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間話 交流戦⑤
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パーティー会場が騒がしい中で、怪しい顔を浮かべるレオナルドがやってきた。
するとひそひそ声が聞こえてくる。
「あのソフィア様が別の男性と出かけていた?」
「まさか公爵家の令嬢がそのようなことをされるはずがありませんよ」
私の家と懇意にしている人たちに変な噂が流れ出していた。だがまだ完全には信じていない様子。
しかしあちらも信用させるため新たな情報をちらつかせる。レオナルド側と思われる別の男性が周りに聞かせるように騒ぎ出した。
「そうなんですよ! 私はこの目でしっかりと見ました! 偶然にもカメラがあったので現像してあります!」
写真をひらひらと見せびらかす。
さらにその声だけでなく、他から似たような話が飛んでくる。
「この写真も劇で知らない男性と観ていらっしゃいました!」
少し離れた場所で男が別の写真を掲げる。
その近くにいる人たちは、真剣な顔で写真を覗いていた。
「顔が薄暗いな……本当にソフィア様なのか?」
「こんな綺麗な桃色の髪なんて他にいませんよ!」
下手な茶番を見せられて心底うざったい。
すると今度はレオナルドは胸を押さえだした。
「ソフィア様! あの時に嫌がる私を誘っただけではなく、他の方にもお誘いをされていたのですか!」
傷付いた顔をして訴えてきた。次は自身を被害者へと転換するつもりだ。
周りも騒がしくなっていき、ひそひそと何かを話し合っている。
「そんな事実なんてありません。こんな茶番を続けるのでしたら、貴方たちに容赦はしませんよ」
これでやめるのなら楽なのだが、やはりあちらも怯まない。それどころかさらに呼びかけだした。
「そうやって私を悪者に仕立てあげるつもりですね。もしこの中で、ソフィア様が別の男性と一緒の写真を持っている者は差し出して欲しい!」
その言葉を待っていたかのように男達が続々とレオナルドに集まって写真を提出していく。
そしてその写真をレオナルドは掲げた。
「集まりの方々よ! これだけの証拠がある中で、どちらの証言が正しいでしょうか!」
どの写真も私の特徴を表している桃色の長い髪だ。
誰か分からない男性と腕を組んでおり、まるで私が浮気をしているように見える。
しかし問題はその写真に私自身に覚えが無いことだ。
どれも私の後ろ姿だけで正面の写真は一枚もない。私になりすました誰かを使って、適当な写真をでっちあげたに違いない。
彼の狙いは、信頼を無くした私へ時期を見て接触することだろう。
自分だけは味方であると、甘い言葉で飴と鞭を作り出す気であろう。
「たかが小領地の分際で――」
心の底から怒りをのぞかせるブリジットがそこにはいた。
今にも暴れてしまいそうなほどだ。彼女は一度怒ったら手が付けなくなるため、必死になだめる。
「ぶ、ブリジットさん、落ち着いて!」
「いいえ、もうそろそろ我慢の限界よ! 二大公爵の誇りを傷付けようとしていますのよ!」
ブリジットがこんなに怒り出すのは予想外だった。
するとそれに油を注ぐようにレオナルドが悲痛な声を出す。
「ブリジット様、私も被害者なのです! 彼女によって純情を遊ばれ、あろうことか別の男性にも甘い言葉を投げかけているのですよ!」
だめだ、ブリジットの怒りが頂点になってしまった。その時、別の男性が手を挙げた。
「失礼、私も写真を提供してもよろしいでしょうか?」
出席している若い貴族の男性だ。だがレオナルドは意外という顔を作った。
「え……ああ。是非お願いします!」
すぐに元の顔に戻って、私をチラッと見た。笑いを堪えるような顔で、勝ちを確信したように見えた。
「まさかまだ写真があったとは……ソフィア・ベアグルント様は本当に希代の悪女……なんだこれは……?」
写真を受け取ったレオナルドはぷるぷると震えだした。先ほどの茶番をしていた悲痛な顔はどこへやら。ひたいには脂汗も滲んでいた。
「どうしたのですか? その写真も皆さんに見せてみるのはいかがでしょうか。それだけ適当な写真を見せびらかすのですから、たった一枚増えても私は構いませんよ?」
背中を押してあげたが、レオナルドはこちらを睨むだけ。そしてまた写真へ視線を戻した。
するとまた別の男性達が続々と手を挙げる。
「私も提供させてください!」
「私も偶然にも撮りましたので是非!」
レオナルドは写真を受け取っていくが、どの写真を見ても顔色が悪くなるばかりだ。
一向にもらった写真を掲げることはしない。
「ど、どうして……こんな写真がある!」
レオナルドは急にキレたかと思ったら、集まった写真を床へとたたきつけた。
散らばった写真は、先ほど私らしき人物が男性とべったりとしている光景を別の角度から撮ったものだった。
真正面からみると私とは似ても似つかない女性がカツラを被っているだけだったのだ。
しかしまだ気付かないのか?
