか? 私の名前は伏せて」
「努力してみますわ」
「努力じゃなくて確実にお願いします!」
「う、うん……考えておくわ」
リーシェ様の勢いに負けて、つい頷いてしまった。
おまけに敬語も忘れてしまったけど、リーシェ様は特に気にしていないみたいだった。
69
あなたにおすすめの小説
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる