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25. 余命10日④
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「お待ちしておりました」
馬車を降りると、早速そんな声をかけられた。
「レティシア・ルードリッヒと申します。今日からお世話になります」
「こちらこそ、よろしくお願いします。早速ですが、王妃様がお話ししたいとおっしゃっていたので、そちらにご案内しますね」
「お願いしますわ」
そんな会話を交わし、煌びやかな廊下を進んでいく。
そして玉座の間を通り過ぎて少ししたところにある部屋に入った。
既に王妃様がいて、挨拶を交わしてから席に座る。
そしてお勤めに関する話になった直後、こんな質問をされた。
「貴女、学院は当然辞めないわよね?」
一応質問の形を取っているけれど、否定は許されない問いかけ。
「学院は辞めなくてはならないと聞いていたのですが……」
「貴女は優秀だから、特例よ。貴女のような優秀な人を途中で辞めさせたくないのよ」
「ですが、それではお仕事に影響が出てしまいます」
学院に通いながらお勤めをするのは、仕事量を減らさないと不可能。
だから影響が出てしまうと伝えたのだけど……。
「もちろん、仕事は学院に通いながら出来るだけの量にするわ。お給金もそのままよ」
「分かりましたわ」
条件が良すぎて怖いけど、私にそれだけの価値があると考えることにした。
ポジティブに考えた方が気持ちが楽だから。
「仕事内容についてだけど……話すよりも実際に見てもらった方が分かりやすいと思うから、話が終わったら案内するわ」
それからは王宮内の決まり事についての説明を受けたり、簡単なテストを受けたりした。
そして、ついに仕事内容についての説明が始まった。
「女官の仕事は大きく分けて2つあるわ。1つは私が治める直轄領の統治の補佐、もう1つは王宮内の財政管理ね。
どちらも、実際にやりながら覚えることになるわ。今は王宮の方の人が足りてないから、そちらをお願い出来るかしら?」
「畏まりました。精一杯努めさせていただきます」
不満は無かったから、私はそう言って頭を下げた。
「説明はこれで終わりだから、貴女の部屋に案内するわね」
そう言って立ち上がる王妃様。
数分かけて廊下を進むと、6という数字が小さく書かれている扉の前で立ち止まった。
「この部屋よ」
「分かりましたわ」
説明を受ける前に渡された鍵を取り出して、扉を開ける。
そこには、公爵家のものよりも二回り程広い部屋が広がっていた。
それでいてデザインは落ち着いた雰囲気になっていて、過ごしやすそうになっている。
でも、広すぎて落ち着かなさそうね……。
「この部屋は自由に使ってもらって構わないわ」
「分かりました。ありがとうございます」
そうは言ったけれど、今は荷物を持ってきている訳ではないから、簡単に確認だけしてから部屋を後にした。
王妃様とのお話はこれで終わり。
簡単に挨拶を交わして、私は公爵邸に戻った。
それから数時間。今日はこの後夜会が開かれるらしく、いつもより1時間早い夕食になっている。
準備は出来ているのだけど、気を使うのが嫌で時間ギリギリに食堂に入ったのだけど……。
相変わらずソーラス様とリゼ様は甘い空気を漂わせていて、ここにいるのは気まずかった。
「「いただきます」」
甘い空気をそのままに始まる夕食。
ふと、こんな声が聞こえてきた。
(あの2人、ムカつくわね……)
(何する気……?)
声から不穏な気配を感じて問いかける私。
直後、異変が起こった。
「熱っ!?」
そんな声を上げたソーラス様が口をおさえて目に涙を浮かべた。
(こうする気)
(フレア……程々にして欲しいわ)
(流石にこれ以上はやらないわよ)
この後の展開が怖いわ……。
「だからお気をつけくださいと申し上げましたのに……」
「すまない、油断していた……」
私の心配は無駄だったようで、揉め事になることは無かった。
安心してスープを口に含んでみると、それほど熱くなくて、ソーラス様のスープだけが熱くなっているようだった。
(ちなみにだけど、私は何もしてないわよ?)
(え……?)
