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18. フィーナ父side 調査開始(1)

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「アイリスの具合は?」

「安定しております。お医者様は心労によるものだとおっしゃっていました」


 フィーナが罪を着せられて家を出た翌日、妻のアイリスが熱を出して寝込んでしまった。
 滅多に体調を崩さないのに寝込むとは、相当ショックだったに違いない。

 今もフィーナがどこにいるのかは不明だが、騎士団の会話から街道を使わずに山を越えて隣国に渡ったところまでは分かっている。
 昨晩眠っていないことを考えると倒れてしまっている可能性も十分ある。

 おまけに1人での移動だ。慣れない移動に魔物との戦闘も相まって、相当消耗しているに違いない。

 アイリスにはそれが分かっているはずだ。以前、隣国に行った時に魔物の群れと遭遇したことがあるから。
 優秀な護衛のお陰で怪我人を出すことは無かったが、その時のアイリスはかなり怯えていたから、相当怖かったのだろう。


 今はただ祈ることしか出来ないが、無事だった時のためにやれる事はやり始めている。


 フィーナと殿下の婚約は、殿下が婚約者候補の中から気に入った令嬢を選ぶという方法で決まったものだ。

 最初はフィーナが慣れることが出来ず距離をとっていたが、次第に距離が縮まって想いあっていた。
 よく喧嘩していたようだが、すぐに仲直りしていたから仲が良かったのは間違いないだろう。

 国王陛下も真面目で国政において優秀な殿下のことを期待していたし、信用していたから私は安心していた。
 だが、結果はこれだ。


 考えられるのは2つ。

 殿下が本性を隠していたか、変わられてしまったのか。あるいはその両方か。
 王族は隠すのが上手いから、どれも可能性がある。

 だから、王宮とサーペンス公爵家に探りを入れることにした。


「公爵家が何を考えているか分からない。決して見つかるなよ」

「畏まりました」


 恭しく頭を下げ、隠密に長けた騎士は私の書斎を後にした。

 ちなみに、王宮へは私が探りに行く予定だ。
 王宮は許可されていない者は入ることが出来ないから。


「旦那様、馬車の用意が出来ました」

「アイリスの様子を見たらすぐ行く」


 執事にそう告げてから夫婦の寝室に向かった。


「ソーラス……」

「無理はしなくていい。必ずフィーナが帰ってこれるようにするから待っててくれ」

「分かりましたわ……。お気をつけて行ってらっしゃいませ」

「ああ、行ってくる」


 無理しなくていいと言ったのに起き上がったアイリスと抱擁を交わしてから馬車へと向かった。


 王宮に着いたら、すぐに仕事を済ませてから王太子の調査にあたるつもりだ。
 兵部卿の次に地位の高い私が王宮内を回っていても、特に怪しまれる事はないはずだ。

 王太子の変化が公爵令嬢のせいである事、フィーナが無事である事、それを祈りながら王宮に向かった。
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