11 / 13
10
しおりを挟む
アレクシスがミレディで実験していたその頃、エリスティアはアレクシスと一緒に午後のお茶をしようと探しているところだった。
途中通りかかったメイドから、アレクシスが寝室へ入るところを見たと聞き、エリスティアはその場所へ向かったのだった。
扉を開けようと手を伸ばすと、扉の奥から人の気配がした。
アレクシスと、誰かもう一人の……
エリスティアは二人の寝室へ耳を澄ました。
女性のものと思われる、悲鳴のような声が漏れ聞こえてくる。
エリスティアの心臓が警報のようにドキドキと大きく胸を叩く。
エリスティアはゆっくりとドアノブを回し、そっと扉を開いた。
アレクシスとエリスティア二人の寝室だ。だがベッドにはエリスティアのメイド、ミレディの姿がそこにはあった。
エリスティアの知るミレディとは違い、下半身が丸出しの格好で大きく股を開き奇声をあげていた。
アレクシスはそんなミレディの恥ずかしい場所へ手を伸ばしており、動かすたびにピチャピチャと激しく音が響いた。その手の動きに合わせるようにミレディの喘ぎ声が激しくなる。ひときわ大きな声を出すと、お漏らしでもしたかのように大きく水しぶきを撒き散らした。体はガタガタとふるえている。
あられもない姿にエリスティアは固まってしまった。
その行為は二人だけの親密な、特別なものと思っていた。それだけにエリスティアは心臓が締め付けられる思いがした。
エリスティアは目を背けることも声を出すことも出来ずに、ただその光景を茫然と眺めていた。
ミレディが果てると、股の間からアレクシスが手を引き抜いた。
エリスティアは心臓の鼓動が大きく響いて時間が止まったように感じていたが、気づけばアレクシスと目が合っていた。
何も考えられず駆け出すエリスティア。
後ろから追いかけてくる足音がした。
「待て! エリスティア!」
アレクシスが後ろから叫ぶ。そんな声も耳に入らず一心不乱に前を向いてエリスティアは逃げた。
しかしアレクシスに手を掴まれ、追いかけっこはすぐにて終わってしまった。
「エリスティア、誤解だ、そんなんじゃないんだ……これは」
言い訳がましく捲し立てるアレクシス。
掴まれた手が濡れているのを感じ、エリスティアは叫んだ。
「触らないで!」
手を強引に振りほどく。
エリスティアは先ほどまでアレクシスが他の女としていた行為の跡が残るその手で触ってなど欲しくはなかった。
裏切られた。
そんな気持ちが胸を支配して、エリスティアはアレクシスを睨みつける。
アレクシスはそれ以上何も言えずに、走り去るエリスティアを眺めていた。
アレクシスはただ、その媚薬の効果を知りたかっただけだった。ただ実験していただけで、エリスティアのメイドに興味などなかった。それをエリスティアに見られるとも思ってもみなかったのだ。
ましてこれ程拒絶されるとも思っていなかった。
あれほど冷たい目でエリスティアから見られたのは初めてのことだった。
これまでの散々な行為を含めても。
振り払われた己の手を見ると、ミレディの濡らした愛液が今もヌラヌラとこびり付いていた。
途中通りかかったメイドから、アレクシスが寝室へ入るところを見たと聞き、エリスティアはその場所へ向かったのだった。
扉を開けようと手を伸ばすと、扉の奥から人の気配がした。
アレクシスと、誰かもう一人の……
エリスティアは二人の寝室へ耳を澄ました。
女性のものと思われる、悲鳴のような声が漏れ聞こえてくる。
エリスティアの心臓が警報のようにドキドキと大きく胸を叩く。
エリスティアはゆっくりとドアノブを回し、そっと扉を開いた。
アレクシスとエリスティア二人の寝室だ。だがベッドにはエリスティアのメイド、ミレディの姿がそこにはあった。
エリスティアの知るミレディとは違い、下半身が丸出しの格好で大きく股を開き奇声をあげていた。
アレクシスはそんなミレディの恥ずかしい場所へ手を伸ばしており、動かすたびにピチャピチャと激しく音が響いた。その手の動きに合わせるようにミレディの喘ぎ声が激しくなる。ひときわ大きな声を出すと、お漏らしでもしたかのように大きく水しぶきを撒き散らした。体はガタガタとふるえている。
あられもない姿にエリスティアは固まってしまった。
その行為は二人だけの親密な、特別なものと思っていた。それだけにエリスティアは心臓が締め付けられる思いがした。
エリスティアは目を背けることも声を出すことも出来ずに、ただその光景を茫然と眺めていた。
ミレディが果てると、股の間からアレクシスが手を引き抜いた。
エリスティアは心臓の鼓動が大きく響いて時間が止まったように感じていたが、気づけばアレクシスと目が合っていた。
何も考えられず駆け出すエリスティア。
後ろから追いかけてくる足音がした。
「待て! エリスティア!」
アレクシスが後ろから叫ぶ。そんな声も耳に入らず一心不乱に前を向いてエリスティアは逃げた。
しかしアレクシスに手を掴まれ、追いかけっこはすぐにて終わってしまった。
「エリスティア、誤解だ、そんなんじゃないんだ……これは」
言い訳がましく捲し立てるアレクシス。
掴まれた手が濡れているのを感じ、エリスティアは叫んだ。
「触らないで!」
手を強引に振りほどく。
エリスティアは先ほどまでアレクシスが他の女としていた行為の跡が残るその手で触ってなど欲しくはなかった。
裏切られた。
そんな気持ちが胸を支配して、エリスティアはアレクシスを睨みつける。
アレクシスはそれ以上何も言えずに、走り去るエリスティアを眺めていた。
アレクシスはただ、その媚薬の効果を知りたかっただけだった。ただ実験していただけで、エリスティアのメイドに興味などなかった。それをエリスティアに見られるとも思ってもみなかったのだ。
ましてこれ程拒絶されるとも思っていなかった。
あれほど冷たい目でエリスティアから見られたのは初めてのことだった。
これまでの散々な行為を含めても。
振り払われた己の手を見ると、ミレディの濡らした愛液が今もヌラヌラとこびり付いていた。
1
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

親切なミザリー
みるみる
恋愛
第一王子アポロの婚約者ミザリーは、「親切なミザリー」としてまわりから慕われていました。
ところが、子爵家令嬢のアリスと偶然出会ってしまったアポロはアリスを好きになってしまい、ミザリーを蔑ろにするようになりました。アポロだけでなく、アポロのまわりの友人達もアリスを慕うようになりました。
ミザリーはアリスに嫉妬し、様々な嫌がらせをアリスにする様になりました。
こうしてミザリーは、いつしか親切なミザリーから悪女ミザリーへと変貌したのでした。
‥ですが、ミザリーの突然の死後、何故か再びミザリーの評価は上がり、「親切なミザリー」として人々に慕われるようになり、ミザリーが死後海に投げ落とされたという崖の上には沢山の花が、毎日絶やされる事なく人々により捧げられ続けるのでした。
※不定期更新です。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる