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36. ジークside 告げたいもの(2)

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「悔しいのでしたら、今日中にフィーナ様に告白してくださいませ」


 ああ、確かに悔しい。流石は幼い頃から世話になっているだけあるな。
 ティアナには本当に頭が上がらない。

 そして俺は負けず嫌いだ。煽られてそのままでいるなんて無理だ。


「ああ、いいだろう。その代わり、俺がフィーナに受け入れられたらお仕置きだからな?」


 だから、俺はこう口にしていた。
 告白したら、にしなかったのは負け犬のような感じが嫌だったからだ。俺にもプライドというものがある。


「ええ、よろしいですよ」


 言ったな? お仕置きは厳しいものにするが、いいんだな?
 俺を貶した罰だからしっかり受けてもらおう。



 そうして俺が決意を決めてから1時間、大きな袋を手にしたフィーナが帰ってきた。

 いざ告白することを決めると顔を合わせづらい。
 そのせいで少し彼女を避けるような形になってしまっていた。

 こっそり、フィーナが過ごしやすいように使用人達に指示をする時はそんな感覚無かったのに、だ。


 と、とりあえず、昼食で落ち着いたら庭に面したテラスに呼び出して告白しよう……。

 そう考えていたら、フィーナとティアナが何やら話しているのが聞こえてきた。


「ティアナさん、私ジーク様に嫌われるようなことをしてしまったのでしょうか……?」

「いいえ、大丈夫ですよ。ジーク様は悩んでいるだけですので」

「そうですか……」


 こっそり覗いてみると、フィーナは不安そうな表情を浮かべていた。

 彼女の様子を扉の隙間から見ていた俺は覚悟を決め、勢いよく扉を開けてこう口にした。


「フィーナ、後で庭に来てくれないか?」

「じ、ジーク様!? 今の会話聞いていましたか?」


 驚き慌てた口調でそう言うフィーナ。
 まずい……話しかけるタイミングを間違えた気がする。


「ティアナが俺を貶しているのは聞こえたぞ」

「そうですか……」


 安心したような表情を見せた彼女は、すぐに心配そうな表情を浮かべてティアナの方を見ていた。
 やはりフィーナは使用人のことも大切に思っているようだ。


「それで、庭には来てもらえるか?」

「は、はいっ。……いつ行けばよろしいでしょうか?」

「昼食後に呼ぶからその時に来てくれ」

「分かりましたわ」


 そう答えるフィーナは落ち着きを取り戻しているように見えた。


 それから2時間後、庭で俺はフィーナと向かい合っていた。

 庭には色鮮やかな花々が咲き誇っていて、こういうことをするにはうってつけの場所だろう。


「急に呼び出してすまない。
 初めて出会った時から貴女のことが好きだったんです。僕と付き合ってくれませんか?」


 俺がそう告げると、フィーナは困惑したように瞬きをするのだった。


***************


 ジーク様は不器用なようです。
 残念さんですみません……!
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