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騎士団との旅立ち。
遠征の旅路。⑨
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アイーネの飲んだ水場の特定を急いで、水源の汚染チェックに大勢の騎士団員やファーマシスト達があてられた。
汚染された水源が早急に確定したのだった。
「テント近くには、安全な水道が通っていた事が証明されたぞ。それでも、姫の侍女であるミリアはわざわざ遠くの井戸まで水を汲みに行っている。
偶然なのか、それとも意図的なのかだな?
彼女は水道は安全で、井戸に薬が混入していることを知っていたかもしれないと仮定すると・・。」
エリアスの推察にレオが眉根を寄せて呟いた。
「もしも、ミリアが混入場所を知っているのだとすれば・・、薬を混入した組織と通じている可能性があると言うことだな。
・・しかし、組織と通じているとの確証はない。
何故、このタイミングでアイーネ姫が狙われたのか・・。その動機自体が理解出来ないな。」
押し黙ったままの私は、テントの中で救護者や患者をせっせと介抱しているミリアを見た。
「嘘よ・・。ミリアがこんなに大勢の民たちを苦しめている薬を広めた組織と通じてるなんて!!
意味が解らなすぎじゃない。こんな大変な状況の中でアイーネ様に毒を盛る意味は何なの!?」
ミリアを疑いたくなんかないけど・・。
いつも笑顔で私を勇気づけてくれる侍女が、
あの組織と通じているなんて・・。
でも、きっと何か意味があるのかもしれない。
ちゃんと考えないと・・!!
当初の想定よりも、トリアージが可能になって上手く患者たちの治療とパニックの鎮静化がスムーズになって騒ぎは解決に向かって動いている。
神獣での早急の水源の浄化や、騎士団の警備の強化の安全策が講じられて、あちらの更なる手出しは出来難い状況になっている。
効果的な治療薬を、適切な患者に飲ませていることでこれ以上の被害も抑えることが出来ているとすれば・・。
「そっか・・。想定外の騒動の鎮火の迅速さに
あちらは焦っているのかも・・。」
動機がないのに起こした騒ぎの意味。
もしこの騒ぎで誰かが得をするなら・・。
私はハッとして、顔を上げた。
「レオ、エリアス・・。
ミリアが故意にこの騒ぎを起こしたなんて、出来ればそんな事考えたくないわ。だけど、もしかしたら。・・ここで何か変わったことは起きてないのかしら?」
「シア・・、
それはこの騒ぎに乗じてミリアと通じる者がいて共に何かを画策したってことなのか!?」
「・・まさか!?
この騒ぎ自体が気を反らす為のフェイクだと!?」
「恐らくね・・。まだ、確証はないけれど。」
鋭くした声でエリアスは私を見ると唸るように考え込んだ。
「いたっ。レオっ、嬢ちゃん・・!!
おいっ、こんな所にいたのかよぉ?テント中探したんだぜぇ!!」
大柄なルカが息を飲んで走り込んできた。
「ルカ・・。まさか、何かあったのか!?
こっちでも色々あってな。大切な話をして・・。」
クリスも呼吸が乱れたまま、顔を上げた。
「・・あったよあった!!こっちも大変なんだよ!!気化して持ってきたエターナルアプローズの原液が残りの全てが消えたんだ!!」
「そんな・・。
確かに数は残り少なくなっていたけど。
残り十数個は残っていたはずじゃない?
あれが無いとなれば・・。どんなに現地に材料があっても解毒剤が作れなくなるわよ!?」
絶望的な声で叫んだ私はレオを見上げた。
「幸い、患者は落ち着いては来ているが、もしもこれ以上の被害があった場合、この場ですぐに解毒が出来ないということなのだな・・。」
ルカも、クリスも青ざめた表情で頷いていた。
「馬鹿な・・。クリス、ルカ。残りの解毒剤はどれほどあるんだ??」
エリアスの質問にクリスが表情を強張らせていた。
私は息を殺してその言葉を聞いた。
「「ハル」が5つ、「カオン」が・・残り1つ。
そして・・。」
「「レイ」は、もう・・ないんだ。」
いつも冷静なクリスの紅い瞳が激しく揺れていた。
汚染された水源が早急に確定したのだった。
「テント近くには、安全な水道が通っていた事が証明されたぞ。それでも、姫の侍女であるミリアはわざわざ遠くの井戸まで水を汲みに行っている。
偶然なのか、それとも意図的なのかだな?