「あら、提供主達に心当たりはないかしら?」
「なんだと?」
レオナルドはやっと写真を提供した人達に気付いた。男性達はまるで親の敵を見るように、レオナルドを睨んでいた。
「久しぶりだな、くそ野郎!」
「てめえみたいなごみ男に釣られた妻の仕返しだ」
私のように嵌められた女性のパートナー達だ。
実を言うと、他領からもたびたび苦情が上がっていた。そのため私のような大領地は小領地の指導もしなければならない。それに家の騎士達も何人か似たような手口でお金をむしり取られたらしいので、私が動くことになった。
念入りに準備もして、逆に罠を張ったのだ。
「貴方みたいな最低男のやることなんてお見通しよ」
「くっ! だ、だがこの写真は紛れもなくソフィア様です!」
私を最初に口説こうとした写真を起死回生の手段として出してきた。
たしかにその写真だけは紛れもなく私だ。
「私はこのように本当にキスをされた! このパーティに出席した者なら分かるはずです! 場所もこの会場! これは疑う余地がないでしょ!」
まだ諦めないようだ。チラッと彼の後ろに目を向けると、一人の女性が歩いてきた。
レオナルドもその人物に気付いた。
「リタ殿! 其方からも言ってくれ! この写真は貴方から頂いたのですから!」
おそらくは大事な使用人が私を裏切ったということを伝えて動揺を誘っているのだろう。
リタは顔色を変えずに、懐から数枚の写真を取り出した。
「ソフィアお嬢様、私もその時の写真があります」
リタが私へ写真を差し出した。それをもらい、レオナルドへと見せてあげる。
「それって私を口説こうとして、足払いを受けたところですよね? こんな風に」
足払いを受けているシーン、アゴを打っているシーン等、イケメン顔が台無しになっている写真だ。
「これが私からキスをするような場面だったのでしょうか?」
「なっ、なっ……!」
自身の恥ずかしい写真を見せられ狼狽する。
するとまるで八つ当たりをするかのように、リタを睨む。
「り、リタ殿、裏切るつもりか!」
「裏切るも何も味方になったつもりはなかったのですが……」
リタにはあらかじめ、いくつかの撮影ポイントを伝えて、数人がかりで撮ってもらったのだ。
そして度々情報を売ったりして、逆に行動パターンを絞った。
私に雰囲気が似ている売春宿の女性で遊んでいたと聞いたときは、あまりの気持ち悪さにゾッとしたが。
「言っておきますが、リタを懐柔するのにあんな安金ではいけませんよ。彼女は私の筆頭侍従であり、屋敷の管理も携わっていますので、安い賃金では働いていません」
「おかげさまで今回は臨時ボーナスもいただけました。それだけはレオナルド様に感謝致します」
リタの感謝とは言えない感謝の言葉にぷるぷると震え出す。
その時、ちょうどタイミング良く空から鷹が飛んできて、私の腕に捕まった。
「ご苦労様、手紙ありがとうね」
「ピィピエ!」
足に付いている手紙を受け取り、役目を終えた鷹は自分の家へと帰っていく。
「先ほど貴方の領地へ向かったクリスから連絡がありました。一足先に現地に着いて全て片付けたと」
「ば、馬鹿な!? いくら休まずに馬を走らせても二日は掛かるはずだ! でたらめを言うな!」
たしかにハークベル領は少しだけ遠い。だけど彼は大司教代理なので、特別な移動手段を持っていた。
そのため普通の人より早く目的地へ付けるのだ。
「まあ、貴方に説明する義理はありませんのでそれはいいでしょう。ハークベル男爵から言伝を頂いております」
「ち、父上から!?」
「ええ。今回の件で罰則を受け入れ、レオナルド・ハークベルを領地から追放する、とのことです」
信じられないという顔をするので、手紙を丸めて投げてあげた。
彼もその中身を見て膝から崩れ落ちた。
「野心があることはいいですが、何事にも限度があります。だけど私も鬼ではありません。一つだけ挽回のチャンスを与えましょう」
「本当ですか!」
藁にもすがるように床へ手を突いた。
「ええ、交流戦で私に勝てば許してあげますわ」
するとひそひそ声が聞こえてくる。
「あのソフィア様が別の男性と出かけていた?」
「まさか公爵家の令嬢がそのようなことをされるはずがありませんよ」
私の家と懇意にしている人たちに変な噂が流れ出していた。だがまだ完全には信じていない様子。
しかしあちらも信用させるため新たな情報をちらつかせる。レオナルド側と思われる別の男性が周りに聞かせるように騒ぎ出した。
