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第二章
第三話②※
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「クルト……はやく触れたい」
耳に流れ込む声はクルトの熱を煽る。特に性器は火がついたようだ。どう振る舞えばディートリヒを騙せるのか。体の反応を隠さずさらけ出してやればいい。クルトは自分の乱れた姿を恥じらい、淫らさを引き出したディートリヒに怒りを向ければいいのだ。怒りで身を震わせ、しかし快楽に呑まれるクルトが漏らす言葉は、真実に聞こえるだろう。
ディートリヒの手はクルトのズボンが押し上げられている場所を遠慮がちに撫でている。
(お前を見下ろして笑ってやるよ)
「う、んん……体、熱い……俺、俺も、っはぁ」
ディートリヒは呼吸を荒げてズボンの前たてのボタンを引きちぎった。綿の下着に触れた指が一瞬止まる。
「今日はいつもと違う形なのだな。これも清楚で……魅了される」
「はぁ、あっ、娼館で……あんなガキの履くもん、ん、うっ、馬鹿にされるっての」
いつもの下着は前面は最低限しか隠れていないし、そのほかは紐だ。情けないのであまり人目にさらしたくない。今はももの半ばまで覆う白い綿製の下着を履いている。
ディートリヒがクルトの胸を覆う左手を左右に滑らせた。両方の乳首が潰され、クルトは息を呑んだ。
「っく、ああ……」
腰をくねらせ喘ぐクルトの下着の中にディートリヒの手が入り込む。指先は淡い茂みをくるくると撫で、竿の付け根を軽く叩いた。それだけの刺激でクルトの皮膚はすべて粟立ち、感覚は鋭く尖っていく。包皮が受ける快感も強まって、根元近くをさすられるだけでめまいがした。
「ぅあ、ふ、うぅン……半端に、触んな、っん」
「クルト。もう気持ちがいいのか? これだけで……なんともはや」
「言うな、やっ、やだ、やめろ……は、あぁ、くぅ、う……」
クルトの体は快感に溺れることを恐れたのか、ディートリヒから離れたがる。距離を取るとより乳頭が潰されて気持ちよさが増した。焦った爪先は床を蹴ろうと試みて、床材の表面を撫でるだけで終わる。ディートリヒの指先はクルトをからかっていた。乳輪をこすり、張り詰めて伸びた包皮をつまもうとしている。
クルトはもっとディートリヒに体を預けて、煽ってやりたい。なのに体を制御できない。
「ん、ふあっ、なんで、できない、っい、あ、ああ……」
「クルト、すまないが休憩は取れそうにない。騎士として前言を翻すのは不名誉なことだが」
ディートリヒは胸から腰に手を移した。クルトの薄い腸腰筋を握りしめ、深く腰掛ける。クルトの背中はディートリヒの胸と密着し、足は床につかなくなった。ディートリヒの胸板は力がこもっているのか硬く引き締まっている。腰に回された腕もそうだ。
「仕方あるまい。クルト……君のせいでもあるのだから」
クルトの陰茎はディートリヒの指と手のひらの中にたやすく収まった。ディートリヒの握る力は弱い。しかし、隙間もなくクルトの屹立に寄り添っている。クルトの竿はディートリヒ手の中にあり、顔を見せるのは色づく先端だけだ。
敏感な表面をぴたりと覆われて、クルトはディートリヒの手指にタコやマメがないことに気づいた。武器の扱いを心得ているためか、力の流し方が巧みなためだろうか。厚みがあって柔らかい。その手がクルトの下着の中でゆったりと動いた。
「ン、ふ、っあ……う、す、好き……ぅうう、あ、……っは」
「クルト。どのように“好き”なんだ?」
動きは単調だが、ディートリヒの手の内側は複雑に膨らみ、窪んでいる。柔らかい隆起はクルトの下腹部に切なさをもたらした。向きは違うが、ディートリヒを妬むと込み上げるものに似ている。
「ぅあ、ああぁ~~……切ない、感じ……っくぅ……好き、好きだ……お前の」
「ディートリヒ、だ。ほらクルト……」
「ん、好きだ……ディートリヒ、あっ、ああ……」
ディートリヒは喉の奥で笑い、左手をクルトの腰から腹へ、腹から胸へと這わせていく。クルトの肌と肉は軽い接触にも強い快感を示した。乳頭をほじられて快感は急激に高まった。胸から全身に甘い痺れが広がっていく。
「ん、ん……っはあ、あ……うあっ!」
「クルト。上も下も触れられると……なにを“好き”になる?」
