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40. 検証作業
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【タイトル】
第40話 検証作業
【公開状態】
公開済
【作成日時】
2022-03-10 19:32:07(+09:00)
【公開日時】
2022-03-10 21:01:05(+09:00)
【更新日時】
2022-03-10 21:01:05(+09:00)
【文字数】
1,434文字
【本文(120行)】
朝食を終え、俺達は市役所の外に出てスキルの検証を始めた。
やることは一つ。隠密スキルの効果を受けた状態でモンスターに色々なことをするのみだ。
まずは最初に遭遇したゴブリンから。
周囲をぐるぐる回ったり、手を叩いてみたり。
「ゴブッ!?」
「あっ」
音を立てると気付かれるらしい。これは人間相手でも同じだな。
ここからはどうすれば再び隠密の効果が出るのかの検証だ。
俺がぐるぐる走り回り、ゴブリンの背後に回る。
そのタイミングに合わせ、レナさんがスキルを発動させる。
結果……。
ボコッ!
ゴブリンの目を欺くことは出来なかった。
攻撃は受けたが、痛くはない。最初は怖かった存在だが、所詮は雑魚モンスターなのだろう。
よし、次は距離を取って遮蔽物に隠れてから発動してみよう。
というわけで、移動スキルで一気に移動する。
そしてレナさんを抱き上げ、さらに三十メートルほど走った。
レナさんを抱き上げた理由は、レナさんのスキルは半径十メートル以内でないと発動できないからだ。
この時点で俺のスキルより効果範囲が広いのが羨ましいが、そんなことより今は検証だ。
「この辺でいいかな」
「はい、かけたよ」
小声でレナさんが教えてくれる。
その瞬間、なんとなく周囲に気付かれなくなったような感覚がした。
これが隠密が効いているという感覚なのだろう。
「サンキュ」
お礼を言って物陰から出て、ゴブリンの前に戻ってみた。
だが、ゴブリンは俺には気付かずに物陰へと向かっていった。
俺がまだ隠れていると思っているようだ。とりあえず、そのまま様子を見てみよう。
足音を出来るだけ殺して真後ろをつけているが、全く気付かれない。
距離を取って視線を遮れば、隠密スキルは有効になるようだ。
問題はその距離がどれくらいなのかだが、これはモンスターとスキルレベルによるだろう。
物陰まではあと数メートル。
そして……。
「きゃっ!?」
隠密スキルで隠れているはずのレナさんが攻撃を受けた。
攻撃したのは俺が後を追っていたゴブリンだ。
レナさんは小さく悲鳴を上げているが、ダメージは受けていないようで華麗にカウンターを入れていた。
ああ、大事な検証材料が……。
「今の、バレたというよりも予想して動いてる感じだったな……」
「そうみたいだね……。物陰に隠れ続けるのは危険ね」
「だな」
これは検証しておいて良かった。
モンスターが予想しながら動いていたら、見つかっていなくても危険なようだ。
ちなみに直接触れた時点で気付かれるから、こういう形でも攻撃を受けたら隠密の効果は切れてしまう。
ゴブリンが追撃しようとしていたのが証拠だ。
「次はあの犬で試してみるか」
「うん」
風下側だから、獣臭が少しする。
モンスターも動物と同じように臭うらしい。
臭いを我慢しながら近づくが、気付く気配はない。
試しに、そのまま真横を素通りしてみた。
「グルル……」
こちらを振り向いてにおいを嗅いでいるようだ。
だが、まだバレた気配はない。
いや、においを辿ってこっちに向かってきている。
そして、目が合った。
「眠れ」
飛び掛かってくる犬型モンスターに睡眠をかける。
「嗅覚が鋭い相手には効きにくいんだね……」
「そうみたいだな」
ちなみにこの後、風上側からも試してみた結果、ゆっくり動かなければバレないことが分かった。
多少の足音も問題はないようだ。
「一旦戻るか」
「うんっ」
理由は単純だ。
雨が降り始めたからだ。
「すごい降ってきたね……」
「傘、無いのか?」
「あっ……ごめん……」
アイテムボックスにあるのを失念していたらしく、レナさんは間抜けな声を上げた。
第40話 検証作業
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公開済
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2022-03-10 21:01:05(+09:00)
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【本文(120行)】
朝食を終え、俺達は市役所の外に出てスキルの検証を始めた。
やることは一つ。隠密スキルの効果を受けた状態でモンスターに色々なことをするのみだ。
まずは最初に遭遇したゴブリンから。
周囲をぐるぐる回ったり、手を叩いてみたり。
「ゴブッ!?」
「あっ」
音を立てると気付かれるらしい。これは人間相手でも同じだな。
ここからはどうすれば再び隠密の効果が出るのかの検証だ。
俺がぐるぐる走り回り、ゴブリンの背後に回る。
そのタイミングに合わせ、レナさんがスキルを発動させる。
結果……。
ボコッ!
