61 / 187
最後の円舞は君と・・。
最後の円舞は君と・・。⑤
しおりを挟む
卒業式を終え、盛大なプロムの翌日には、私はウェディングドレスを着てクロードと
誓う事になる予定だった。
「ダルいわー・・。人生がダッるい。」
そうならない為に、様々な策を講じて来た私は
少々疲れ気味に机の上で伸びていた。
「「バサッ・・。」」
そんな時、芳しい薔薇の匂いと共に、真っ赤な薔薇の花束が眼前に置かれた。
私は、シルバーグレイの瞳を半分開いたまま静止していた。
爽やかな電子レンジ王・・。
もとい、カイルが品良く立っていた。
私は、頭の上に花びらが乗ったままで、ガバッと飛び起きた。
「ど、どうしたのよ??」
「今日は申し込みに来たんだよ、シア・・。
プロムへは、僕と一緒に行かない??」
カイルが、金色の目をキラキラ輝かせて私の真横でほほ笑んでいた。
「あー・・。プロムね・・!!
お兄様と行く予定なの。・・ごめんなさいね?」
「ああ、お義兄様と行くんだね。
ここで真打ちの、レオの名前が出なくて安心したよ。
ちなみに、ラストダンスは誰か相手はいるの?」
「ラストダンス??」
果て?
ラストダンスって、何だ・・。
えーと、最後のダンス??
何か意味でもあるのかしら・・。
「今の所そういうお話はないけど・・(どうでもいい)。」
「じゃあ、ラストダンスは僕と踊ってくれる??
僕は最後まで諦めないよ・・。
僕なら君の婚約を破棄して、自国に連れ去る力も持ってるんだから。
最悪、ザイードに拉致してもいいかな?」
「駄目に決まってんでしょう・・!!拉致は犯罪よ。国家権力を
そんなどうしようもない事に使わないでよ。みんなの血税よ!!」
薔薇を差し出して、物騒な誘拐宣言をしてきたカイルにため息をついた瞬間だった。
「イヤーッ!!カイル様が、アレクシア様に申し込んでるわ・・!!」
「しかも、何なら今のプロポーズみたい!カイル様って、情熱的ね・・!!」
教室内が再び阿鼻叫喚に包まれた事は、言うまでもなかった・・。
その情熱は。違う方向で生かせばいいのに・・。
と思ってしまった。
「昼間から発言が、物騒だな・・、カイル。
留学で、一体何を学んだのかとお父上に問われるぞ?」
呆れたような声で返答した瞬間に、私の眼前が金色の頭で塞がれた。
み、見えない・・。
「なっ・・・なんだよ、レオ!?
まさか、お前もシアにダンスを申し込みに来たのか??」
「ついでに、ラストダンスは先約済みだ!!」
少しだけ頬を染めたレオが、横を向いて吐き捨てた。
「はぁ??てゆーか、何の話よ??
先約について全く心当たりがないのだけど・・!!」
首を傾げた私の前に、訝し気な表情を浮かべてずいっとレオが近づいた。
「この間、生徒会室で「プロムのダンス踊るか?」
って聞いたら・・。
「うん、踊るわ。」って答えたじゃないか・・。」
その言葉に私とカイルは言葉を失った・・。
「それ、約束したことになるの?
そもそも、それが誘い文句だったわけ!?
私、全っ然、気づいてなかったわ!!」
呆れた表情の私と、カイルは、可哀そうな物でも見るようにレオを見ていた。
「レオって・・。馬鹿なの??何か哀れになって来たよ、僕・・。」
「・・・お前に同情されるなんて、反吐が出る。腹立つから憐れむな!」
睨み合った2人を見て、私はため息を吐いた。
学院モテ男子2人が、ギャーギャーと声を上げている横の席で、
嬉しそうに手紙を書いてるジュリーが視界に入る。
「ジュリーは、クロードが本当に好きなのね・・、私とは違う。」
私の呟きは、2人の喧嘩にかき消されて消えた。
「ほら、チャイムが鳴るわよ?2人共、ハウスしなさいな!!」
ダルそうにシッシと2人を追いやろうとした。
「犬じゃないぞ・・。扱いが相変わらず雑だな。」
レオが呆れたように、笑う。
私は、そっとレオの背後に立つと耳元でコソッと囁いた。
「レオ、ジュリーを見ていて頂戴?