興奮を押し込まれて勃起する性器に、甘い痺れも加わったのだ。吐精したい。痺れを味わいたい。精液が尿道を駆ける快さに身を任せたい。この甘さに浸っていたい。鈴口から快楽を噴射したい。ディートリヒがもたらす熱に呑まれたい。クルトが切り替わる快楽に翻弄されていると、ディートリヒの手が止まった。
「君はいい子だ。だろう? さあ、答えてくれ」
「はっ、は~~っ、はあ、はぁ……ふ、うう……」
「教えてほしいんだ。ほら、クルト」
ディートリヒは手の圧をゆるめてクルトを焦らす。
「クルト、クルト……かわいいクルト」
クルトはディートリヒの手が作った肉筒に腰を打ちつけた。胸への刺激がやんで、射精欲が沸騰している。ディートリヒは問いを繰り返すかわりにクルトの耳介を食んだ。軟骨は整った歯並びにとらえられ、熱い舌先にねぶられる。クルトの快感は絶頂の始まりに到達した。陰嚢は迫り上がり、クルトの腹部はのたうった。ここまで来ればディートリヒに邪魔されずに達せる。粘液が尿道を通る。快感に備えると、ディートリヒが乳首と乳輪を扱きあげた。
「ぅあっ! あ、あ……くうっ、は……ん、あ、ああぁ……っ!」
クルトはディートリヒへ倒れ込んだ。精液をあふれさせる局地的な快楽のほかに、全身を甘い痺れで包まれる快楽があった。
「ディートリヒ……好き、これ……大好き。気持ち、いぃ……」
「君がいい体験をできて私も嬉しいよ。クルト、風呂の用意ができている……終えたら娼館に送り届けよう」
クルトの冷めやらぬ頭と体は、ディートリヒのその言葉を“罠”と断じた。ディートリヒはクルトを誘い込もうとしている。
(性的にじゃねえけど……コイツは俺に、俺が感じてる顔や声に興奮できる。している)
クルトは顔を俯けてディートリヒに気取られないようにニタリと笑った。
「もっぺん……」
ディートリヒの胸に後頭部をつける。笑みをなんとか消して告げた。
「好き……気持ちいい、から。もういっぺん……ディートリヒ、好きだ」
ディートリヒの瞳は蜂蜜の色に変わる。頬やまぶたは上気して白亜の壁に薔薇を散らしたようだ。ディートリヒはかかとを持ち上げ、ももの位置をゆっくり高くする。クルトの頭とディートリヒの顔が近くなった。クルトが顔を横に向けるとディートリヒは唇を繋げたのだ。
耳に流れ込む声はクルトの熱を煽る。特に性器は火がついたようだ。どう振る舞えばディートリヒを騙せるのか。体の反応を隠さずさらけ出してやればいい。クルトは自分の乱れた姿を恥じらい、淫らさを引き出したディートリヒに怒りを向ければいいのだ。怒りで身を震わせ、しかし快楽に呑まれるクルトが漏らす言葉は、真実に聞こえるだろう。
ディートリヒの手はクルトのズボンが押し上げられている場所を遠慮がちに撫でている。
(お前を見下ろして笑ってやるよ)
「う、んん……体、熱い……俺、俺も、っはぁ」
ディートリヒは呼吸を荒げてズボンの前たてのボタンを引きちぎった。綿の下着に触れた指が一瞬止まる。
「今日はいつもと違う形なのだな。これも清楚で……魅了される」
「はぁ、あっ、娼館で……あんなガキの履くもん、ん、うっ、馬鹿にされるっての」
いつもの下着は前面は最低限しか隠れていないし、そのほかは紐だ。情けないのであまり人目にさらしたくない。今はももの半ばまで覆う白い綿製の下着を履いている。
ディートリヒがクルトの胸を覆う左手を左右に滑らせた。両方の乳首が潰され、クルトは息を呑んだ。
「っく、ああ……」
腰をくねらせ喘ぐクルトの下着の中にディートリヒの手が入り込む。指先は淡い茂みをくるくると撫で、竿の付け根を軽く叩いた。それだけの刺激でクルトの皮膚はすべて粟立ち、感覚は鋭く尖っていく。包皮が受ける快感も強まって、根元近くをさすられるだけでめまいがした。
「ぅあ、ふ、うぅン……半端に、触んな、っん」
「クルト。もう気持ちがいいのか? これだけで……なんともはや」
「言うな、やっ、やだ、やめろ……は、あぁ、くぅ、う……」
クルトの体は快感に溺れることを恐れたのか、ディートリヒから離れたがる。距離を取るとより乳頭が潰されて気持ちよさが増した。焦った爪先は床を蹴ろうと試みて、床材の表面を撫でるだけで終わる。ディートリヒの指先はクルトをからかっていた。乳輪をこすり、張り詰めて伸びた包皮をつまもうとしている。
クルトはもっとディートリヒに体を預けて、煽ってやりたい。なのに体を制御できない。
