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45. side 逃げ
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晴人たちが隠密スキルで気配を隠している頃、食堂の角で静かに食事をとっている少年達はある異変に気付いていた。
「やばい、見つかったかもしれん。敵意感知が反応してる」
「マジか」
周囲を見回しても、自分たちを狙っている様子はない。
しかし敵意感知スキルは強く危険を知らせている。
「隠密持ちに気付かれたか」
「逃げよう」
「いや、姿が消せないからダメだろ」
「そこにいい物があるだろ」
一人の少年が指差したのは、真っ赤な筒状の物体だった。
側面には黒いホースが付いており、何かを噴射する道具に違いない。
「お前天才かよ。準備はいいか?」
「おう」
直後、少年達は赤い物体――消火器を掴んだ。
間髪入れずにホースを真上に向け、粉状の消火剤を周囲にばら撒いた。
「逃げるぞ!」
「「おう」」
消火剤によって生み出された煙幕を利用し、隠密スキルを発動させた彼らは一目散にその場から走り去った。
視界が完全に遮られたため、隠密スキルを発動させた後の彼らの姿を見た者はいない。
それどころか……。
「きゃああぁぁぁぁ!?」
「なんだなんだ?」
「ゲホッ……ゲホッ……」
食堂内はたちまちパニック状態に陥ってしまった。
この出来事を爆発と勘違いして逃げ出す者や、近くにいたせいで消火剤を吸い込み咳き込む者。
貴重な食糧に消火剤が入り込んで落ち込んでいる者などなど。
警備員数人では、この惨事を抑え込むことは出来なかった。
一方、市役所内にある会議室。
ここでは数名の市役所職員によって開票作業が行われていた。
「賛成票、数え終わりました」
「反対票はもう少し時間ください」
反対票のカウントに時間を要しているが、実際の票数は……。
「お待たせしました。こちらも数え終わりました」
……賛成が153票、反対が92票だった。
「市長、開票結果です」
「ご苦労様。もう君たちは上がって構わない」
「「お疲れさまでした」」
頭を下げて会議室を去る開票を担当していた職員達。
一方、市長と共に残った数名の職員達は作戦の立てる会議を始めていた。
「まず、現状動かせる戦力は八十名ほど。防衛には二十名は必要だと考えます」
「攻撃にそれだけの人数が必要ですか? 結界があるとはいえ、市長と娘さんが襲われないように万全を期すべきです」
「しかし、それでは攻撃部隊の損耗が激しくなってしまいます」
早速、職員達の間で意見の食い違いが起こった。
十人いれば全員の意見が一致しないのは当たり前である。
「索敵スキルで調べましたが、範囲内にモンスターが一万体はいます」
「多いな!?」
「瞬殺出来ても辛い戦いになりますね」
「そもそもそんな数どこに?」
予想外の多さに、会議は瞬く間に混沌の様相を呈していた。
「やばい、見つかったかもしれん。敵意感知が反応してる」
「マジか」
周囲を見回しても、自分たちを狙っている様子はない。
しかし敵意感知スキルは強く危険を知らせている。
「隠密持ちに気付かれたか」
「逃げよう」
「いや、姿が消せないからダメだろ」
「そこにいい物があるだろ」
一人の少年が指差したのは、真っ赤な筒状の物体だった。
側面には黒いホースが付いており、何かを噴射する道具に違いない。
「お前天才かよ。準備はいいか?」
「おう」
直後、少年達は赤い物体――消火器を掴んだ。
間髪入れずにホースを真上に向け、粉状の消火剤を周囲にばら撒いた。
「逃げるぞ!」
「「おう」」
消火剤によって生み出された煙幕を利用し、隠密スキルを発動させた彼らは一目散にその場から走り去った。
視界が完全に遮られたため、隠密スキルを発動させた後の彼らの姿を見た者はいない。
それどころか……。
「きゃああぁぁぁぁ!?」
「なんだなんだ?」
「ゲホッ……ゲホッ……」
食堂内はたちまちパニック状態に陥ってしまった。
この出来事を爆発と勘違いして逃げ出す者や、近くにいたせいで消火剤を吸い込み咳き込む者。
貴重な食糧に消火剤が入り込んで落ち込んでいる者などなど。
警備員数人では、この惨事を抑え込むことは出来なかった。
一方、市役所内にある会議室。
ここでは数名の市役所職員によって開票作業が行われていた。
「賛成票、数え終わりました」
「反対票はもう少し時間ください」
反対票のカウントに時間を要しているが、実際の票数は……。
「お待たせしました。こちらも数え終わりました」
……賛成が153票、反対が92票だった。
「市長、開票結果です」
「ご苦労様。もう君たちは上がって構わない」
「「お疲れさまでした」」
頭を下げて会議室を去る開票を担当していた職員達。
一方、市長と共に残った数名の職員達は作戦の立てる会議を始めていた。
「まず、現状動かせる戦力は八十名ほど。防衛には二十名は必要だと考えます」
「攻撃にそれだけの人数が必要ですか? 結界があるとはいえ、市長と娘さんが襲われないように万全を期すべきです」
「しかし、それでは攻撃部隊の損耗が激しくなってしまいます」
早速、職員達の間で意見の食い違いが起こった。
十人いれば全員の意見が一致しないのは当たり前である。
「索敵スキルで調べましたが、範囲内にモンスターが一万体はいます」
「多いな!?」
「瞬殺出来ても辛い戦いになりますね」
「そもそもそんな数どこに?」
予想外の多さに、会議は瞬く間に混沌の様相を呈していた。
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