プロムで、何か解るかもしれないわ・・。」
その言葉に、レオは驚いて後ろの私を見下ろした。
私の記憶が確かなら・・。
きっと・・。
そんな確信が、私の中に生まれていた。
誓う事になる予定だった。
「ダルいわー・・。人生がダッるい。」
そうならない為に、様々な策を講じて来た私は
少々疲れ気味に机の上で伸びていた。
「「バサッ・・。」」
そんな時、芳しい薔薇の匂いと共に、真っ赤な薔薇の花束が眼前に置かれた。
私は、シルバーグレイの瞳を半分開いたまま静止していた。
爽やかな電子レンジ王・・。
もとい、カイルが品良く立っていた。
私は、頭の上に花びらが乗ったままで、ガバッと飛び起きた。
「ど、どうしたのよ??」
「今日は申し込みに来たんだよ、シア・・。
プロムへは、僕と一緒に行かない??」
カイルが、金色の目をキラキラ輝かせて私の真横でほほ笑んでいた。
「あー・・。プロムね・・!!
お兄様と行く予定なの。・・ごめんなさいね?」
「ああ、お義兄様と行くんだね。
ここで真打ちの、レオの名前が出なくて安心したよ。
ちなみに、ラストダンスは誰か相手はいるの?」
「ラストダンス??」
果て?
ラストダンスって、何だ・・。
えーと、最後のダンス??
何か意味でもあるのかしら・・。
「今の所そういうお話はないけど・・(どうでもいい)。」
「じゃあ、ラストダンスは僕と踊ってくれる??
僕は最後まで諦めないよ・・。
僕なら君の婚約を破棄して、自国に連れ去る力も持ってるんだから。
最悪、ザイードに拉致してもいいかな?」
「駄目に決まってんでしょう・・!!拉致は犯罪よ。国家権力を
そんなどうしようもない事に使わないでよ。みんなの血税よ!!」
薔薇を差し出して、物騒な誘拐宣言をしてきたカイルにため息をついた瞬間だった。
「イヤーッ!!カイル様が、アレクシア様に申し込んでるわ・・!!」
「しかも、何なら今のプロポーズみたい!カイル様って、情熱的ね・・!!」
教室内が再び阿鼻叫喚に包まれた事は、言うまでもなかった・・。
その情熱は。違う方向で生かせばいいのに・・。
と思ってしまった。
「昼間から発言が、物騒だな・・、カイル。
留学で、一体何を学んだのかとお父上に問われるぞ?」
呆れたような声で返答した瞬間に、私の眼前が金色の頭で塞がれた。
み、見えない・・。
「なっ・・・なんだよ、レオ!?
まさか、お前もシアにダンスを申し込みに来たのか??」
「ついでに、ラストダンスは先約済みだ!!」
少しだけ頬を染めたレオが、横を向いて吐き捨てた。
「はぁ??てゆーか、何の話よ??
先約について全く心当たりがないのだけど・・!!」
首を傾げた私の前に、訝し気な表情を浮かべてずいっとレオが近づいた。
「この間、生徒会室で「プロムのダンス踊るか?」
って聞いたら・・。
「うん、踊るわ。」って答えたじゃないか・・。」
その言葉に私とカイルは言葉を失った・・。
「それ、約束したことになるの?
そもそも、それが誘い文句だったわけ!?
