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婚約破棄のため、同盟結びます!
一致団結・・!?婚約破棄同盟!!①
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主役だったカイルが着替えを終えて「待たせてすまない」と、執務室に急いで入って来た瞬間に
一同にピリッとした緊張と、驚きが走った。
執務室の端にある濃紺の大きなソファに華やかなリリア、水をがぶ飲みしているクロエ、大人しく知的な印象のカリーナが座り、テーブルを挟んだ反対側のソファには、急遽参加が許された弟のオーブリー、学校の社交部の花であるアルフレッド、安定のエリオスが座っていた。
王宮の執事と侍女によって、丁寧にテーブルの上に高級なシナモンやバニラの香りが立つ紅茶が置かれていく。
芳醇な香りが部屋を満たしていた。
「リア、ご苦労様。クロエ=アスペクトと、オーブリーを連れて来てくれて有難う。エリオスも感謝していた」
紅茶のカップを持ち上げていた私は一人掛けの椅子に腰をかけたまま、横の椅子に
ドサッと腰かけたカイルの言葉に驚いて視線を向けた。
「お二人には全然敵いませんよ!!
たまたま話の流れで、クロエ達2人も「イムディーナ」の誓いに異議を持っている事が解って声をかけただけですし?」
「そうか・・。表立っては言わないが、あの誓いは百年以上前に作られた愚法だ。
選択の自由は、生きていく上で大切な権利で、命のような物だと思うからね」
「カイル様も、あの宣誓に思う所があったのですか?」
思いがけなかった言葉に驚いた私は目を見開いた。
「黴が生えた法律は今の時代を生きている者の自由を奪ってしまう。エメリアもそう思っているだろう?・・昔から、君は「あの法律には運命や浪漫を感じない!!」と怒っていたからな・・」
カイルはクスクスと何かを思い出すように、遠くを見つめて瞳を細めた。
「・・えーと??私が・・ですか??」
瞬きをしながら驚く。
私、表立って「イムディーナの誓い」の批判をしたっけ??
一応、この世界では絶対的な法律だったから外では批判していない筈だけど・・。
どっかで私が叫んでいたりしたのを、耳にでもしたのかしら?
「・・失礼致しました」
お茶を配り終え給仕を終えると、侍女達はそそくさと退出していった。
「後もう1名を呼んであるのだが・・。
もう時間も遅いので、話を始めさせていただこう。
こんな時間まで引き留めてしまって申し訳なのだが、私的な頼み事をしたいんだ。
筆頭公爵家・侯爵家、王族に縁が深い君達に、是非とも力を借りたい趣旨の相談があって
こうして残ってもらったんだが・・。」
「カイル様、この後は私エリオス=フォルステクトが詳しくご説明いたします。
・・皆さまは高位貴族階級のご令嬢とご子息様方なので、各家同士の交流や面識はあると思いますが・・。一応、各々の自己紹介後に、趣旨の説明をさせて頂きたいと思います」
この国では「イムディーナの誓い」が絶対的な法的強制力があるため、学校も基本的には男女別学で
社交部を通した交流の場面でだけ、年に数回のコミュニケーションを取ることが出来る。
幼少期は婚約者選定があるので、交流のお茶会を開くことも多かった。
10歳を超えた後は婚約者との結婚を目指して自己研鑽に勤しむことになるのだった。
舞踏会やお茶会はあるが、男女は目的を持った会話以外を持つことは好まれないのだ。
浮気されて心底男性不信だった私には、ほぼ男性と関わることなく悠々自適に過ごせた訳で・・。
そこは喜ぶべき慣習だったのよね。
自己紹介が私の番に来た時のことだった。
学校の社交部では人気者で、何度か交流もあった侯爵家の令息であるアルフレッド=クラウが声を上げた。
「初めてお目にかかりますよね??
見たことのない絶世の美少女がいると、会場でも様々な場所で御噂が立ち動揺が起きておりましたよ!!
あの、ご無礼を承知で伺いますが。どちらの家のご令嬢ですか??」
「何言ってるんですか?アルフと姉さんは、社交部で次年度の交流行事としてピクニックの企画を一緒に検討していたでしょう??」
オーブリーが呆れた声を上げると、アルフレッドは大声を出したまま驚いて椅子から立ち上がった。
「え?姉さん!?オーブリーの姉って・・。
まさか・・。え、えええっ・・!?
本当に貴方は、エメリアさんなのかい??
何処で売っているのか分からないような底厚めの眼鏡をかけて、地味な印象だったけど・・。
それにそんな妖艶な肉体じゃないでしょう!?
・・違いすぎでしょう、すんごい美人じゃないか・・。信じられないよ!!」
何だか若干、貶めている内容が入っていた気がしたけど・・。
よく言えば素直ってか、悪く言って愚直?
だから容姿を晒すのは嫌なのよね・・。
ノアと初めて会った時に学んだのよね
「えーと。はい・・。私、エメリア=グラディアスで間違いないです。どうぞ宜しくお願いします」
「アルフレッド=クラウ。
外見の差など重要か??
いつもは優雅に社交を上手くこなす君だが・・。
珍しく女性に対して信じられない失言の数々だな」
「いつもアデレイド姉さんばかり持ち上げているもんね??姉さん、馬鹿は気にしないで無視して!」
「あら。エメリアは元から可愛いわよ?
普段は意識して隠しているだけでしょう。
殿方は目に見える物ばかりで判断するんですもの。・・分かってないわよね―・・」
リリアが、ストロベリーブロンドの巻き毛を指に巻き付けていじりながらため息を吐いた。
「大変失礼しました!!
