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22. レアドロ?
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もう少し奥に刺さないと駄目なのか?
そう思って、剣を一度引き抜いてから勢いよく突き刺してみた。
すると硬い何かにぶつかる感覚がした。
「あれ、手応えが無いな」
「もしかして、中身だけ逃げたのかな?」
「マジ?」
そんなことは無かった。
しっかりチャット欄の通知が動いている。
だから倒せてはいるのだろう。
ついでにレベルも1上がっている。経験値はやっぱり美味しかった。
「アイテムボックスに入れてみてもいい?」
「いいけど、何かあるの?」
「アイテム名の表示機能が追加されてたから、見てみようと思って」
「なるほど」
俺が返事をしている間に、ゴールド・オーク(中身は無い)が跡形もなく消えた。
「オークの金鎧だって」
「オークが鎧着てただけってことか?」
「そうみたい……」
つまり、経験値も通常と変わらないと。
タイミング良くレベルが上がっただけと。
あれだけ追いかけて得たものが、首を守れなければ着ることもできない鎧だけ。
悲しすぎる。
だが、通常のオークには睡眠が効くのに、アイツには効かなかった。
鎧にスキルを無効化できる効果があるのだろう。
この鎧の真価は常に装備することで発揮されるだろうが、重くて動きにくくて見た目も悪いときた。
デメリットの方が多くね?
「ハルさん、暗くなってきたから戻ろう?」
「そうだな」
考えるのは市役所に戻ってからにしよう。
というわけで、俺達は徒歩で市役所に向けて移動を始めた。
「祭りみたいだな……」
立ち並ぶ屋台。談笑する人々。
所々に立つ工事用の電灯。
どう見ても大きな祭りに近い状況が市役所前の広場に出来上がっていた。
「すごいね」
「ああ。ただの炊き出しの筈なんだけどな……」
この状況は完全に予想外だった。
炊き出しを屋外でしているから、安全のために照明を点けるのは間違ってはいないと思う。
しかし祭りのような雰囲気は緊張感が無さすぎてヤバい気がする。
おまけに光におびき寄せられたモンスターが結界のすぐ外側に集まってきている。
これは経験値獲得のチャンスか?
いや、そんなことよりも安全管理が少し不安だ。
「飯食ったら狩るか」
「こんなに暗いのに?」
「結界があるし大丈夫だろ」
そんなことを話しながら、炊き出しの列に並ぶ俺達。
今日のメニューは豚汁のようだ。しっかり野菜も入っていれば、白いご飯もある。
この世紀末な世界で温かいご飯が食べられるとは思わなかった。
「お待たせしました~。お熱いのでお気を付けてお持ちください」
「ありがとうございます」
お礼を言って豚汁を受け取り、隣のテントで白いご飯を受け取る。
トレーが欲しいところだが、そこまでは用意できなかったらしい。
「中で食べよう」
「うん」
ちなみにこの市役所には食堂があるらしく、食事はそこでしてもいいらしい。
ただ換気扇が使えないから料理は屋外でしているとか。
それよりも、零しそうで怖いな……。
落ち着いてテーブルに置いてと……。
ふぅ。なんとか溢さずに運べた。
「いただきます」
「いただきます」
一応、ちゃんと挨拶をしてから豚汁を啜る。
隣の二人組の会話が聞こえてきたのはその時だった。
「いやー、オークの肉って美味いんだな」
「どうやって取ったんだ? しっかし、豚汁だとオークか豚肉か区別つかねぇな」
「ブフォッ……!?」
マジかよ……。
そう思って、剣を一度引き抜いてから勢いよく突き刺してみた。
すると硬い何かにぶつかる感覚がした。
「あれ、手応えが無いな」
「もしかして、中身だけ逃げたのかな?」
「マジ?」
そんなことは無かった。
しっかりチャット欄の通知が動いている。
だから倒せてはいるのだろう。
ついでにレベルも1上がっている。経験値はやっぱり美味しかった。
「アイテムボックスに入れてみてもいい?」
「いいけど、何かあるの?」
「アイテム名の表示機能が追加されてたから、見てみようと思って」
「なるほど」
俺が返事をしている間に、ゴールド・オーク(中身は無い)が跡形もなく消えた。
「オークの金鎧だって」
「オークが鎧着てただけってことか?」
「そうみたい……」
つまり、経験値も通常と変わらないと。
タイミング良くレベルが上がっただけと。
あれだけ追いかけて得たものが、首を守れなければ着ることもできない鎧だけ。
悲しすぎる。
だが、通常のオークには睡眠が効くのに、アイツには効かなかった。
鎧にスキルを無効化できる効果があるのだろう。
この鎧の真価は常に装備することで発揮されるだろうが、重くて動きにくくて見た目も悪いときた。
デメリットの方が多くね?
「ハルさん、暗くなってきたから戻ろう?」
「そうだな」
考えるのは市役所に戻ってからにしよう。
というわけで、俺達は徒歩で市役所に向けて移動を始めた。
「祭りみたいだな……」
立ち並ぶ屋台。談笑する人々。
所々に立つ工事用の電灯。
どう見ても大きな祭りに近い状況が市役所前の広場に出来上がっていた。
「すごいね」
「ああ。ただの炊き出しの筈なんだけどな……」
この状況は完全に予想外だった。
炊き出しを屋外でしているから、安全のために照明を点けるのは間違ってはいないと思う。
しかし祭りのような雰囲気は緊張感が無さすぎてヤバい気がする。
おまけに光におびき寄せられたモンスターが結界のすぐ外側に集まってきている。
これは経験値獲得のチャンスか?
いや、そんなことよりも安全管理が少し不安だ。
「飯食ったら狩るか」
「こんなに暗いのに?」
「結界があるし大丈夫だろ」
そんなことを話しながら、炊き出しの列に並ぶ俺達。
今日のメニューは豚汁のようだ。しっかり野菜も入っていれば、白いご飯もある。
この世紀末な世界で温かいご飯が食べられるとは思わなかった。
「お待たせしました~。お熱いのでお気を付けてお持ちください」
「ありがとうございます」
お礼を言って豚汁を受け取り、隣のテントで白いご飯を受け取る。
トレーが欲しいところだが、そこまでは用意できなかったらしい。
「中で食べよう」
「うん」
ちなみにこの市役所には食堂があるらしく、食事はそこでしてもいいらしい。
ただ換気扇が使えないから料理は屋外でしているとか。
それよりも、零しそうで怖いな……。
落ち着いてテーブルに置いてと……。
ふぅ。なんとか溢さずに運べた。
「いただきます」
「いただきます」
一応、ちゃんと挨拶をしてから豚汁を啜る。
隣の二人組の会話が聞こえてきたのはその時だった。
「いやー、オークの肉って美味いんだな」
「どうやって取ったんだ? しっかし、豚汁だとオークか豚肉か区別つかねぇな」
「ブフォッ……!?」
マジかよ……。
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