ゴブリンの目を欺くことは出来なかった。
攻撃は受けたが、痛くはない。最初は怖かった存在だが、所詮は雑魚モンスターなのだろう。
よし、次は距離を取って遮蔽物に隠れてから発動してみよう。
というわけで、移動スキルで一気に移動する。
そしてレナさんを抱き上げ、さらに三十メートルほど走った。
レナさんを抱き上げた理由は、レナさんのスキルは半径十メートル以内でないと発動できないからだ。
この時点で俺のスキルより効果範囲が広いのが羨ましいが、そんなことより今は検証だ。
「この辺でいいかな」
「はい、かけたよ」
小声でレナさんが教えてくれる。
その瞬間、なんとなく周囲に気付かれなくなったような感覚がした。
これが隠密が効いているという感覚なのだろう。
「サンキュ」
お礼を言って物陰から出て、ゴブリンの前に戻ってみた。
だが、ゴブリンは俺には気付かずに物陰へと向かっていった。
俺がまだ隠れていると思っているようだ。とりあえず、そのまま様子を見てみよう。
足音を出来るだけ殺して真後ろをつけているが、全く気付かれない。
距離を取って視線を遮れば、隠密スキルは有効になるようだ。
問題はその距離がどれくらいなのかだが、これはモンスターとスキルレベルによるだろう。
物陰まではあと数メートル。
そして……。
「きゃっ!?」
隠密スキルで隠れているはずのレナさんが攻撃を受けた。
攻撃したのは俺が後を追っていたゴブリンだ。
レナさんは小さく悲鳴を上げているが、ダメージは受けていないようで華麗にカウンターを入れていた。
ああ、大事な検証材料が……。
「今の、バレたというよりも予想して動いてる感じだったな……」
「そうみたいだね……。物陰に隠れ続けるのは危険ね」
「だな」
これは検証しておいて良かった。
モンスターが予想しながら動いていたら、見つかっていなくても危険なようだ。
ちなみに直接触れた時点で気付かれるから、こういう形でも攻撃を受けたら隠密の効果は切れてしまう。
ゴブリンが追撃しようとしていたのが証拠だ。
「次はあの犬で試してみるか」
「うん」
風下側だから、獣臭が少しする。
モンスターも動物と同じように臭うらしい。
臭いを我慢しながら近づくが、気付く気配はない。
試しに、そのまま真横を素通りしてみた。
「グルル……」
こちらを振り向いてにおいを嗅いでいるようだ。
だが、まだバレた気配はない。
いや、においを辿ってこっちに向かってきている。
そして、目が合った。
「眠れ」
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「嗅覚が鋭い相手には効きにくいんだね……」
「そうみたいだな」
ちなみにこの後、風上側からも試してみた結果、ゆっくり動かなければバレないことが分かった。
多少の足音も問題はないようだ。
「一旦戻るか」
「うんっ」
理由は単純だ。
雨が降り始めたからだ。
「すごい降ってきたね……」
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アイテムボックスにあるのを失念していたらしく、レナさんは間抜けな声を上げた。
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