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騎士団との旅立ち。

レオノールの傷。⑩

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焦った私は、ダッシュで逃げようと踵を返そうと慌てて身体を離した。

「だから・・。シアには俺を振り回した責任を取ってもらいたい。
俺の側に、ずっと俺と一緒にいてくれないか?」

夜の帳の中で凛としたレオの声が響いた。

今度は私の肩が激しく震えていた・・。

呆気にとられたまま後ろ向きに固まった私を見下ろしているであろうレオは
絶対に楽しそうに笑っている・・。

「はぁ・・!?
・・何で私が責任取らなきゃなのよっ。納得出来ないわ??」

甘い筈の台詞にちょっとだけ照れた私だったが・・。

文句をつけたいのよね・・。


「逆よ、逆!!女の台詞じゃないの!??
そもそも責任も何も、裏切り者のレオに責任だなんて言われたくないわ!?」


ハッ、そうだったわ・・!!


レオはそもそも裏切り者であり、婚約破棄した私は自由になった暁には
念願だったファーマシストになって・・。

ああ、もうそこからややこしいわ!!(混乱)

くるりとレオの方を向きなおした私は、唖然としたレオを睨んだ。

「だからそれは・・。
シアは俺の事が好きだったんだから。
あんな浮気者と結婚なんか出来る訳ないだろう!?
とっとと婚約破棄すれば良かったんだ。
あんな破綻した無価値極まりない薄っぺらい婚約などだな・・。」

勝気に吊り上がった私の瞳は、至近距離でレオと睨み合った。

「いっ・・、色々とあったのよこっちも!!
レオこそ、「とっとと俺がお前を幸せにする。愛してる、アレクシア!!」
とでも言いながら乗り込んできてかっさらえば良かったでしょうが!?」


「ああ、そうか・・。なるほどな。そう言って良かったんだな!?
むしろ・・。シアは、俺からの愛の告白をずーーっと待ってた訳だ??
気づかなくて申し訳なかったな。・・・はぁ。素直じゃない。」

「はぁ??違うわよ・・!!断じて違うからね??
誓って待ってないわよ、何よ。レオってば自惚れ過ぎじゃないの・・!?」

むうっと頬を膨らまして睨みつける私を見て、レオは少しだけ困ったように笑った。

肌寒くなった星空の下でレオは長い指をシッと人差し指を私の口元に当てた。


「自惚れでもいい。シアが俺の側に居てくれるなら・・・。」

「・・・ぎゃあ。止めて。」

私は眩しく色気の放つレオの瞳にロックオンされて、奇声を出してしまった・・。

何故か、レオの瞳を見つめていると瞳が熱くなった。

そっと頬に優しく触れるレオの掌の熱にかぁっと顔が赤くなっていく。

腰に手が回されて、2人の距離が一瞬で驚くほど近くなった。


「俺は何もいらない。神力も、神獣も・・・。
世界を束ねる天帝になるかもしれないそんな未来さえいらないと思える。
俺には、この世界にシアに勝る物は何一つないんだ。」


「馬鹿だわ・・・。馬鹿じゃないの??レオって、本当に大馬鹿天子じゃない・・・。
神力も、神獣も・・。
レオノールって言うこの国の偉大な天子様は、・・この世界の天帝になる必要な存在なのよ?」


・・そう私にも。

そう心の中で自然と答えのようなものが溢れてくる。


目を大きく見開いた私のすぐそばに色気がいつもの10倍以上も倍増した
蛍光灯王子が急接近していた。

・・・わたし、ここで死ぬかも。

「愛してるよ。アレクシア。
君が俺を忘れてしまったら、多分。俺はもう生きてはいけない・・。」

心臓の音が速くて死んじゃうかと思うくらい息が苦しくなった。

慌てた私の方へと女神のように神々しい整ったレオの顔が近づいて来て
海よりも美しいサファイアブルーの瞳が閉じられる。

「・・はいはい。さっきから何言ってるのよ!?
そんな事起こる訳ないじゃないのよ!!縁起でもないっ・・ん、んっ・・!!」

重なりあった唇の熱に驚くと私は腰を引いて後ずさりした。

そんな事まで読んでいた様子のレオはガッシリと私の腰を抱え込んだまま
激しく角度を変えて口づけを落としていく・・。


観念した私は身体の力を抜いてレオに預けた。

沸き上がった温泉よりも熱く感じる熱帯夜の夜だった。



心拍数が上がりすぎて今にも心停止しそうなんだけど・・。

・・神様、レオノーラ様。

どうかわたしにAEDを下さい・・!!

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