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3. 王太子side 評価のために
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王太子視点です。
後半少しふざけてしまっているので、温かい目で見ていただけると幸いです。
***************
「慰謝料は結構です。さようなら」
そう言われた時、僕はフィーナに腹が立った。
そもそも、最初は可愛く振る舞って僕を騙していたフィーナが悪いのだ。
最近は僕に冷たくて文句が多いかったから、捨てられて当然だ。
という理由で婚約破棄したのだが、この慰謝料を払わなければ僕が婚約破棄したということは無かったことにできない。
そうなれば僕の周囲からの評価は下がるに違いない。
今は先祖様が作った風潮のお陰でフィーナが悪いということになっているが、いつそれが崩れるかは分からない。
フィーナが可愛くないのは分かっていたが、まさかここまで酷いとは思わなかった。
「慰謝料を受け取らないだと? 僕の気持ちを少しくらい考えろ!」
フィーナが悪いとされている今なら問題ないと判断して、僕は怒りを込めて言い放った。
だが、目に涙を浮かべるフィーナは落ち着いていたようで、冷めた声で言い返してきた。
「私の気持ちを踏み躙った貴方がそれを言うのですか? 殿下には失望しました。
もう二度と私に関わらないでください」
そう言い会場の外へ駆けるフィーナを僕は引き止めようとした。
別れた女にも温情をかけるように見せれば、自分の周囲からの印象が良くなるという打算の元に。
だが、レイラが僕の腕を抱いていたから、それは叶わなかった。
「クラウス様、なぜあの女を追う必要がありますの?」
「温情をかけてあげた方が僕の評価に繋がると思ったんだよ」
「それでしたら、使いの者を出せばいいだけの話じゃないですか。なにも、あの女に払う必要はないのですよ?
慰謝料ならアストリア家に払えばそれで十分ですわ」
確かにレイラの言う通りだ。だが、フィーナが僕を恨んで手にかけようとするかもしれない。
その懸念を伝えると、レイラはこう答えた。
「そういうことでしたら、不敬罪で国外追放にすればよろしいのではなくって? 先程のあの女の言葉は不敬ととることも出来ますわ」
「よし、そうしよう。これでレイラと安心して結婚出来るよ」
僕はそう口にして、レイラを抱きしめた。
10秒程の抱擁の後、騎士を呼んでフィーナの拘束を命じた。
まずはフィーナを拘束して、慰謝料をアストリア家に払ってから国外追放に処すつもりだ。
ちなみに、フィーナがここを出た後の周囲の反応はこうだった。
「あんなこと言って、ご家族に迷惑をかけるということが分からないのかしら?」
「あんな強気の女と婚約させられていた殿下が可哀想ですわ」
「馬鹿っ、殿下に聞こえるわよ」
「あの女とは絶対に付き合わない方がいいな。尻に敷かれる」
「そもそも、なんで殿下はあんな女と婚約してたんだ?」
「魔力が高いからだったと思いますよ。陛下が命じたとか」
「それであんな可愛くない女と婚約してたんですね。まったく、陛下も殿下も見る目がありませんな」
おい、お前らいい加減にしないと不敬罪にするぞ? 全部聞こえてんだよ!
……という僕の心の声は届くはずもない。
「最初は可愛かったんですよ、あの女も。初めて見たときに一目惚れしてしまいましたから」
「貴方の目が節穴ということがよく分かりましたよ」
よし、今僕の悪口を言ったやつは後で呼び出そう。
そしてあの女が猫を被って僕を騙してた悪女だという事を教えよう。
後半少しふざけてしまっているので、温かい目で見ていただけると幸いです。
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「慰謝料は結構です。さようなら」
そう言われた時、僕はフィーナに腹が立った。
そもそも、最初は可愛く振る舞って僕を騙していたフィーナが悪いのだ。
最近は僕に冷たくて文句が多いかったから、捨てられて当然だ。
という理由で婚約破棄したのだが、この慰謝料を払わなければ僕が婚約破棄したということは無かったことにできない。
そうなれば僕の周囲からの評価は下がるに違いない。
今は先祖様が作った風潮のお陰でフィーナが悪いということになっているが、いつそれが崩れるかは分からない。
フィーナが可愛くないのは分かっていたが、まさかここまで酷いとは思わなかった。
「慰謝料を受け取らないだと? 僕の気持ちを少しくらい考えろ!」
フィーナが悪いとされている今なら問題ないと判断して、僕は怒りを込めて言い放った。
だが、目に涙を浮かべるフィーナは落ち着いていたようで、冷めた声で言い返してきた。
「私の気持ちを踏み躙った貴方がそれを言うのですか? 殿下には失望しました。
もう二度と私に関わらないでください」
そう言い会場の外へ駆けるフィーナを僕は引き止めようとした。
別れた女にも温情をかけるように見せれば、自分の周囲からの印象が良くなるという打算の元に。
だが、レイラが僕の腕を抱いていたから、それは叶わなかった。
「クラウス様、なぜあの女を追う必要がありますの?」
「温情をかけてあげた方が僕の評価に繋がると思ったんだよ」
「それでしたら、使いの者を出せばいいだけの話じゃないですか。なにも、あの女に払う必要はないのですよ?
慰謝料ならアストリア家に払えばそれで十分ですわ」
確かにレイラの言う通りだ。だが、フィーナが僕を恨んで手にかけようとするかもしれない。
その懸念を伝えると、レイラはこう答えた。
「そういうことでしたら、不敬罪で国外追放にすればよろしいのではなくって? 先程のあの女の言葉は不敬ととることも出来ますわ」
「よし、そうしよう。これでレイラと安心して結婚出来るよ」
僕はそう口にして、レイラを抱きしめた。
10秒程の抱擁の後、騎士を呼んでフィーナの拘束を命じた。
まずはフィーナを拘束して、慰謝料をアストリア家に払ってから国外追放に処すつもりだ。
ちなみに、フィーナがここを出た後の周囲の反応はこうだった。
「あんなこと言って、ご家族に迷惑をかけるということが分からないのかしら?」
「あんな強気の女と婚約させられていた殿下が可哀想ですわ」
「馬鹿っ、殿下に聞こえるわよ」
「あの女とは絶対に付き合わない方がいいな。尻に敷かれる」
「そもそも、なんで殿下はあんな女と婚約してたんだ?」
「魔力が高いからだったと思いますよ。陛下が命じたとか」
「それであんな可愛くない女と婚約してたんですね。まったく、陛下も殿下も見る目がありませんな」
おい、お前らいい加減にしないと不敬罪にするぞ? 全部聞こえてんだよ!
……という僕の心の声は届くはずもない。
「最初は可愛かったんですよ、あの女も。初めて見たときに一目惚れしてしまいましたから」
「貴方の目が節穴ということがよく分かりましたよ」
よし、今僕の悪口を言ったやつは後で呼び出そう。
そしてあの女が猫を被って僕を騙してた悪女だという事を教えよう。
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