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第三章 芸術祭といえば秋、なら実りと収穫でしょ!
ヴェルダンディ視点2
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反応は二つに分かれていた。
セルランとレイナだけは特に驚いた様子もなく、他のメンバーは初耳のようで、目を瞬いていた。
「シルヴィの文官が突然わたくしの護衛騎士となったので疑問を感じる者もいるでしょうが、先の件での監視を含めて彼が就くことになりました。実力に関しては……、ほとんどがあの場に居たので大丈夫かしら?」
俺は気絶していたため、最後まで見ることが出来なかったが、突如現れた凶悪な魔物を一撃で葬ったと聞く。
逆にそんな優秀なのに、騎士の才覚もあるなんて凄いという言葉では表せられない。
「問題ないようね。クロート、一言挨拶よろしいでしょうか?」
「畏まりました。もう何度も顔を合わせているので、特別言うことはありませんが、今後はわたしも姫さまを守るためこの身を捧げさせていただきます。どうかよろしくお願いします」
クロートの加入はすんなりと受け入れられた。
ステラの穴はどうするのか気になっていたが、クロートなら問題ないだろう。
「では一番大事なお話はこれで終わりです。あとは魔物の大発生に関してーー」
魔物が大発生した時には、回復薬等でかなりのお金が動いた。
幸いにもマリアさまが稼がれたお金があるので、そこは問題ない。
しかしまた別に褒賞を用意することになった。
それについての規格はマリアさまを含め、文官たちで決めていくようだ。
「みんなも今回はありがとう。わたくし一人ではきっと乗り越えられなかったでしょう。特別褒賞を出しますので、自由に使ってください」
お金がかなり貰えるようなので欲しかった魔道具でも揃えようかと思う。
「あともう一つ、今後のことですが、芸術祭が開かれますので、セルランとクロート以外はわたくしの側近として踊りや演奏でお手本となるようにしてくださいね」
マリアさまの側近は品格が求められる。
つまりは他の学生と比べて模範とならなければならない。
音楽も例外ではなく、しっかり自由時間の間で覚えなくてはいけないのだ。
「話が長くなりましたが以上となります。芸術祭の後は進級試験もありますので、勉学も忘れずに励んでください」
大事なお話も終わり、俺たちは退室した。
今日は授業があるので、体が面倒だと言っている。
あのエンペラーとの戦いは、危険ではあるが興奮するものだった。
そのためこういった日常がたまらなく暇に感じる。
「ヴェルダンディ、ちょっといい?」
俺の隣に同じく護衛騎士であるルキノが並んだ。
俺より一つ上の先輩で、ステラと同じく小煩い。
だが騎士の模範とはルキノにこそ相応しいと思っている。
そんな彼女が真面目な顔できたからには、また面倒臭いことだろう。
「どうした?」
「冬が近付くとマンネルハイムは厳しいし、基礎訓練をこれまでより多くしようと思うけどいいかしら?」
来年のマンネルハイムの訓練についてだ。
騎士祭では優勝したが、今後は万年優勝を目指さないといけない。
そのために今から出来るだけ基礎力を付けないといけない。
鎧がなくともセルランとエルトのコンビはこちらを圧倒した。
素の魔力が違うが、それ以上に技量のレベルが違いすぎる。
もっと練習しないと、鎧があっても負けるかもしれないと思わないといけない。
「その方が良さそうだな。メニューはルキノに任せるよ」
「任せておいて、あの戦いを経験したのだから、無駄にしたくないし早速作るわね」
よしっ、と気合を入れていた。
ルキノは一度決めると前しか見なくなるので少しサポートをしないといけない。
「あんまり無茶はしないようにな。ステラがいないんだから、誰も止められないぞ」
「ヴェルダンディに注意されると腹立つわね。分かっているわよ」
「ならいいが……、そういえばステラで思い出したが、芸術祭の後夜祭の相手は見つけたか? 流石に今年くらいは出席したらどうだ?」
芸術祭の後には、上級貴族以上が集められて、マリアさまの離宮でダンスパーティーがある。
正直好きでもない女共に群がられるのは嫌だが、マリアさまの側近として出ないわけにはいかない。
だがルキノだけは出席しているのを見たことがない。
「ごめんなさい。出たいのだけどどうしても外せない用事があるの」
話を切り出すと途端に顔色が変わった。
こういう集まりに参加しないことは、影口を言われる。
一体何が気になるのか分からないが、こういったことで同僚が奇異な目で見られたくない。
「そっか。まあ、何か悩みがあれば言えよ。酒くらいなら付き合うからよ」
軽く肩を叩いてその場を去ることにする。
あまりこういうのは触れられたくない事情でもあるんだろう。
俺はそのままルキノより先に行こうとするとトライードが首に添えられた。
「……まだ未成年でしょ。もしもう飲んでいるなら、マリアさまの汚名になる前にーー」
「冗談だって! だからその危ないモノしまえ!」
……こういう冗談が通じないところをもっと直してくれ!
