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39. 余命7日⑤
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孤児院を出た私達は、そのまま馬車に乗って王都へと向かった。
その道中は行きのように楽しく殿下と言葉を交わすことはなく、馬車の中は重い空気が漂っていた。
「君が領地の管理をしていたのは本当か?」
「本当ですわ。孤児院や診療所に関することは全て私と姉でしていましたので」
「去年まで、だったか?」
「ええ。今年は全てお父様がしているはずです」
殿下の問いかけにそう答える私。
なんだか罪人になった気分だったけれど、殿下の口調は優しいまま。
「なるほど……。これは侯爵を罰する必要があるかもしれないな」
だから、さっきまでの優しい口調が消え、重い口調でこう言われた時は少し驚いた。
「そうなりますわよね……」
「侯爵本人だけに与える罰だから、君が心配する必要はない」
「ですが、必然的に私も白い目で見られることになりますわ」
家族が1人でも何かをすれば、全員白い目で見られることになってしまうのは当たり前のこと。
ただでさえ私は婚約破棄をしたばかりだから、出来れば騒ぎは起こしたくなくなかった。
でも、起きてしまったことは仕方ないものね……。
「それはそうだな……。なら、こうしよう。
表に出ないように処罰しよう」
「お気遣いありがとうございます。
ところで……どうして私にだけ良くしてくださるのですか?」
ずっと疑問に思っていたことを問いかけてみる私。
すると殿下は黙り込んでしまって、背中に冷たいものが走った。
もしかしたらとんでもない間違いをしてしまったかもしれない。そう思えたから。
「それはだな……」
そう呟いて視線を彷徨わせる殿下。
私はただ無言で次の言葉を待った。
「……レティシア、君のことを気に入っているからだ」
「そういうことでしたのね……」
気分を損ねた訳ではなくて良かったわ……。
一瞬そう思ったのだけど、それから殿下が私と視線を合わせてくれることはなくて。
王都に戻る馬車の中はものすごく気まずい空気になってしまった。
(王太子はレティシアのことが好きなのね)
途中でフレアがそんなことを伝えてきたけど、何かを考える気にはなれなかった。
殿下に嫌われたかもしれない、そのことで頭がいっぱいだったから。
「到着いたしました」
御者さんからそんな声がかけられ、遅れて馬車の扉が開けられる。
するとすぐに殿下が馬車から降りて、次に私が降りることになった。
ずっと気まずい空気だったのに、殿下は手を貸そうとしてくれた。
でも、こんな気まずい状態だからその手を取ることは出来なくて、1人で降りた。
「変なことを聞いてしまって申し訳ありませんでした」
今更ながら謝罪していなかったことに気付き、頭を下げる私。
「君は何も悪いことはしていない」
「ですが、殿下はずっと不機嫌そうでした」
「それは別の問題があったからだ。君は関係ない。
とりあえず、視察はこれで終わりだからもう戻ってもらって構わない。お疲れ様」
そう口にする殿下。そんな時、殿下とよく行動している護衛の騎士さんがこんなことを口にした。
「殿下、そろそろ気持ちを告げたらどうですか?」
「まだそう言う関係ではないから無理だ」
「はぁ……取られても知りませんからね」
「……では、私はこれで失礼しますわ」
間が空いた隙に、頭を下げる私。
与えられている部屋に向かおうと数歩歩いた時だった。
「レティシア嬢、話したいことがある」
殿下が真剣な口調で声をかけてきた。
その道中は行きのように楽しく殿下と言葉を交わすことはなく、馬車の中は重い空気が漂っていた。
「君が領地の管理をしていたのは本当か?」
「本当ですわ。孤児院や診療所に関することは全て私と姉でしていましたので」
「去年まで、だったか?」
「ええ。今年は全てお父様がしているはずです」
殿下の問いかけにそう答える私。
なんだか罪人になった気分だったけれど、殿下の口調は優しいまま。
「なるほど……。これは侯爵を罰する必要があるかもしれないな」
だから、さっきまでの優しい口調が消え、重い口調でこう言われた時は少し驚いた。
「そうなりますわよね……」
「侯爵本人だけに与える罰だから、君が心配する必要はない」
「ですが、必然的に私も白い目で見られることになりますわ」
家族が1人でも何かをすれば、全員白い目で見られることになってしまうのは当たり前のこと。
ただでさえ私は婚約破棄をしたばかりだから、出来れば騒ぎは起こしたくなくなかった。
でも、起きてしまったことは仕方ないものね……。
「それはそうだな……。なら、こうしよう。
表に出ないように処罰しよう」
「お気遣いありがとうございます。
ところで……どうして私にだけ良くしてくださるのですか?」
ずっと疑問に思っていたことを問いかけてみる私。
すると殿下は黙り込んでしまって、背中に冷たいものが走った。
もしかしたらとんでもない間違いをしてしまったかもしれない。そう思えたから。
「それはだな……」
そう呟いて視線を彷徨わせる殿下。
私はただ無言で次の言葉を待った。
「……レティシア、君のことを気に入っているからだ」
「そういうことでしたのね……」
気分を損ねた訳ではなくて良かったわ……。
一瞬そう思ったのだけど、それから殿下が私と視線を合わせてくれることはなくて。
王都に戻る馬車の中はものすごく気まずい空気になってしまった。
(王太子はレティシアのことが好きなのね)
途中でフレアがそんなことを伝えてきたけど、何かを考える気にはなれなかった。
殿下に嫌われたかもしれない、そのことで頭がいっぱいだったから。
「到着いたしました」
御者さんからそんな声がかけられ、遅れて馬車の扉が開けられる。
するとすぐに殿下が馬車から降りて、次に私が降りることになった。
ずっと気まずい空気だったのに、殿下は手を貸そうとしてくれた。
でも、こんな気まずい状態だからその手を取ることは出来なくて、1人で降りた。
「変なことを聞いてしまって申し訳ありませんでした」
今更ながら謝罪していなかったことに気付き、頭を下げる私。
「君は何も悪いことはしていない」
「ですが、殿下はずっと不機嫌そうでした」
「それは別の問題があったからだ。君は関係ない。
とりあえず、視察はこれで終わりだからもう戻ってもらって構わない。お疲れ様」
そう口にする殿下。そんな時、殿下とよく行動している護衛の騎士さんがこんなことを口にした。
「殿下、そろそろ気持ちを告げたらどうですか?」
「まだそう言う関係ではないから無理だ」
「はぁ……取られても知りませんからね」
「……では、私はこれで失礼しますわ」
間が空いた隙に、頭を下げる私。
与えられている部屋に向かおうと数歩歩いた時だった。
「レティシア嬢、話したいことがある」
殿下が真剣な口調で声をかけてきた。
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