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29. side 異変の理由
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「あの子とかどうだ?」
「胸が足りん」
「はぁ? 女は足だろ」
物陰に隠れて、ひそひそと話す三人の少年達。
彼ら――三下達は次に強姦する相手を探している最中だ。
そんな怪しい彼らの様子を認める者は残念ながらいない。
ほとんどの者は朝食の炊き出しのために広場に出ているのだ。
だから二階の廊下の化粧室前は、ほぼ無人の状態だった。
そんな場所まで彼らは、一人の少女を尾行してきたのだ。
「襲うなら今しかないだろ」
「はあ、仕方ねぇな。次は巨乳だぞ」
「分かった」
囁き合った直後、三人まとめて女子トイレに侵入し、目標が個室から出てくるまで息を潜め始めた。
そして……少女が個室から出てくると、三下は無言で手を掴んでスキルを発動させた。
「動くな。スキルも使うな」
抵抗しようとしていた少女の動きがピタリと止まる。
そこでようやく、三下達は嫌な笑みを浮かべた。
◇
同刻、市長室では異変が起こっていた。
「まずい……力が抜けてく……」
「大丈夫ですか!?」
「梨沙が無事か確認してくれ……」
表情を歪めつつ口にするのは、この市の長だ。
彼は『安全地帯』という名のスキルを持っており、この市役所を守れる重要な人物だ。
もっとも、彼単体ではスキルの膨大な魔力消費量ゆえに、スキルの効果を維持することは出来ない。
それを可能にしたのが、彼の長女――梨沙の持つ魔力生成と魔力譲渡というスキルがあってのものだった。
幸いにも、それらのスキルはほとんど疲労感を起こすことがなく、二十四時間使い続けても問題なかった。睡眠中も同様で、一度発動させれば効果は続いていた。
だから、この異変が起きた時、市長は酷く焦った。
愛する娘の死。それ以外に原因が思いつかなかったからだ。
「分かりました」
「頼む……新垣くんは防衛体制を整えてくれ。スキルはあと一分も持たない」
「承知しました」
市役所の職員にそれぞれ指示を出し、自身はスキルの維持に集中する。
そのお陰か、結界は異変から三分経ったところで壊れた。
だが、肝心の市長の長女は見つかっていない。
そこに追い打ちをかけるかのように、大規模なモンスターの侵攻が確認されてしまった。
「なぜこのタイミングで……」
頭を抱える市長。
市の職員には長女の重要性をスキルのことは伏せて伝えていたが、外部の人間に利用されることを恐れて警護はつけていなかった。
それが裏目に出てしまったかもしれないと思い、後悔していた。
一方、市長の長女を探す女性職員はというと……。
(聞いた話だと、お手洗いに行っていたようね……)
……この短時間で目撃情報を集め、居場所の特定に成功していた。
ちなみに証言をしたのは全員が市の職員である。当然、市長の長女の顔も知っていた。
「……じゃ、犯しますか」
「待て待て、いきなりやったら可哀そうだろ。まずは落ち着かせてから……」
ふと、男の声が聞こえてくる。
それだけで事態を理解した女性職員は、走って助けを求めに向かった。
「胸が足りん」
「はぁ? 女は足だろ」
物陰に隠れて、ひそひそと話す三人の少年達。
彼ら――三下達は次に強姦する相手を探している最中だ。
そんな怪しい彼らの様子を認める者は残念ながらいない。
ほとんどの者は朝食の炊き出しのために広場に出ているのだ。
だから二階の廊下の化粧室前は、ほぼ無人の状態だった。
そんな場所まで彼らは、一人の少女を尾行してきたのだ。
「襲うなら今しかないだろ」
「はあ、仕方ねぇな。次は巨乳だぞ」
「分かった」
囁き合った直後、三人まとめて女子トイレに侵入し、目標が個室から出てくるまで息を潜め始めた。
そして……少女が個室から出てくると、三下は無言で手を掴んでスキルを発動させた。
「動くな。スキルも使うな」
抵抗しようとしていた少女の動きがピタリと止まる。
そこでようやく、三下達は嫌な笑みを浮かべた。
◇
同刻、市長室では異変が起こっていた。
「まずい……力が抜けてく……」
「大丈夫ですか!?」
「梨沙が無事か確認してくれ……」
表情を歪めつつ口にするのは、この市の長だ。
彼は『安全地帯』という名のスキルを持っており、この市役所を守れる重要な人物だ。
もっとも、彼単体ではスキルの膨大な魔力消費量ゆえに、スキルの効果を維持することは出来ない。
それを可能にしたのが、彼の長女――梨沙の持つ魔力生成と魔力譲渡というスキルがあってのものだった。
幸いにも、それらのスキルはほとんど疲労感を起こすことがなく、二十四時間使い続けても問題なかった。睡眠中も同様で、一度発動させれば効果は続いていた。
だから、この異変が起きた時、市長は酷く焦った。
愛する娘の死。それ以外に原因が思いつかなかったからだ。
「分かりました」
「頼む……新垣くんは防衛体制を整えてくれ。スキルはあと一分も持たない」
「承知しました」
市役所の職員にそれぞれ指示を出し、自身はスキルの維持に集中する。
そのお陰か、結界は異変から三分経ったところで壊れた。
だが、肝心の市長の長女は見つかっていない。
そこに追い打ちをかけるかのように、大規模なモンスターの侵攻が確認されてしまった。
「なぜこのタイミングで……」
頭を抱える市長。
市の職員には長女の重要性をスキルのことは伏せて伝えていたが、外部の人間に利用されることを恐れて警護はつけていなかった。
それが裏目に出てしまったかもしれないと思い、後悔していた。
一方、市長の長女を探す女性職員はというと……。
(聞いた話だと、お手洗いに行っていたようね……)
……この短時間で目撃情報を集め、居場所の特定に成功していた。
ちなみに証言をしたのは全員が市の職員である。当然、市長の長女の顔も知っていた。
「……じゃ、犯しますか」
「待て待て、いきなりやったら可哀そうだろ。まずは落ち着かせてから……」
ふと、男の声が聞こえてくる。
それだけで事態を理解した女性職員は、走って助けを求めに向かった。
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