俺は彼女の殺気を受けながら天に祈るのだった。
セルランとレイナだけは特に驚いた様子もなく、他のメンバーは初耳のようで、目を瞬いていた。
「シルヴィの文官が突然わたくしの護衛騎士となったので疑問を感じる者もいるでしょうが、先の件での監視を含めて彼が就くことになりました。実力に関しては……、ほとんどがあの場に居たので大丈夫かしら?」
俺は気絶していたため、最後まで見ることが出来なかったが、突如現れた凶悪な魔物を一撃で葬ったと聞く。
逆にそんな優秀なのに、騎士の才覚もあるなんて凄いという言葉では表せられない。
「問題ないようね。クロート、一言挨拶よろしいでしょうか?」
「畏まりました。もう何度も顔を合わせているので、特別言うことはありませんが、今後はわたしも姫さまを守るためこの身を捧げさせていただきます。どうかよろしくお願いします」
クロートの加入はすんなりと受け入れられた。
ステラの穴はどうするのか気になっていたが、クロートなら問題ないだろう。
「では一番大事なお話はこれで終わりです。あとは魔物の大発生に関してーー」
魔物が大発生した時には、回復薬等でかなりのお金が動いた。
幸いにもマリアさまが稼がれたお金があるので、そこは問題ない。
しかしまた別に褒賞を用意することになった。
それについての規格はマリアさまを含め、文官たちで決めていくようだ。
「みんなも今回はありがとう。わたくし一人ではきっと乗り越えられなかったでしょう。特別褒賞を出しますので、自由に使ってください」
お金がかなり貰えるようなので欲しかった魔道具でも揃えようかと思う。
「あともう一つ、今後のことですが、芸術祭が開かれますので、セルランとクロート以外はわたくしの側近として踊りや演奏でお手本となるようにしてくださいね」
マリアさまの側近は品格が求められる。
つまりは他の学生と比べて模範とならなければならない。
音楽も例外ではなく、しっかり自由時間の間で覚えなくてはいけないのだ。
「話が長くなりましたが以上となります。芸術祭の後は進級試験もありますので、勉学も忘れずに励んでください」
大事なお話も終わり、俺たちは退室した。
今日は授業があるので、体が面倒だと言っている。
あのエンペラーとの戦いは、危険ではあるが興奮するものだった。
そのためこういった日常がたまらなく暇に感じる。
「ヴェルダンディ、ちょっといい?」
俺の隣に同じく護衛騎士であるルキノが並んだ。
俺より一つ上の先輩で、ステラと同じく小煩い。
だが騎士の模範とはルキノにこそ相応しいと思っている。
そんな彼女が真面目な顔できたからには、また面倒臭いことだろう。
「どうした?」
「冬が近付くとマンネルハイムは厳しいし、基礎訓練をこれまでより多くしようと思うけどいいかしら?」
来年のマンネルハイムの訓練についてだ。
騎士祭では優勝したが、今後は万年優勝を目指さないといけない。
そのために今から出来るだけ基礎力を付けないといけない。
鎧がなくともセルランとエルトのコンビはこちらを圧倒した。
素の魔力が違うが、それ以上に技量のレベルが違いすぎる。
もっと練習しないと、鎧があっても負けるかもしれないと思わないといけない。
「その方が良さそうだな。メニューはルキノに任せるよ」
「任せておいて、あの戦いを経験したのだから、無駄にしたくないし早速作るわね」
よしっ、と気合を入れていた。
ルキノは一度決めると前しか見なくなるので少しサポートをしないといけない。
「あんまり無茶はしないようにな。ステラがいないんだから、誰も止められないぞ」
「ヴェルダンディに注意されると腹立つわね。分かっているわよ」
「ならいいが……、そういえばステラで思い出したが、芸術祭の後夜祭の相手は見つけたか? 流石に今年くらいは出席したらどうだ?」
芸術祭の後には、上級貴族以上が集められて、マリアさまの離宮でダンスパーティーがある。
正直好きでもない女共に群がられるのは嫌だが、マリアさまの側近として出ないわけにはいかない。
だがルキノだけは出席しているのを見たことがない。
「ごめんなさい。出たいのだけどどうしても外せない用事があるの」
話を切り出すと途端に顔色が変わった。
こういう集まりに参加しないことは、影口を言われる。
一体何が気になるのか分からないが、こういったことで同僚が奇異な目で見られたくない。
「そっか。まあ、何か悩みがあれば言えよ。酒くらいなら付き合うからよ」
軽く肩を叩いてその場を去ることにする。
あまりこういうのは触れられたくない事情でもあるんだろう。
俺はそのままルキノより先に行こうとするとトライードが首に添えられた。
「……まだ未成年でしょ。もしもう飲んでいるなら、マリアさまの汚名になる前にーー」
「冗談だって! だからその危ないモノしまえ!」
……こういう冗談が通じないところをもっと直してくれ!
俺は彼女の殺気を受けながら天に祈るのだった。
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