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31. 大量すぎて……
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「うわー、沢山いるなぁ」
消えた結界。迫る大量のモンスター。
それを見て、俺は他人事のように呟いた。
「スキルでなんとかならないかな……?」
「俺の近くならなんとかなると思うけど、離れてたら無理だと思う」
なんて話をしていると、拡声器を通した声が聞こえてきた。
「現在、大量のモンスターが接近中です。スキルを持っている方は防衛をお願いします!」
愚痴を漏らす人はいなかった。
おそらく、この場にいる全員が戦闘しなければ死ぬと理解しているのだろう。
俺もそうだ。いくらモンスターを無力化出来るスキルがあるとはいえ、この量を捌き切れるとは思えない。
それに、ここを守らなければ俺だけでなくレナさんの身が危ない。
三下? あいつは姿を見ないから、ビビって奥に引っ込んでるんだろう。
腹立たしいが、足手纏いになられるよりはマシだ。
「来たぞ!」
誰かが声を上げた。
それと同時に、目の前の道路にモンスターの大群が押し寄せてきた。
不思議なことに、モンスター達は柵を避け、幅十メートルほどの階段から広場に侵入してきた。
「これならやれそうだな」
そう呟きながら、俺は睡眠スキルを発動させた。
(仲間以外寝ろ!)
こう願えば仲間には効果が現れないことは昨日の夜の時点で確認してある。
だから確信をもって発動させていた。
「動きが止まったぞ! 今だ!」
「突っ込みすぎるな!」
俺のスキルに乗じて、周りの人たちが一斉に攻撃を仕掛ける。
次々と撃破されるゴブリンやオーク達。
だが、その後方にある四階建てのビルが崩れ落ち、巨大なゴーレムが姿を現していた。
そいつの動きは早くはない。オークの移動速度と同じくらいだ。
それくらいの速さで次々とビルを粉砕していく。
あんなものに人が殴られたらどうなるか――意識しなくても想像できてしまう。
しかし敵はゴーレムだけではない。
通常の四倍はあるだろうゴブリンやオークが多数、崩れたビルの向こうから迫ってきている。
「ちょっとゴーレムにスキルかけてくる」
奴のコアはビルの三階くらいの高さにある。
だが、移動スキルを使えばギリギリ届くだろう。
俺は地面を蹴って、一直線にゴーレムに突っ込んだ。
だが、ゴーレムは俺に気付いたらしく、俺に向かって腕を振りかざす。
慌てて回避しようとしたが、ここは空中。地面を蹴る足は空を切ってしまった。
だが、不思議なことに俺の飛ぶ軌道は少し横にずれた。
「ぐっ……」
迫るゴーレムの腕を殴り、反動で横に回避する。
刹那、風圧が俺を襲った。
「寝ろ!」
コアからは離れてしまったが、すぐにスキルを発動させる。
しかしゴーレムの動きは止まらない。
しかし、奴は後ろに移動した。
俺から距離を取ったのか……?
そう思ったのも束の間、モンスターの大群の中心に落ちた俺めがけてモンスターが迫ってくる。
まあ、睡眠スキルの効果範囲だから大丈夫……じゃなかった。
数が多すぎて埋もれそうになる。
慌ててジャンプし、モンスターの山に飛び乗る。
そしてひたすら剣を振った。
消えた結界。迫る大量のモンスター。
それを見て、俺は他人事のように呟いた。
「スキルでなんとかならないかな……?」
「俺の近くならなんとかなると思うけど、離れてたら無理だと思う」
なんて話をしていると、拡声器を通した声が聞こえてきた。
「現在、大量のモンスターが接近中です。スキルを持っている方は防衛をお願いします!」
愚痴を漏らす人はいなかった。
おそらく、この場にいる全員が戦闘しなければ死ぬと理解しているのだろう。
俺もそうだ。いくらモンスターを無力化出来るスキルがあるとはいえ、この量を捌き切れるとは思えない。
それに、ここを守らなければ俺だけでなくレナさんの身が危ない。
三下? あいつは姿を見ないから、ビビって奥に引っ込んでるんだろう。
腹立たしいが、足手纏いになられるよりはマシだ。
「来たぞ!」
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それと同時に、目の前の道路にモンスターの大群が押し寄せてきた。
不思議なことに、モンスター達は柵を避け、幅十メートルほどの階段から広場に侵入してきた。
「これならやれそうだな」
そう呟きながら、俺は睡眠スキルを発動させた。
(仲間以外寝ろ!)
こう願えば仲間には効果が現れないことは昨日の夜の時点で確認してある。
だから確信をもって発動させていた。
「動きが止まったぞ! 今だ!」
「突っ込みすぎるな!」
俺のスキルに乗じて、周りの人たちが一斉に攻撃を仕掛ける。
次々と撃破されるゴブリンやオーク達。
だが、その後方にある四階建てのビルが崩れ落ち、巨大なゴーレムが姿を現していた。
そいつの動きは早くはない。オークの移動速度と同じくらいだ。
それくらいの速さで次々とビルを粉砕していく。
あんなものに人が殴られたらどうなるか――意識しなくても想像できてしまう。
しかし敵はゴーレムだけではない。
通常の四倍はあるだろうゴブリンやオークが多数、崩れたビルの向こうから迫ってきている。
「ちょっとゴーレムにスキルかけてくる」
奴のコアはビルの三階くらいの高さにある。
だが、移動スキルを使えばギリギリ届くだろう。
俺は地面を蹴って、一直線にゴーレムに突っ込んだ。
だが、ゴーレムは俺に気付いたらしく、俺に向かって腕を振りかざす。
慌てて回避しようとしたが、ここは空中。地面を蹴る足は空を切ってしまった。
だが、不思議なことに俺の飛ぶ軌道は少し横にずれた。
「ぐっ……」
迫るゴーレムの腕を殴り、反動で横に回避する。
刹那、風圧が俺を襲った。
「寝ろ!」
コアからは離れてしまったが、すぐにスキルを発動させる。
しかしゴーレムの動きは止まらない。
しかし、奴は後ろに移動した。
俺から距離を取ったのか……?
そう思ったのも束の間、モンスターの大群の中心に落ちた俺めがけてモンスターが迫ってくる。
まあ、睡眠スキルの効果範囲だから大丈夫……じゃなかった。
数が多すぎて埋もれそうになる。
慌ててジャンプし、モンスターの山に飛び乗る。
そしてひたすら剣を振った。
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