「そうなんですよ! 私はこの目でしっかりと見ました! 偶然にもカメラがあったので現像してあります!」
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さらにその声だけでなく、他から似たような話が飛んでくる。
「この写真も劇で知らない男性と観ていらっしゃいました!」
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「顔が薄暗いな……本当にソフィア様なのか?」
「こんな綺麗な桃色の髪なんて他にいませんよ!」
下手な茶番を見せられて心底うざったい。
すると今度はレオナルドは胸を押さえだした。
「ソフィア様! あの時に嫌がる私を誘っただけではなく、他の方にもお誘いをされていたのですか!」
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周りも騒がしくなっていき、ひそひそと何かを話し合っている。
「そんな事実なんてありません。こんな茶番を続けるのでしたら、貴方たちに容赦はしませんよ」
これでやめるのなら楽なのだが、やはりあちらも怯まない。それどころかさらに呼びかけだした。
「そうやって私を悪者に仕立てあげるつもりですね。もしこの中で、ソフィア様が別の男性と一緒の写真を持っている者は差し出して欲しい!」
その言葉を待っていたかのように男達が続々とレオナルドに集まって写真を提出していく。
そしてその写真をレオナルドは掲げた。
「集まりの方々よ! これだけの証拠がある中で、どちらの証言が正しいでしょうか!」
どの写真も私の特徴を表している桃色の長い髪だ。
誰か分からない男性と腕を組んでおり、まるで私が浮気をしているように見える。
しかし問題はその写真に私自身に覚えが無いことだ。
どれも私の後ろ姿だけで正面の写真は一枚もない。私になりすました誰かを使って、適当な写真をでっちあげたに違いない。
彼の狙いは、信頼を無くした私へ時期を見て接触することだろう。
自分だけは味方であると、甘い言葉で飴と鞭を作り出す気であろう。
「たかが小領地の分際で――」
心の底から怒りをのぞかせるブリジットがそこにはいた。
今にも暴れてしまいそうなほどだ。彼女は一度怒ったら手が付けなくなるため、必死になだめる。
「ぶ、ブリジットさん、落ち着いて!」
「いいえ、もうそろそろ我慢の限界よ! 二大公爵の誇りを傷付けようとしていますのよ!」
ブリジットがこんなに怒り出すのは予想外だった。
するとそれに油を注ぐようにレオナルドが悲痛な声を出す。
「ブリジット様、私も被害者なのです! 彼女によって純情を遊ばれ、あろうことか別の男性にも甘い言葉を投げかけているのですよ!」
だめだ、ブリジットの怒りが頂点になってしまった。その時、別の男性が手を挙げた。
「失礼、私も写真を提供してもよろしいでしょうか?」
出席している若い貴族の男性だ。だがレオナルドは意外という顔を作った。
「え……ああ。是非お願いします!」
すぐに元の顔に戻って、私をチラッと見た。笑いを堪えるような顔で、勝ちを確信したように見えた。
「まさかまだ写真があったとは……ソフィア・ベアグルント様は本当に希代の悪女……なんだこれは……?」
写真を受け取ったレオナルドはぷるぷると震えだした。先ほどの茶番をしていた悲痛な顔はどこへやら。ひたいには脂汗も滲んでいた。
「どうしたのですか? その写真も皆さんに見せてみるのはいかがでしょうか。それだけ適当な写真を見せびらかすのですから、たった一枚増えても私は構いませんよ?」
背中を押してあげたが、レオナルドはこちらを睨むだけ。そしてまた写真へ視線を戻した。
するとまた別の男性達が続々と手を挙げる。
「私も提供させてください!」
「私も偶然にも撮りましたので是非!」
レオナルドは写真を受け取っていくが、どの写真を見ても顔色が悪くなるばかりだ。
一向にもらった写真を掲げることはしない。
「ど、どうして……こんな写真がある!」
レオナルドは急にキレたかと思ったら、集まった写真を床へとたたきつけた。
散らばった写真は、先ほど私らしき人物が男性とべったりとしている光景を別の角度から撮ったものだった。
真正面からみると私とは似ても似つかない女性がカツラを被っているだけだったのだ。
しかしまだ気付かないのか?
