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31. 家族からの手紙

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 アルディアさんに乗ってジーク様の家に戻る途中のことだった。


「ねえ、あれって何?」


 背中に馬車のようなものを乗せた白い竜と人が乗っている青い竜7頭とすれ違い、気になった私はアルディアさんに尋ねてみた。


『白竜と青竜だよ。ああ見えて、白竜は僕達黒竜と同じ種なんだ』

「正反対の色なのに⁉︎」


 思わず驚きの声を上げてしまった。
 確かに体の形は似ていたけど、色が違いすぎて同じ種とは思えなかったから。


『正反対の色だけど、同じ種だよ。雄は黒竜に、雌は白竜になるんだ』

「そうなのね。不思議だわ……」


 最後の呟きはすごく小さな声になったからアルディアさんにも聞こえなかったみたいで、特に反応は無かった。




 ジーク様の家にたどり着いて中に入ると、玄関までティアナさんが出迎えに来てくれた。


「お帰りなさいませ」

「ただいま。わざわざ出迎えてくれてありがとう」

「これくらい大した事ではありませんから、お気になさらないでください。
 昼食の用意は出来ておりますので冷めないうちにダイニングまで来てください」

「もう出来てるのね。すぐに行くわ」


 遠慮がちにそう口にするティアナさん。
 昼食が出来ていると聞いた私は急いでダイニングに向かった。

 着替えは後でいいよね……? ご飯、冷めちゃうと申し訳ないもの。


 ダイニングに着くと、並べられている料理からは湯気が上がっていた。

 ジーク様の姿は無く、並べられているのも私の分だけだった。
 ちなみに、アルディアさんは一日二食だからお昼は食べない。

 だから、必然的に一人で食べることになったのだけど……


「寂しいわ……」


 いつもはお話ししながら食べていたから、虚無感がすごくて思わず呟いてしまった。


『僕で良かったら話し相手になるよ?』

「大丈夫よ。ジーク様のところに行かなくちゃ行けないのでしょう? 私のことは気にしなくていいから早く行ってあげて」


 これくらい耐えられるから、私はアルディアさんの羽毛を撫でながらそう口にした。


『分かったよ。じゃあ、行ってくるね』


 アルディアさんはそう言って、窓から飛び出していった。



 それから少しして、部屋に戻った私はお父様からの手紙をようやく確認することが出来た。

 手紙にはお母様が寝込んでしまったことが書かれていた。
 一日で良くなったみたいだけど、すごく心配させてしまったみたいで申し訳なかった。

 意外なことに、私を支持する人が多いらしいということも書かれていた。
 突然現れて王太子妃になろうとしているレイラ様を良く思わない人と、殿下が私を捨てた行動に不満がある人が多いみたい。

 よく考えてみたらそうなるよね。いくら男性や王族が有利でも限度というものがあるもの。


 ちなみに、私と殿下が仲直りして欲しいっていうか声もあるみたいだけど、私は二度と関わるつもりは無い。
 私が殿下にものすごく怒っているというのもあるけど、仲直りしたところでまた捨てられるのが目に見えてるもの……。
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