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第1部

僕とストーカーの休日

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「ん…く、苦しい…」

僕は朝のにおいと背中にあたるものの柔らかさですぐに今の状況がわかった。
隣に寝ている超絶美少女が僕の身体に巻き付いているということ!

「もぐもぐ…そんなにたべれないよ…」

夢の中でなにか食べてらっしゃるんですね。
いや、僕に巻き付く描写はないだろ!
これはまずい…いけないところが当って…

「結夏、苦しい!」
「ん~え…?」

え?……。結夏と目が合い少しずつ結夏の頬が赤くなっていく。

「なんで私に抱きついてるのよ!あ、あなた私を襲ったわね!」
「襲ってないしそれはこっちのセリフだ!」

なんでそんな赤面してんだよ、そっちが抱きついてきたくせに。

「もしかして、同居させてやってるんだから俺様に身体を差し出せってこと?……スケベ」
「ちがうわ!僕は好きでもない人に手は出さない!」
「じゃあ、足を出すのね!」
「足を出すってなんだよ?」
「まぁ、なにも出してないなら許す」

なんで僕が許されてるの?襲ってないんですよ?
少し誤解があるみたいだけど彼女の怒りは収まったみたいなのでここは一旦流すことにした。







今日は休日なのだが雨が降っているので外にでかけようと思うこともなくただ家でダラダラとしている。
結夏はソファーに寝ころびテレビを観ている。
今週は宿題も出ていないし2週間に一度ある写真部の活動も雨で中止だ。
なぜ室内でもできる部活が雨で中止なのかはわからないが行ってもあまりすることがないので中止でもいいと思う。
そんなことを考えていると結夏が手招きをしてきた。
なにかと思い向かうと結夏がDVDディスクをもっている。

「ねぇ…気になる映画借りてきたから二人で観ない?」
「あぁ、僕も暇してたし観たい」

結夏は笑顔でうなずきプレイヤーにディスクを入れた。
そして結夏がすぐ隣に座ってきた。
なんかこれって彼氏彼女みたいじゃないか!…
映画の内容は主人に忠実な飼い犬としてその生涯を全うした柴犬の生涯を描いた物語。
動物系の映画は普段めったに観ないものだったが結夏が隣で楽しそうに観ているので僕も映画を楽しむことができた。

「ねえ!映画どうだった?」
「おもしろかった!飼い主との再会のシーンは感動した」
「私もそこ感動した!」

そのあとも彼女と沢山感想を共有して楽しんだ。








夜も近づき休日ということもあって結夏にある提案をした。

「雨も止んだことだしどこか食べにでも行かないか?」
「いいのォ!」
「あぁ、何が食べたい?」
「伊勢海老食べ放題レストラン行きたい!」

どんなレストランだ、それに高そう…。

「他には?」
「回転寿司!」
「じゃあ回転寿司行こう」


僕たちは家から少し離れたところにある回転寿司屋さんに歩いて向かった。
全国的に有名なチェーン店だ。
夜はやはり人が多い。
店に入り店員さんに誘導されカウンター席に座る。

「すごい!お寿司が流れてる!」
「当たり前だろ」

最近ふと思うことがある。
一人暮らしの時より今の方が充実しているように感じる。
案外悪くないのかもしれない。

「なぁさっきからエビしか食べてないじゃないか」
「エビ大好きなんだもん。エビしか勝たん!」

このあと僕は寿司を20皿、結夏はエビを15皿食べて店を出た。
帰り道、静かな住宅街を二人歩いて帰る。

「ねぇ…今日はありがと。楽しかった」
「なんだよ、改まって。まぁ僕も楽しかった」
「あなたっていい人ね」

僕のストーカー兼同居人はたまに僕をドキっとさせる。





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