平凡魔法で素敵な勇者パーティー生活

相楽 快

文字の大きさ
2 / 18
一章 クビになりました。

ギルドにて単身冒険者登録

しおりを挟む
「受付さん、登録の修正をしたくて来ました」

僕は早速、ギルドの受付に行った。
受付のお姉さんは、ボンキュッボンを絵に描いたようなグラマラスなお姉さんだ。

「こんにちは、ボルサリーノ。修正項目はなにかしら。住所?」

「いえ、パーティをクビになってしまって。なので、単身冒険者として登録しなおしたいんです」

「あら、BBに期待の新星がやってくるって噂だったけど、ボルサリーノが弾かれちゃったのね」
可哀想に、といいながら頭を撫でられる。

「残念ですけどね。でも、心機一転前向きに頑張りますわ」

次の瞬間、後ろから尻を蹴り上げられる。

「だーれが前向きに頑張るって?このポンコツ魔術師。お前のせいで居心地悪いぜBBはよぉ」

※ブラインド

目の前が真っ暗になる。

「お前がBBのボルサリーノだな。俺は後任のブラストだ。お前、魔術師の癖に、随分腰が低かったみたいだな。お前のせいで魔術師の格が落ちたぞ」

胸ぐらを掴まれる。
何も見えない。

「パーティに行って、最初に何させられたか教えてやろうか。会議室の掃除とお茶だよ。魔術師の俺が、だぞ?」
ドスっと、足で腹を抉られる。

「お前がヘコヘコやってたせいで、雑務が俺の仕事になってやがる。屈辱だったよ。メイドの仕事を、貴族の、、、まあいい。いや、よくないか」

「オエッ」
口の中に丸めた雑巾が押し込まれる。
ドブと発酵臭が混じった臭いに、さらに吐き気が押し寄せる。
「ゴモモ」

「ボルサリーノ、なぜ俺が魔術大学校を好成績で卒業できたか教えてやろうか?魔術師の弱点を知っていて、喧嘩が強いからだ」

ドスっ、ドスっ、ドスっ

何度もつま先で顔を抉られる。
吐瀉物が詰まり呼吸もできない。

呪文も唱えられない。

なるほど、魔術師の弱点ね。
蹴られ、呼吸ができず苦しい中、なぜか冷静な自分がいた。

※サンダーストライク

全身に稲妻が走る。激痛。
焼けるような痛みが、体中を駆け巡る。

このまま、ここで殺されるのだろうか。
周りの人達は我関せずで、誰も助けてくれない。

このまま、死ぬのだろうか。
死ぬというのに、身体に力が入らない。


「呪文を唱えられなくなった魔術師ほど無力な存在はないよなァ」

雑巾が口から取り出され、その場に吐瀉物が溢れる。

「さようなら、クソ雑魚魔道士」

ブラストは僕の舌を引っ張り、ナイフをあてがう。

「ああ、ブローザとかいう女。あいつの身体は素晴らしい。俺の玩具として相応しい。俺があいつを抱くところを、喋れないお前に見せてやるよ」

頭がカッと熱くなった。
次の瞬間、自分の舌ごとブラストの指を噛みちぎっていた。

激痛が口内を走る。刺激を受けたせいか、目の前のモヤが晴れた。
ブラストの顔を初めて正面から見る。

腑抜けたガキの面だ。
こんなやつに、仲間を任せられるか。

喋れない口で、言い慣れた呪文を吐く。

※スリープ

ブラストが膝から崩れ落ちたのを見て、僕も気を失った。


目を覚ますと、見慣れぬ天井があった。
油と鉄の臭い。汗と埃の臭い。
「良かった。目が覚めた。」
随分と疲れた顔をしたブローザがいた。

「二週間も寝てたのよ。大丈夫?私ができる限りの回復魔法をかけたの。喋れる?」

「ああ、ありがとう。喋れるよ。舌も無事みたいだ。それよりブローザ、君が心配だ」

ブローザは、静かに涙を流し始めた。
「あなただけでも無事で良かったわ」

だけ?

「リーダーが死んだ。BBはブラストの私設兵団に取り込まれたわ。そもそも、最初からこれが狙いだったのね」

ブローザは泣きながら、自分の手首を握る。
彼女の手首は、縛られたような痕があった。

「なあ、ブローザ。まずは君だ。君が心配なんだよ」

「ううっううっボルサリーノォ、アイツが憎いよぉ。。。バリンもビリアーナも、幼いベルンまで皆犯されたわ。私も、手足を縛られて、、、うぅ、、、抵抗できなかった。」

ブローザは喉が裂けるような声で、唸るように言った。

「アイツを、、、殺したぃぃぃ」

僕はブローザの手を握ることしかできない。


僕から見たブローザは、ザ•素敵なお姉さんだった。
BBにも、僕より先に居たので、いろいろ教えてくれた。
僕が馴染めたのも、ブローザのお陰だ。

回復魔法に精通し、クエストで負傷してもそよ風が吹くように傷を治してくれた。
彼女が居たから、みんな思い切って進めたし、挑戦できた。

リーダーも、時に厳しい場面もあったが、いつもは人情味のあるお兄さんという感じだった。
腕も立ち、コスト15という誰が見ても優秀な逸材だった。

「ブローザ、リーダーはどんな最後だったの?」

「ううっ、クエスト中に、オークの群れに襲われたの。彼は私たちを逃がすために殿をしてくれたわ。もう少しで逃げ切れる場面で、突然転んで、足から血が。そこにオークが突っ込んで、彼は食べられたわ」

ブローザは、また激しく泣き咽ぶ。

くそ、僕が居れば足止めくらいなれたのに。



どれくらい時間が経っただろうか。
夕焼けが窓を色つけたころ、ブローザはスヤスヤと寝ており、僕は彼女の持っていた冒険記録を読み終えた。

クエストは洞窟内の鉱石採取。
クエストランクはCで、階層も深くない。モンスターもゴブリンか、精々ゴブリンキングが関の山のクエストだ。

オークのような怪物が出てくるような場所じゃない。

そして、オークは徒党を組まないと言われている。オークの大群が出たということは、オークを率いる大物が産まれたという可能性がある。

リーダーはコスト15だ。
オーク二、三匹なら、優勢を守れるだろう。一体どれほどのオークが居たのか。
単騎でリーダーに勝る冒険者は、このギルドにはあまり居ない。

このクエストの洞窟は、スタンピートの恐れありとして、徹底的に調査されるはずだ。そこに行けば、なにかわかるかもしれない。

僕はスタンピート、と口で呟き、背筋が寒くなるのを感じた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

処理中です...