「あら、提供主達に心当たりはないかしら?」
「なんだと?」
レオナルドはやっと写真を提供した人達に気付いた。男性達はまるで親の敵を見るように、レオナルドを睨んでいた。
「久しぶりだな、くそ野郎!」
「てめえみたいなごみ男に釣られた妻の仕返しだ」
私のように嵌められた女性のパートナー達だ。
実を言うと、他領からもたびたび苦情が上がっていた。そのため私のような大領地は小領地の指導もしなければならない。それに家の騎士達も何人か似たような手口でお金をむしり取られたらしいので、私が動くことになった。
念入りに準備もして、逆に罠を張ったのだ。
「貴方みたいな最低男のやることなんてお見通しよ」
「くっ! だ、だがこの写真は紛れもなくソフィア様です!」
私を最初に口説こうとした写真を起死回生の手段として出してきた。
たしかにその写真だけは紛れもなく私だ。
「私はこのように本当にキスをされた! このパーティに出席した者なら分かるはずです! 場所もこの会場! これは疑う余地がないでしょ!」
まだ諦めないようだ。チラッと彼の後ろに目を向けると、一人の女性が歩いてきた。
レオナルドもその人物に気付いた。
「リタ殿! 其方からも言ってくれ! この写真は貴方から頂いたのですから!」
おそらくは大事な使用人が私を裏切ったということを伝えて動揺を誘っているのだろう。
リタは顔色を変えずに、懐から数枚の写真を取り出した。
「ソフィアお嬢様、私もその時の写真があります」
リタが私へ写真を差し出した。それをもらい、レオナルドへと見せてあげる。
「それって私を口説こうとして、足払いを受けたところですよね? こんな風に」
足払いを受けているシーン、アゴを打っているシーン等、イケメン顔が台無しになっている写真だ。
「これが私からキスをするような場面だったのでしょうか?」
「なっ、なっ……!」
自身の恥ずかしい写真を見せられ狼狽する。
するとまるで八つ当たりをするかのように、リタを睨む。
「り、リタ殿、裏切るつもりか!」
「裏切るも何も味方になったつもりはなかったのですが……」
リタにはあらかじめ、いくつかの撮影ポイントを伝えて、数人がかりで撮ってもらったのだ。
そして度々情報を売ったりして、逆に行動パターンを絞った。
私に雰囲気が似ている売春宿の女性で遊んでいたと聞いたときは、あまりの気持ち悪さにゾッとしたが。
「言っておきますが、リタを懐柔するのにあんな安金ではいけませんよ。彼女は私の筆頭侍従であり、屋敷の管理も携わっていますので、安い賃金では働いていません」
「おかげさまで今回は臨時ボーナスもいただけました。それだけはレオナルド様に感謝致します」
リタの感謝とは言えない感謝の言葉にぷるぷると震え出す。
その時、ちょうどタイミング良く空から鷹が飛んできて、私の腕に捕まった。
「ご苦労様、手紙ありがとうね」
「ピィピエ!」
足に付いている手紙を受け取り、役目を終えた鷹は自分の家へと帰っていく。
「先ほど貴方の領地へ向かったクリスから連絡がありました。一足先に現地に着いて全て片付けたと」
「ば、馬鹿な!? いくら休まずに馬を走らせても二日は掛かるはずだ! でたらめを言うな!」
たしかにハークベル領は少しだけ遠い。だけど彼は大司教代理なので、特別な移動手段を持っていた。
そのため普通の人より早く目的地へ付けるのだ。
「まあ、貴方に説明する義理はありませんのでそれはいいでしょう。ハークベル男爵から言伝を頂いております」
「ち、父上から!?」
「ええ。今回の件で罰則を受け入れ、レオナルド・ハークベルを領地から追放する、とのことです」
信じられないという顔をするので、手紙を丸めて投げてあげた。
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「野心があることはいいですが、何事にも限度があります。だけど私も鬼ではありません。一つだけ挽回のチャンスを与えましょう」
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