(彼が猫舌なだけよ)
そういうことだったらしい。
意外な事実にクスリと笑ってしまいそうだったけど、それはなんとか堪えた。
馬車を降りると、早速そんな声をかけられた。
「レティシア・ルードリッヒと申します。今日からお世話になります」
「こちらこそ、よろしくお願いします。早速ですが、王妃様がお話ししたいとおっしゃっていたので、そちらにご案内しますね」
「お願いしますわ」
そんな会話を交わし、煌びやかな廊下を進んでいく。
そして玉座の間を通り過ぎて少ししたところにある部屋に入った。
既に王妃様がいて、挨拶を交わしてから席に座る。
そしてお勤めに関する話になった直後、こんな質問をされた。
「貴女、学院は当然辞めないわよね?」
一応質問の形を取っているけれど、否定は許されない問いかけ。
「学院は辞めなくてはならないと聞いていたのですが……」
「貴女は優秀だから、特例よ。貴女のような優秀な人を途中で辞めさせたくないのよ」
「ですが、それではお仕事に影響が出てしまいます」
学院に通いながらお勤めをするのは、仕事量を減らさないと不可能。
だから影響が出てしまうと伝えたのだけど……。
「もちろん、仕事は学院に通いながら出来るだけの量にするわ。お給金もそのままよ」
「分かりましたわ」
条件が良すぎて怖いけど、私にそれだけの価値があると考えることにした。
ポジティブに考えた方が気持ちが楽だから。
「仕事内容についてだけど……話すよりも実際に見てもらった方が分かりやすいと思うから、話が終わったら案内するわ」
それからは王宮内の決まり事についての説明を受けたり、簡単なテストを受けたりした。
そして、ついに仕事内容についての説明が始まった。
「女官の仕事は大きく分けて2つあるわ。1つは私が治める直轄領の統治の補佐、もう1つは王宮内の財政管理ね。
どちらも、実際にやりながら覚えることになるわ。今は王宮の方の人が足りてないから、そちらをお願い出来るかしら?」
「畏まりました。精一杯努めさせていただきます」
不満は無かったから、私はそう言って頭を下げた。
「説明はこれで終わりだから、貴女の部屋に案内するわね」
そう言って立ち上がる王妃様。
数分かけて廊下を進むと、6という数字が小さく書かれている扉の前で立ち止まった。
「この部屋よ」
「分かりましたわ」
説明を受ける前に渡された鍵を取り出して、扉を開ける。
そこには、公爵家のものよりも二回り程広い部屋が広がっていた。
それでいてデザインは落ち着いた雰囲気になっていて、過ごしやすそうになっている。
でも、広すぎて落ち着かなさそうね……。
「この部屋は自由に使ってもらって構わないわ」
「分かりました。ありがとうございます」
そうは言ったけれど、今は荷物を持ってきている訳ではないから、簡単に確認だけしてから部屋を後にした。
王妃様とのお話はこれで終わり。
簡単に挨拶を交わして、私は公爵邸に戻った。
それから数時間。今日はこの後夜会が開かれるらしく、いつもより1時間早い夕食になっている。
準備は出来ているのだけど、気を使うのが嫌で時間ギリギリに食堂に入ったのだけど……。
相変わらずソーラス様とリゼ様は甘い空気を漂わせていて、ここにいるのは気まずかった。
「「いただきます」」
甘い空気をそのままに始まる夕食。
ふと、こんな声が聞こえてきた。
(あの2人、ムカつくわね……)
(何する気……?)
声から不穏な気配を感じて問いかける私。
直後、異変が起こった。
「熱っ!?」
そんな声を上げたソーラス様が口をおさえて目に涙を浮かべた。
(こうする気)
(フレア……程々にして欲しいわ)
(流石にこれ以上はやらないわよ)
この後の展開が怖いわ……。
「だからお気をつけくださいと申し上げましたのに……」
「すまない、油断していた……」
私の心配は無駄だったようで、揉め事になることは無かった。
安心してスープを口に含んでみると、それほど熱くなくて、ソーラス様のスープだけが熱くなっているようだった。
(ちなみにだけど、私は何もしてないわよ?)
(え……?)
(彼が猫舌なだけよ)
そういうことだったらしい。
意外な事実にクスリと笑ってしまいそうだったけど、それはなんとか堪えた。
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