彼女は水道は安全で、井戸に薬が混入していることを知っていたかもしれないと仮定すると・・。」
エリアスの推察にレオが眉根を寄せて呟いた。
「もしも、ミリアが混入場所を知っているのだとすれば・・、薬を混入した組織と通じている可能性があると言うことだな。
・・しかし、組織と通じているとの確証はない。
何故、このタイミングでアイーネ姫が狙われたのか・・。その動機自体が理解出来ないな。」
押し黙ったままの私は、テントの中で救護者や患者をせっせと介抱しているミリアを見た。
「嘘よ・・。ミリアがこんなに大勢の民たちを苦しめている薬を広めた組織と通じてるなんて!!
意味が解らなすぎじゃない。こんな大変な状況の中でアイーネ様に毒を盛る意味は何なの!?」
ミリアを疑いたくなんかないけど・・。
いつも笑顔で私を勇気づけてくれる侍女が、
あの組織と通じているなんて・・。
でも、きっと何か意味があるのかもしれない。
ちゃんと考えないと・・!!
当初の想定よりも、トリアージが可能になって上手く患者たちの治療とパニックの鎮静化がスムーズになって騒ぎは解決に向かって動いている。
神獣での早急の水源の浄化や、騎士団の警備の強化の安全策が講じられて、あちらの更なる手出しは出来難い状況になっている。
効果的な治療薬を、適切な患者に飲ませていることでこれ以上の被害も抑えることが出来ているとすれば・・。
「そっか・・。想定外の騒動の鎮火の迅速さに
あちらは焦っているのかも・・。」
動機がないのに起こした騒ぎの意味。
もしこの騒ぎで誰かが得をするなら・・。
私はハッとして、顔を上げた。
「レオ、エリアス・・。
ミリアが故意にこの騒ぎを起こしたなんて、出来ればそんな事考えたくないわ。だけど、もしかしたら。・・ここで何か変わったことは起きてないのかしら?」
「シア・・、
それはこの騒ぎに乗じてミリアと通じる者がいて共に何かを画策したってことなのか!?」
「・・まさか!?
この騒ぎ自体が気を反らす為のフェイクだと!?」
「恐らくね・・。まだ、確証はないけれど。」
鋭くした声でエリアスは私を見ると唸るように考え込んだ。
「いたっ。レオっ、嬢ちゃん・・!!
おいっ、こんな所にいたのかよぉ?テント中探したんだぜぇ!!」
大柄なルカが息を飲んで走り込んできた。
「ルカ・・。まさか、何かあったのか!?
こっちでも色々あってな。大切な話をして・・。」
クリスも呼吸が乱れたまま、顔を上げた。
「・・あったよあった!!こっちも大変なんだよ!!気化して持ってきたエターナルアプローズの原液が残りの全てが消えたんだ!!」
「そんな・・。
確かに数は残り少なくなっていたけど。
残り十数個は残っていたはずじゃない?
あれが無いとなれば・・。どんなに現地に材料があっても解毒剤が作れなくなるわよ!?」
絶望的な声で叫んだ私はレオを見上げた。
「幸い、患者は落ち着いては来ているが、もしもこれ以上の被害があった場合、この場ですぐに解毒が出来ないということなのだな・・。」
ルカも、クリスも青ざめた表情で頷いていた。
「馬鹿な・・。クリス、ルカ。残りの解毒剤はどれほどあるんだ??」
エリアスの質問にクリスが表情を強張らせていた。
私は息を殺してその言葉を聞いた。
「「ハル」が5つ、「カオン」が・・残り1つ。
そして・・。」
「「レイ」は、もう・・ないんだ。」
いつも冷静なクリスの紅い瞳が激しく揺れていた。
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