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4. 家出②
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「やはり、来てしまいましたね。外を見たら罪人を連行するための馬車が見えましたので、早くここを出た方が良さそうです」
そんなことを口にするアンナ。それを聞いて私は驚いたし、怖くなった。
なぜ私を罪人にする必要があるのか全く分からない。
二度と関わらないで下さいって言葉は、私から何も関わらないと言っているも同然なのに。
「お嬢様、考えるよりも逃げるのが先です」
考え込んでいると、アンナにそう言われて考えるのをやめた。
「そうよね。ありがとう」
「お礼など不要ですわ。
無事に逃げられたら、お手紙を頂けると嬉しいです。お気をつけて」
窓の縁に縄を引っ掛けたアンナがそう口にする。
このロープを伝って降りて、馬で裏門から屋敷を出る計画だ。
ちなみに、ドレスは帰ってきたときに脱いでいて、お忍びで移動する用の服に着替えてある。
「じゃあ、行ってくるわ。本当に今までありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございました。どうかご無事で」
何年も側にいてくれたアンナと別れるのは寂しいけど、アンナは平民だからいつでも会える。
別れを告げて、私は窓から身を乗り出した。
お父様に言われて、いざというときに3階からでも脱出出来るように訓練してあるから、難なくロープを伝って降りる事が出来た。
何かに使えるかもしれないロープを回収し、馬に乗って裏門から屋敷を出る事に成功した。
まさかお父様に言われていざと言う時のために訓練していた事を本当にやる事になるとは思わなかっけど……。
文句を言いながらもしっかりやっておいて良かったわ。
王都を無事に出て街道を進んでいく途中、こんな会話が耳に飛び込んできた。
「まさか街道が封鎖されてるとは思わなかったな」
「ああ、まったくだ。余計な旅費がかかっちまうじゃねえか」
「不敬罪を働いた令嬢を捕まえたら賞金が貰えるらしいぞ。俺達で探して捕まえるのはどうだ? 旅費が取り返せるどころか大儲けだ」
「おい、その令嬢の特徴は分かるか?」
「ブロンドで碧眼らしいぞ……って、いるじゃねえか、そこに」
商人らしき殿方が私を指差す。
「待て待て、令嬢は馬に乗れないだろ。他所の商家の娘だろ」
「それもそうか……。嬢ちゃん、疑ってごめんな!」
そう口にする商人らしき殿方。
おそらく賞金をかけられてるのは私なのだけど、もちろん口には出さない。
「もう暗くなってるし、街道は封鎖されてるみたいだから引き返した方が身のためだよ!」
「心配してくれてありがとう! どうしても明日までに届けないといけない荷物があるから通してもらえないか聞いてみるわ!」
「そりゃ大変だな。気をつけてな!」
「うんっ」
商人の娘を演じてなんとか窮地を抜け出す事ができた。
商人さんの目は誤魔化せても、騎士団の目は誤魔化せないと思う。
だから、私は街道を外れて草原を通る事にした。
そんなことを口にするアンナ。それを聞いて私は驚いたし、怖くなった。
なぜ私を罪人にする必要があるのか全く分からない。
二度と関わらないで下さいって言葉は、私から何も関わらないと言っているも同然なのに。
「お嬢様、考えるよりも逃げるのが先です」
考え込んでいると、アンナにそう言われて考えるのをやめた。
「そうよね。ありがとう」
「お礼など不要ですわ。
無事に逃げられたら、お手紙を頂けると嬉しいです。お気をつけて」
窓の縁に縄を引っ掛けたアンナがそう口にする。
このロープを伝って降りて、馬で裏門から屋敷を出る計画だ。
ちなみに、ドレスは帰ってきたときに脱いでいて、お忍びで移動する用の服に着替えてある。
「じゃあ、行ってくるわ。本当に今までありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございました。どうかご無事で」
何年も側にいてくれたアンナと別れるのは寂しいけど、アンナは平民だからいつでも会える。
別れを告げて、私は窓から身を乗り出した。
お父様に言われて、いざというときに3階からでも脱出出来るように訓練してあるから、難なくロープを伝って降りる事が出来た。
何かに使えるかもしれないロープを回収し、馬に乗って裏門から屋敷を出る事に成功した。
まさかお父様に言われていざと言う時のために訓練していた事を本当にやる事になるとは思わなかっけど……。
文句を言いながらもしっかりやっておいて良かったわ。
王都を無事に出て街道を進んでいく途中、こんな会話が耳に飛び込んできた。
「まさか街道が封鎖されてるとは思わなかったな」
「ああ、まったくだ。余計な旅費がかかっちまうじゃねえか」
「不敬罪を働いた令嬢を捕まえたら賞金が貰えるらしいぞ。俺達で探して捕まえるのはどうだ? 旅費が取り返せるどころか大儲けだ」
「おい、その令嬢の特徴は分かるか?」
「ブロンドで碧眼らしいぞ……って、いるじゃねえか、そこに」
商人らしき殿方が私を指差す。
「待て待て、令嬢は馬に乗れないだろ。他所の商家の娘だろ」
「それもそうか……。嬢ちゃん、疑ってごめんな!」
そう口にする商人らしき殿方。
おそらく賞金をかけられてるのは私なのだけど、もちろん口には出さない。
「もう暗くなってるし、街道は封鎖されてるみたいだから引き返した方が身のためだよ!」
「心配してくれてありがとう! どうしても明日までに届けないといけない荷物があるから通してもらえないか聞いてみるわ!」
「そりゃ大変だな。気をつけてな!」
「うんっ」
商人の娘を演じてなんとか窮地を抜け出す事ができた。
商人さんの目は誤魔化せても、騎士団の目は誤魔化せないと思う。
だから、私は街道を外れて草原を通る事にした。
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