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111. レイラside 鉱山労働

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「おい、手が止まってるぞ!」

「これ以上は無理ですわ……」


 ここに来てから1週間、私は立っていられないくらいに疲弊していました。
 少しでも休んでいれば怒鳴られ、それでも動けなかったら鞭で打たれる。そんな過酷な状況になっていますわ。

 私以外は少し手を抜いていても全く怒られないのに、私だけこんな扱い酷いですわ!


「前にここに来たお嬢様は軽々とツルハシを振ってたんだけどなぁ?」

「それはその女がおかしいだけですわよ」

「そもそもお前は振り方が違うんだよ。持つのはここじゃなくてここ。1回やってみろ」


 偉そうにそう口にするこの男、厳つい見た目に反して意外と優しいみたいですわね。


「その前に少し休ませて欲しいですわ……」

「そうか……ヒール。これで動けるだろ?」

「ええ」


 回復魔法のお陰で身体中の疲れが取れたので、立ち上がってさっき言われた通りにツルハシを振ってみました。


「軽い……」

「だろ? あと少しで休憩だったけど、あと1時間は動けそうだな」


 この男、優しくなかったですわ……。悪魔ですわ!

 この後、昼食を挟んだ後も疲れる度に回復魔法をかけられてひたすらツルハシを振らされてしまいましたわ。



 翌朝、私は全身の激痛で目を覚ましました。


「うぅ……」


 全身が痛いから、痛む場所をおさえて痛みを和らげることなんて出来ませんでした。出来たのは悶えながらベッドの上を動くことだけ。
 ……本当にこの痛みはなんなのですの⁉︎


「おーい、飯冷めちまうぞ?」

「今……行きますわ……」


 ご飯を逃すわけにはいかないから、なんとかベッドから出て着替えを始めました。

 でも、腕を動かす度に痛みの上に激痛が走って中々進みませんでした。
 だから、仕方なく着替えないで食堂に向かいましたわ。

 今は寒い季節なので夏のように薄い生地ではありませんから他人の目を気にする必要がないのが救いですわね。


「可愛らしい格好してどうしたんだ?」

「身体中が痛くて……」

「あれだけ働かされれば痛くもなるだろうな。ゆっくり休めよ」

「ありがとう」


 こんな風に、私がここに来た理由を知っている人でも優しく接してくれているからまだなんとか過ごせているけど、たったの1週間で身体はボロボロになってしまいましたわ。
 この調子では1年も経たないうちに壊れてしまうかもしれません……。


「身体中が痛いって聞いたんだが、大丈夫か?」

「大丈夫じゃありませんわ」


 今度は昨日私に回復魔法をかけては働かせた男が話しかけてきました。


「すまないな。稀に回復痛を起こさない奴がいるから試したかったんだ。
 明日も休みにしてやるからゆっくりしろよ」


 この後、他の方からこの男が効率しか頭にない人だと聞いて怒りを覚えました。

 もちろん、あの女を許さないのは決まっていますわ!
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