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57. 竜の国の社交界④
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「一番近くで見てたフィーナ様がこう言ってるのだから、ローザニアの王太子とは関わらない方が良さそうね」
そう言って、ちょうど私達の近くに来ていた殿方の方を向くローズ様。
「ハルト、今の話聞いてた?」
「彼女がローザニアの王太子を屑と言ったところからは聞いていたよ」
そう口にする金髪の殿方。ローズ様の婚約者様はラインハルト王子殿下だから、彼がその人だと思う。
私の発言のせいでローザニアに不都合が起きてしまったらどうしよう……。
王太子が痛い目を見るのは構わないけど、家族に迷惑がかかってしまうのは嫌だから。
「実はね、クラウス王太子から我が国のパーティーに参加したいとの申し出があったんだ。そんな屑に来られるのは困るから断りの手紙を送ることにするよ」
えっ、そんな手紙が来てたんですか……⁉︎
屑って言って正解だったみたいですね。
それから少しして、ジーク様が私の方に来てこう口にしました。
「何曲か一緒に踊ってくれないか?」
ここの社交界のパーティーでは、ローザニアと同じように、一曲はダンスをするのがマナーだから、この誘いが来るのは当然のこと。
ローザニアもグレイヴもダンスは同じだから、私は笑顔でこう答えた。
「はい、喜んで!」
ローズ様たちに断りを入れ、曲が変わるタイミングでジーク様にエスコートされて会場の中央に向かった。
自慢ではないけど、ダンスは上手い方だから恥ずかしくはないと思う。
ローザニアにいた頃は練習してもダンスが嫌いな誰かさんのせいで披露する機会が無かったのよね……。
だから、ようやく披露出来るのが嬉しいし、褒められるのを期待してしまってもいる。
でも、運の悪いことに私が一番苦手な曲が流れ始めてしまった。
「これは難しいから踊り甲斐があるな」
「そうですね……。足を踏んでしまわないか心配ですわ」
「フィーナなら大丈夫」
そう言って、ジーク様がリードを始めました。
踊り始めてすぐに分かったのだけど、ジーク様はかなりダンスが上手みたい。
おかげで私はジーク様のリードに乗るだけで済んでいる。
「ダンス上手なのですね」
「フィーナが上手だからそう見えるだけだ。フィーナとじゃなかったらこんな風には出来ないよ」
少し気の抜ける場所でジーク様に思ったことを伝えてみたら、そんなことを言われてしまった。
ダンスが終わって周りを見回すと、何故か私達以外に踊っている人がいなかった。
始めたときは他に10組くらいいたのだけど……。
「難しい曲だったから少し休憩しよう」
「はい」
私が返事をすると、ジーク様は私の腰を抱いてさっきまでいた場所に向かった。
ローズ様達のところに戻ると、早速ダンスのことについて色々と言われた。
「フィーナ様、ダンス上手なのね! ジーク様と息がピッタリ合っていたから思わず見惚れてしまったわ」
「ジーク様とフィーナ様の技量と仲が為せる技ですの?」
「技量はあると思うけど、仲は違うと思うわ……」
テレーゼ様に半ば興奮気味に聞かれて、少し引いてしまう私だった。
でも、ダンスのこともあってグレイヴの方々に初日で受け入れてもらえたみたいで安心した。
そう言って、ちょうど私達の近くに来ていた殿方の方を向くローズ様。
「ハルト、今の話聞いてた?」
「彼女がローザニアの王太子を屑と言ったところからは聞いていたよ」
そう口にする金髪の殿方。ローズ様の婚約者様はラインハルト王子殿下だから、彼がその人だと思う。
私の発言のせいでローザニアに不都合が起きてしまったらどうしよう……。
王太子が痛い目を見るのは構わないけど、家族に迷惑がかかってしまうのは嫌だから。
「実はね、クラウス王太子から我が国のパーティーに参加したいとの申し出があったんだ。そんな屑に来られるのは困るから断りの手紙を送ることにするよ」
えっ、そんな手紙が来てたんですか……⁉︎
屑って言って正解だったみたいですね。
それから少しして、ジーク様が私の方に来てこう口にしました。
「何曲か一緒に踊ってくれないか?」
ここの社交界のパーティーでは、ローザニアと同じように、一曲はダンスをするのがマナーだから、この誘いが来るのは当然のこと。
ローザニアもグレイヴもダンスは同じだから、私は笑顔でこう答えた。
「はい、喜んで!」
ローズ様たちに断りを入れ、曲が変わるタイミングでジーク様にエスコートされて会場の中央に向かった。
自慢ではないけど、ダンスは上手い方だから恥ずかしくはないと思う。
ローザニアにいた頃は練習してもダンスが嫌いな誰かさんのせいで披露する機会が無かったのよね……。
だから、ようやく披露出来るのが嬉しいし、褒められるのを期待してしまってもいる。
でも、運の悪いことに私が一番苦手な曲が流れ始めてしまった。
「これは難しいから踊り甲斐があるな」
「そうですね……。足を踏んでしまわないか心配ですわ」
「フィーナなら大丈夫」
そう言って、ジーク様がリードを始めました。
踊り始めてすぐに分かったのだけど、ジーク様はかなりダンスが上手みたい。
おかげで私はジーク様のリードに乗るだけで済んでいる。
「ダンス上手なのですね」
「フィーナが上手だからそう見えるだけだ。フィーナとじゃなかったらこんな風には出来ないよ」
少し気の抜ける場所でジーク様に思ったことを伝えてみたら、そんなことを言われてしまった。
ダンスが終わって周りを見回すと、何故か私達以外に踊っている人がいなかった。
始めたときは他に10組くらいいたのだけど……。
「難しい曲だったから少し休憩しよう」
「はい」
私が返事をすると、ジーク様は私の腰を抱いてさっきまでいた場所に向かった。
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「フィーナ様、ダンス上手なのね! ジーク様と息がピッタリ合っていたから思わず見惚れてしまったわ」
「ジーク様とフィーナ様の技量と仲が為せる技ですの?」
「技量はあると思うけど、仲は違うと思うわ……」
テレーゼ様に半ば興奮気味に聞かれて、少し引いてしまう私だった。
でも、ダンスのこともあってグレイヴの方々に初日で受け入れてもらえたみたいで安心した。
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