「ん、ふあっ、なんで、できない、っい、あ、ああ……」
「クルト、すまないが休憩は取れそうにない。騎士として前言を翻すのは不名誉なことだが」
ディートリヒは胸から腰に手を移した。クルトの薄い腸腰筋を握りしめ、深く腰掛ける。クルトの背中はディートリヒの胸と密着し、足は床につかなくなった。ディートリヒの胸板は力がこもっているのか硬く引き締まっている。腰に回された腕もそうだ。
「仕方あるまい。クルト……君のせいでもあるのだから」
クルトの陰茎はディートリヒの指と手のひらの中にたやすく収まった。ディートリヒの握る力は弱い。しかし、隙間もなくクルトの屹立に寄り添っている。クルトの竿はディートリヒ手の中にあり、顔を見せるのは色づく先端だけだ。
敏感な表面をぴたりと覆われて、クルトはディートリヒの手指にタコやマメがないことに気づいた。武器の扱いを心得ているためか、力の流し方が巧みなためだろうか。厚みがあって柔らかい。その手がクルトの下着の中でゆったりと動いた。
「ン、ふ、っあ……う、す、好き……ぅうう、あ、……っは」
「クルト。どのように“好き”なんだ?」
動きは単調だが、ディートリヒの手の内側は複雑に膨らみ、窪んでいる。柔らかい隆起はクルトの下腹部に切なさをもたらした。向きは違うが、ディートリヒを妬むと込み上げるものに似ている。
「ぅあ、ああぁ~~……切ない、感じ……っくぅ……好き、好きだ……お前の」
「ディートリヒ、だ。ほらクルト……」
「ん、好きだ……ディートリヒ、あっ、ああ……」
ディートリヒは喉の奥で笑い、左手をクルトの腰から腹へ、腹から胸へと這わせていく。クルトの肌と肉は軽い接触にも強い快感を示した。乳頭をほじられて快感は急激に高まった。胸から全身に甘い痺れが広がっていく。
「ん、ん……っはあ、あ……うあっ!」
「クルト。上も下も触れられると……なにを“好き”になる?」
興奮を押し込まれて勃起する性器に、甘い痺れも加わったのだ。吐精したい。痺れを味わいたい。精液が尿道を駆ける快さに身を任せたい。この甘さに浸っていたい。鈴口から快楽を噴射したい。ディートリヒがもたらす熱に呑まれたい。クルトが切り替わる快楽に翻弄されていると、ディートリヒの手が止まった。
「君はいい子だ。だろう? さあ、答えてくれ」
「はっ、は~~っ、はあ、はぁ……ふ、うう……」
「教えてほしいんだ。ほら、クルト」
ディートリヒは手の圧をゆるめてクルトを焦らす。
「クルト、クルト……かわいいクルト」
クルトはディートリヒの手が作った肉筒に腰を打ちつけた。胸への刺激がやんで、射精欲が沸騰している。ディートリヒは問いを繰り返すかわりにクルトの耳介を食んだ。軟骨は整った歯並びにとらえられ、熱い舌先にねぶられる。クルトの快感は絶頂の始まりに到達した。陰嚢は迫り上がり、クルトの腹部はのたうった。ここまで来ればディートリヒに邪魔されずに達せる。粘液が尿道を通る。快感に備えると、ディートリヒが乳首と乳輪を扱きあげた。
「ぅあっ! あ、あ……くうっ、は……ん、あ、ああぁ……っ!」
クルトはディートリヒへ倒れ込んだ。精液をあふれさせる局地的な快楽のほかに、全身を甘い痺れで包まれる快楽があった。
「ディートリヒ……好き、これ……大好き。気持ち、いぃ……」
「君がいい体験をできて私も嬉しいよ。クルト、風呂の用意ができている……終えたら娼館に送り届けよう」
クルトの冷めやらぬ頭と体は、ディートリヒのその言葉を“罠”と断じた。ディートリヒはクルトを誘い込もうとしている。
(性的にじゃねえけど……コイツは俺に、俺が感じてる顔や声に興奮できる。している)
クルトは顔を俯けてディートリヒに気取られないようにニタリと笑った。
「もっぺん……」
ディートリヒの胸に後頭部をつける。笑みをなんとか消して告げた。
「好き……気持ちいい、から。もういっぺん……ディートリヒ、好きだ」
ディートリヒの瞳は蜂蜜の色に変わる。頬やまぶたは上気して白亜の壁に薔薇を散らしたようだ。ディートリヒはかかとを持ち上げ、ももの位置をゆっくり高くする。クルトの頭とディートリヒの顔が近くなった。クルトが顔を横に向けるとディートリヒは唇を繋げたのだ。
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