私、全っ然、気づいてなかったわ!!」
呆れた表情の私と、カイルは、可哀そうな物でも見るようにレオを見ていた。
「レオって・・。馬鹿なの??何か哀れになって来たよ、僕・・。」
「・・・お前に同情されるなんて、反吐が出る。腹立つから憐れむな!」
睨み合った2人を見て、私はため息を吐いた。
学院モテ男子2人が、ギャーギャーと声を上げている横の席で、
嬉しそうに手紙を書いてるジュリーが視界に入る。
「ジュリーは、クロードが本当に好きなのね・・、私とは違う。」
私の呟きは、2人の喧嘩にかき消されて消えた。
「ほら、チャイムが鳴るわよ?2人共、ハウスしなさいな!!」
ダルそうにシッシと2人を追いやろうとした。
「犬じゃないぞ・・。扱いが相変わらず雑だな。」
レオが呆れたように、笑う。
私は、そっとレオの背後に立つと耳元でコソッと囁いた。
「レオ、ジュリーを見ていて頂戴?
プロムで、何か解るかもしれないわ・・。」
その言葉に、レオは驚いて後ろの私を見下ろした。
私の記憶が確かなら・・。
きっと・・。
そんな確信が、私の中に生まれていた。
0
お気に入りに追加
2,651
あなたにおすすめの小説
【書籍化決定】断罪後の悪役令嬢に転生したので家事に精を出します。え、野獣に嫁がされたのに魔法が解けるんですか?
氷雨そら
恋愛
皆さまの応援のおかげで、書籍化決定しました!
気がつくと怪しげな洋館の前にいた。後ろから私を乱暴に押してくるのは、攻略対象キャラクターの兄だった。そこで私は理解する。ここは乙女ゲームの世界で、私は断罪後の悪役令嬢なのだと、
「お前との婚約は破棄する!」というお約束台詞が聞けなかったのは残念だったけれど、このゲームを私がプレイしていた理由は多彩な悪役令嬢エンディングに惚れ込んだから。
しかも、この洋館はたぶんまだ見ぬプレミアム裏ルートのものだ。
なぜか、新たな婚約相手は現れないが、汚れた洋館をカリスマ家政婦として働いていた経験を生かしてぴかぴかにしていく。
そして、数日後私の目の前に現れたのはモフモフの野獣。そこは「野獣公爵断罪エンド!」だった。理想のモフモフとともに、断罪後の悪役令嬢は幸せになります!
✳︎ 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
転生したら冷徹公爵様と子作りの真っ最中だった。
シェルビビ
恋愛
明晰夢が趣味の普通の会社員だったのに目を覚ましたらセックスの真っ最中だった。好みのイケメンが目の前にいて、男は自分の事を妻だと言っている。夢だと思い男女の触れ合いを楽しんだ。
いつまで経っても現実に戻る事が出来ず、アルフレッド・ウィンリスタ公爵の妻の妻エルヴィラに転生していたのだ。
監視するための首輪が着けられ、まるでペットのような扱いをされるエルヴィラ。転生前はお金持ちの奥さんになって悠々自適なニートライフを過ごしてたいと思っていたので、理想の生活を手に入れる事に成功する。
元のエルヴィラも喋らない事から黙っていても問題がなく、セックスと贅沢三昧な日々を過ごす。
しかし、エルヴィラの両親と再会し正直に話したところアルフレッドは激高してしまう。
「お前なんか好きにならない」と言われたが、前世から不憫な男キャラが大好きだったため絶対に惚れさせることを決意する。
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
18禁乙女ゲーム…ハードだ(色んな意味で)
ヴィオ
恋愛
高校3年、見た目よし、パッと見大人しめ、中身はテンション高めの主人公。でも、周りからは妬まれ、虐められていた。
ある日、実の父親に母親と一緒に殺されてしまう。
変な女神から哀れまれ転生させられたのは前世でやっていた乙女ゲームの悪役令嬢で…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※作者は心が弱いです
※ご都合主義です
※内容はほぼ無いです
※頭を空っぽにして読んでください
※カメさんです
感想聞くのやめます。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる