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二日目

スーパー銭湯へ行く

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私は焼肉屋で些か飲みすぎたようだった。
チョコと別れて酔い覚ましに、散歩していると、身体が冷えてきた。

「寒いっ」

携帯で調べ、銭湯を探す。
お、京王永山にスーパー銭湯がある。
電車に乗れば酔いも覚めるだろう。


竹取の湯は、京王永山駅の目の前にあった。
大きな施設だ。
入り口で料金を支払う。平日は2500円。働いている頃は、2500円は大金であり、躊躇する値段だが、今の私からするとタダみたいなものだ。

すごいな、食事もできるのか。
温泉サウナを目的に来たが、食事も美味しそうで、昼からビールを飲んでいるお客さんもいる。
温泉であったまった身体に、冷えたビールを流し込むのは、さぞかし気持ちがいいだろう。

冷えた身体を温めるべく、早速浴場へ向かった。

広いな。
入って右側に洗い場がずらりと並び、正面と左にたくさんの浴槽がある。
サウナもある。
中で繋がっているのか、二つの部屋があるようだ。

洗い場で丁寧に全身を清めたあと、高濃度炭酸泉に浸かる。

あ~

つい、声が出てしまう。
湯の温度は低めで、じんわりあったまれそうだ。
外を見ると露天があったので、露天も堪能してみる。

こちらは、熱い。
気合いを入れて肩まで沈む。
慣れてくると、気持ちがいい。
空を見上げると、曇り気味などんよりとした空だ。
灰色の、重い空。
こんな空も、結構好きだ。
雲が一面に広がると、どこを見ていいか分からず、ボーッとできる。

入道雲などあると、ついつい形に魅入ってしまってボーッとできないものだ。
ボーッとするには、この曇り空が最適だ。

満を持して、サウナへ向かう。
サウナ8分、水風呂1分、身体を拭いて、外気浴10分。

3セット目の外気浴で曇り空を見ていると、それはやってきた。

ととのう、だ。

全身の脈拍に意識が集中し、脈拍を感じるのが心地よい。
頭の力がスーッと抜け、心地よい波がやってきた。

これこれ、これだよ。

しばらく、波に身を任せる。


冷えた身体を高濃度炭酸泉に沈める。

結局、これなのだ。
美味い飯を食べるのも、いい女と肌をあわせるのも、サウナで整うのも、結局「きもちいい」を味わうためなのだ。

この気持ちよさが、たったの2500円。
もし資産がなくなっても、私は一生幸福に生きられるだろうと確信した。
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