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第三章 芸術祭といえば秋、なら実りと収穫でしょ!
閑話ステラの恋愛話3
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次の日になり、朝の支度を始めた。
とは言っても、侍従に何から何までしてもらうのでわたくしは何もしないのだが。
鎧を身につけて、腰にトライードを差すと準備は完了だ。
姫さまはあまり朝には強くないが、だからといってわたくしがゆっくりしていいわけではなく、姫さまがいつ目覚めてわたくしを呼んでもいいように早めに向かうのだ。
「おはようございます。ステラ・エーデルガルト、これから朝の護衛に就きます」
「ご苦労様です! ステラさまに職務を移行します! 」
夜から朝にかけてまで見張りをしている騎士と代わった。
少し経つとセルランが悩ましげな顔をしながらこちらにやってきた。
「どうかしました?」
わたくしが声をかけると、同僚はやっとこちらに気付いて一度考えるのをやめていた。
「いや、昨日いきなりマリアさまが倒れたがその後が大変でな。一応リムミントたちに話をしたから、注意してもらうつもりだ」
昨日は魔法祭優勝のお祝いに祝勝会をしたらしいが、途中で姫さまが倒れたと聞いている。
特に命に別状もなく、急激なストレスによるものだと聞いている。
一非番ではあったが一応顔だけは見に行ったので、無事だったことだけは知っていた。
「ストレスで倒れられた姫さまに説教は身体に良くないのではないですか?」
「そうも言ってはおれん。シスターズをまた勝手に取り決めたのだ」
「シスターズですか。勉強不足で申し訳ないですがそれはどういったものですか?」
歳下にわたくしから聞くのは恥ずかしいが、姫さま関連で知らなかったでは済まされないことが多い。
だがセルランは特に気にしていないようだ。
「知らないのも無理はない。わたくしも前に母上から聞いていたから知っているに過ぎない。シスターズとはーー」
セルランからシスターズについて簡単に教えてもらい、まさか姫さまがそのような昔の制度を復活させようとしているなんて知らなかった。
たまに姫さまはわたくしたちの想像を超えた考えや行動をするので、何か意味があってのことかもしれない。
「噂の広がりも早く、大量の妹申請がやってきた。リムミントとわたしで不眠不休で申請の手紙を振り分けたのだ。寝不足のリムミントは恐ろしいが今日ばかりはマリアさまにしっかり反省してもらわねばならん」
姫さまは国民からは神に等しい崇拝を受けているが、とくに異性からは高嶺の花に見られ、同性からは尊敬の目を向けらている。
そのためかお慕いしている方が多いので我々は姫さまに近付いて来る者を見極めないといけない。
また少し経つと、レイナとラケシスが姫さまの朝の準備のためやってくる。
それからしばらく時間が経ってから部屋から鈴の音が聞こえたので、侍従の二人はすぐさま部屋に入って姫さまの朝の準備を手伝いに行った。
そしてほぼ同じ時にリムミントが顔を強張らせながら後ろに下僕を連れてやってきた。
「ひどく疲れてますね、あまり無理をしてはいけませんよ」
わたくしがリムミントを労わると隈ができた目をどうにか開けながら首を振った。
「姫さまが落ち着いてくださるまではそのような時間はありません。下僕は二人に今日の予定を告げた後に、ホーキンス先生とカオディさまに今後の予算の話をしてきてください。もうだいぶ覚えてきているので問題はないと思いますが念のため、カオディさまは領主候補生ですので、失礼がないようお願いしますね」
「わ、分かりました!」
リムミントが部屋に入る時に姫さまの悲鳴が少し聞こえた。
わたくしはあまり怒られないよう祈っておこう。
そこで思い出した。
「そういえば貴方にお願いあったのを思い出しました」
「僕にですか?」
普段わたくしから頼みごとをしないので下僕は困惑していた。
「ええ、実は縁談の話がきておりまして、その方がかなり博識な方ですの。だから眷属に詳しい貴方に少しだけお手紙のお手伝いをしてほしいのです」
「なるほど、ぼくは構いませんよ」
「縁談だと? それはマリアさまはご存知なのか?」
下僕が協力してくれると言ってくれて少しばかりホッとしていると同僚から口を挟まれた。
「いいえ。まだお話が来ただけですので、確定したわけではありません。貴方も知っての通り、何度も婚姻は破棄されているわたくしなので、仲が深まってから伝えようと思っています」
セルランはホッと胸を撫で下ろした。
「そうか、ステラが居なくなるとマリアさまはかなり悲しまれる。念のためにわたしからシルヴィに話をしておこう。そろそろステラが居なくなることも視野に入れておかねばならないからな」
姫さまのことを幼少の頃から見ているためか、姫さまの御心を誰よりも気遣う。
わたくしも嫁ぐことになると姫さまをこれ以上守ってあげられない。
居なくなるその日までに何か恩を返したい。
セルランはきつい目を下僕へと向けた。
「前のことを許したわけではないが同僚のためだ。しっかり手伝ってやれ。ただし絶対にマンネルハイム前にウィリアノスさまを偽装した手紙と似たことは書くんじゃないぞ。マリアさまが元気になられたから許したが本来は禁固刑だ。それにもし嘘だとバレたらたとえマリアさまといえどもお前の家ごと潰しかねない」
「はい、心に深く刻み込みます」
マンネルハイム決勝前夜でウィリアノスさまの手紙を偽装したことはわたしもすぐにわかった。
絶対にウィリアノスさまがそのようなことはしないからだ。
姫さまはものすごく喜ばれていたのでおそらくは気付いていないが、側近として出過ぎたことをするのは良くない。
姫さまが部屋に戻ってすぐセルランから注意をしてもらったのだ。
だが今回は私事なので関係はない。
一つの懸念点がやっと減った。
その後魔導アーマー百着分の件で一悶着あってリムミントを医務室へ運び、レティアさまとのお茶会もほとんど終わりかけたころ、レイナが普段とは別人なほど慌ててやってきた。
「サラスさまが今日こちらに参られました!」
わたしとセルランはお互いに顔を見合わせた。
まだまだ手紙どころではないのかもしれない。
とは言っても、侍従に何から何までしてもらうのでわたくしは何もしないのだが。
鎧を身につけて、腰にトライードを差すと準備は完了だ。
姫さまはあまり朝には強くないが、だからといってわたくしがゆっくりしていいわけではなく、姫さまがいつ目覚めてわたくしを呼んでもいいように早めに向かうのだ。
「おはようございます。ステラ・エーデルガルト、これから朝の護衛に就きます」
「ご苦労様です! ステラさまに職務を移行します! 」
夜から朝にかけてまで見張りをしている騎士と代わった。
少し経つとセルランが悩ましげな顔をしながらこちらにやってきた。
「どうかしました?」
わたくしが声をかけると、同僚はやっとこちらに気付いて一度考えるのをやめていた。
「いや、昨日いきなりマリアさまが倒れたがその後が大変でな。一応リムミントたちに話をしたから、注意してもらうつもりだ」
昨日は魔法祭優勝のお祝いに祝勝会をしたらしいが、途中で姫さまが倒れたと聞いている。
特に命に別状もなく、急激なストレスによるものだと聞いている。
一非番ではあったが一応顔だけは見に行ったので、無事だったことだけは知っていた。
「ストレスで倒れられた姫さまに説教は身体に良くないのではないですか?」
「そうも言ってはおれん。シスターズをまた勝手に取り決めたのだ」
「シスターズですか。勉強不足で申し訳ないですがそれはどういったものですか?」
歳下にわたくしから聞くのは恥ずかしいが、姫さま関連で知らなかったでは済まされないことが多い。
だがセルランは特に気にしていないようだ。
「知らないのも無理はない。わたくしも前に母上から聞いていたから知っているに過ぎない。シスターズとはーー」
セルランからシスターズについて簡単に教えてもらい、まさか姫さまがそのような昔の制度を復活させようとしているなんて知らなかった。
たまに姫さまはわたくしたちの想像を超えた考えや行動をするので、何か意味があってのことかもしれない。
「噂の広がりも早く、大量の妹申請がやってきた。リムミントとわたしで不眠不休で申請の手紙を振り分けたのだ。寝不足のリムミントは恐ろしいが今日ばかりはマリアさまにしっかり反省してもらわねばならん」
姫さまは国民からは神に等しい崇拝を受けているが、とくに異性からは高嶺の花に見られ、同性からは尊敬の目を向けらている。
そのためかお慕いしている方が多いので我々は姫さまに近付いて来る者を見極めないといけない。
また少し経つと、レイナとラケシスが姫さまの朝の準備のためやってくる。
それからしばらく時間が経ってから部屋から鈴の音が聞こえたので、侍従の二人はすぐさま部屋に入って姫さまの朝の準備を手伝いに行った。
そしてほぼ同じ時にリムミントが顔を強張らせながら後ろに下僕を連れてやってきた。
「ひどく疲れてますね、あまり無理をしてはいけませんよ」
わたくしがリムミントを労わると隈ができた目をどうにか開けながら首を振った。
「姫さまが落ち着いてくださるまではそのような時間はありません。下僕は二人に今日の予定を告げた後に、ホーキンス先生とカオディさまに今後の予算の話をしてきてください。もうだいぶ覚えてきているので問題はないと思いますが念のため、カオディさまは領主候補生ですので、失礼がないようお願いしますね」
「わ、分かりました!」
リムミントが部屋に入る時に姫さまの悲鳴が少し聞こえた。
わたくしはあまり怒られないよう祈っておこう。
そこで思い出した。
「そういえば貴方にお願いあったのを思い出しました」
「僕にですか?」
普段わたくしから頼みごとをしないので下僕は困惑していた。
「ええ、実は縁談の話がきておりまして、その方がかなり博識な方ですの。だから眷属に詳しい貴方に少しだけお手紙のお手伝いをしてほしいのです」
「なるほど、ぼくは構いませんよ」
「縁談だと? それはマリアさまはご存知なのか?」
下僕が協力してくれると言ってくれて少しばかりホッとしていると同僚から口を挟まれた。
「いいえ。まだお話が来ただけですので、確定したわけではありません。貴方も知っての通り、何度も婚姻は破棄されているわたくしなので、仲が深まってから伝えようと思っています」
セルランはホッと胸を撫で下ろした。
「そうか、ステラが居なくなるとマリアさまはかなり悲しまれる。念のためにわたしからシルヴィに話をしておこう。そろそろステラが居なくなることも視野に入れておかねばならないからな」
姫さまのことを幼少の頃から見ているためか、姫さまの御心を誰よりも気遣う。
わたくしも嫁ぐことになると姫さまをこれ以上守ってあげられない。
居なくなるその日までに何か恩を返したい。
セルランはきつい目を下僕へと向けた。
「前のことを許したわけではないが同僚のためだ。しっかり手伝ってやれ。ただし絶対にマンネルハイム前にウィリアノスさまを偽装した手紙と似たことは書くんじゃないぞ。マリアさまが元気になられたから許したが本来は禁固刑だ。それにもし嘘だとバレたらたとえマリアさまといえどもお前の家ごと潰しかねない」
「はい、心に深く刻み込みます」
マンネルハイム決勝前夜でウィリアノスさまの手紙を偽装したことはわたしもすぐにわかった。
絶対にウィリアノスさまがそのようなことはしないからだ。
姫さまはものすごく喜ばれていたのでおそらくは気付いていないが、側近として出過ぎたことをするのは良くない。
姫さまが部屋に戻ってすぐセルランから注意をしてもらったのだ。
だが今回は私事なので関係はない。
一つの懸念点がやっと減った。
その後魔導アーマー百着分の件で一悶着あってリムミントを医務室へ運び、レティアさまとのお茶会もほとんど終わりかけたころ、レイナが普段とは別人なほど慌ててやってきた。
「サラスさまが今日こちらに参られました!」
わたしとセルランはお互いに顔を見合わせた。
まだまだ手紙どころではないのかもしれない。
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