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110. 婚約発表パーティー②

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「フィーナ様ごきげんよう。今日はパーティーに招待してくれてありがとう」

「ごきげんよう。こちらこそ招待に応じてくれてありがとう」


 お昼を過ぎて招待した方々が次々と会場に入ってきている今、私は会場の前の方で来たばかりの方々に挨拶をしている。
 今の会話の相手は友達のテレーゼ様だから砕けた口調になっているけど、他の方とは敬語で堅苦しい感じの挨拶になっている。


「フィーナ様からのお誘いなら断れませんわよ! ……今日はたくさんの方がお見えになるのね?」

「ええ、大事な発表があるから」

「なんの発表かなんとなく分かったわ。頑張って」


 笑顔でそう言ってくれるテレーゼ様。
 私達の周りにまだ挨拶が済んでいない人がいるから、それを気にしながら笑顔でお礼を言った。


「ありがとう」

「他の方が待っているみたいだから私は一旦離れるわね」

「分かったわ。また後で」

「ええ」


 そう言ってテレーゼ様が離れると、並んでいた方が声をかけてきた。
 ちなみに、隣にはジーク様がいて、一緒に挨拶を受けている。

 ローザニアだと婚約者以上の関係か同性の友人なら一緒に主催することが出来るのだけど、グレイヴでも同じみたいだからこの時点で私達の関係を理解している人は多いと思う。
 正式な発表はまだだから誰も「おめでとうございます」なんて言葉はかけてこないけど。


「ジーク、久しぶりだな。ところで、これはどういう状況なんだ?」

「見ての通りだ」

「なるほどなぁ、王女殿下の告白すら断っていたお前がなぁ……」


 そんなことあったのね……。

 そんなことを思いながらジーク様が友達と話をしている間は私が挨拶を引き受けて、それから15分ほどで全員との挨拶を終えた。



 そして予定の時間の半分くらいを過ぎた時についにこの時がやって来た。

 パーティー会場の真ん中ーー私達に視線が集まっている中、ジーク様が私と婚約したことを口にした。
 ちなみに、私のことは最初の挨拶の時に紹介してあるから私の存在を疑問に思っている声は無かった。


「……挙式は半年後を予定しています。その時は改めて招待状をお送りいたしますので、よろしくお願いいたします」


 ジーク様が頭を下げるのに合わせて私も頭を下げた。
 そして頭を上げると、アトランタ家と親交が深い方々からお祝いの言葉を頂いて無事に婚約発表を終えることが出来た。

 この後はパーティーを再開して各々で楽しむ人がいたり、私がご令嬢方に囲まれてしまったり。色々とあって大変だったけど、すごく楽しかったわ。
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