エメリア様の趣向の変わった美しさに驚かされましたよ。申し訳ありませんでした」
恐縮したアルフレッドから申し訳ないと謝罪を受けることになった。
嬉しいけど、みんなの必死の物言いに恐縮してしまう。こちらが意図的に隠してたのに・・。
何だかアルフレッド=クラウに逆に申し訳ないんですけど
「あのぉ、エメリア様の身に着けているコルセットが気になるわ!!後でご購入先を教えて下さいませんか??」
クリームイエローのドレスを着たカリーナが、キラキラした琥珀色の瞳で私を見つめていた。
「お母様が着付けやドレスなどのコーディネートをして下さったので、コルセットの購入先を聞いたらすぐにカリーナ様にもお教えいたしますね」
「わぁ・・。いいんですか?嬉しいです!!」
私はカリーナに頷いて微笑むと、一瞬見惚れたように止まって頬を染めていた。
「コホン・・、それでは、本題に戻しますね?
ここにいる皆さまは、私がリストアップをしてお声がけをいたしました。
ここからはトップシークレットになります・・。」
全員がエリオスに視線を向け、部屋の中には緊張が走った。
「カイル様と、エメリア様は「イムディーナの誓い」の誓約で誓った婚約の破棄を考えております。
我々は3か月後に行われる「イシーラの夜」の舞踏会で筆頭公爵・侯爵家からの婚約破棄の
同意書を提出したいのです。
時間も限られてますので、皆様のお力を是非ともお借りしたいのです」
「・・な、何故ですか??
誓いを破棄ってカイル様もエメリア様もですか?
ノア様とアデレイド様はご存じなの?!」
「同意書って確かに法律的にはその手段しかないけど・・。
実際に破棄した方を知りませんが・・」
エリオスの発言に、口々に声が上がっていた。
みんなが驚きや戸惑いを隠せない様子を見せた。
その反応がこの国では当然ですよね・・。
絶対的な宣誓を前にして、私も今までどれだけ苦労したことか!!
「「イシーラの夜」で、実際に婚約を破棄をした方々は今までの
数百年の歴史でも数組だと聞いておりますよ!?
エメリア嬢とライトゴールド侯爵のご子息であるノア様との結婚は来年の予定ですよね??
それに、今夜のパーティで婚約披露の儀を行ったばかりのカイル様に置かれましては・・。
何故、婚約破棄を望んでいるのです???」
仕立ての良い紺色のスーツに身を包み、黙って考え込んでいたアルフレッドが声を上げた。
「先ほどの様子だと、予定通りご成婚の運びとなると思っておりましたが・・。
何か不都合な出来事でも起こったのですか!?」
リリアもとても心配そうに私を見た。
「・・・皆様。お静かにお願いします。まずはこちらに目を通して頂けますか?」
エリオスがみんなを見渡して、座っていたソファからゆっくりと立ち上がった。
持っていた白い封筒を一枚ずつ配り始めた。
「封筒??」
「あら・・、何ですのこれ?」
それを受け取り、何気なしに紙の文面を呼んだそれぞれの表情が固まった。アルフレッド=クラウは飲んでいた紅茶を思い切り吹き出していた。
「ひぃっ!!あり得ないですわ」リリアは珍しく頭を抱えたまま大きな悲鳴を上げていた。
クロエとカリーナは、真っ青になったままソファで唯々項垂れている。
「あれ??私達の分はないのですか?」
わくわく封筒を待っていたのに、配られなかった私とオーブリーは不思議に思って首を傾げた。
カイルは何かを察しているのか目を閉じたま黙って足を組んでいる。
「不安で仕方ないのでお聞きしますが、あの封筒の中身って・・。何なんでしょうか!??」
「エミリア様は知らなくてもいい事ですよ。ふふっ、万事これで上手く行くと思いますよ」
一同にピリッとした緊張と、驚きが走った。
執務室の端にある濃紺の大きなソファに華やかなリリア、水をがぶ飲みしているクロエ、大人しく知的な印象のカリーナが座り、テーブルを挟んだ反対側のソファには、急遽参加が許された弟のオーブリー、学校の社交部の花であるアルフレッド、安定のエリオスが座っていた。
王宮の執事と侍女によって、丁寧にテーブルの上に高級なシナモンやバニラの香りが立つ紅茶が置かれていく。
芳醇な香りが部屋を満たしていた。
「リア、ご苦労様。クロエ=アスペクトと、オーブリーを連れて来てくれて有難う。エリオスも感謝していた」
紅茶のカップを持ち上げていた私は一人掛けの椅子に腰をかけたまま、横の椅子に
ドサッと腰かけたカイルの言葉に驚いて視線を向けた。
「お二人には全然敵いませんよ!!
たまたま話の流れで、クロエ達2人も「イムディーナ」の誓いに異議を持っている事が解って声をかけただけですし?」
「そうか・・。表立っては言わないが、あの誓いは百年以上前に作られた愚法だ。
選択の自由は、生きていく上で大切な権利で、命のような物だと思うからね」
「カイル様も、あの宣誓に思う所があったのですか?」
思いがけなかった言葉に驚いた私は目を見開いた。
「黴が生えた法律は今の時代を生きている者の自由を奪ってしまう。エメリアもそう思っているだろう?・・昔から、君は「あの法律には運命や浪漫を感じない!!」と怒っていたからな・・」
カイルはクスクスと何かを思い出すように、遠くを見つめて瞳を細めた。
「・・えーと??私が・・ですか??」
瞬きをしながら驚く。
私、表立って「イムディーナの誓い」の批判をしたっけ??
一応、この世界では絶対的な法律だったから外では批判していない筈だけど・・。
どっかで私が叫んでいたりしたのを、耳にでもしたのかしら?
「・・失礼致しました」
お茶を配り終え給仕を終えると、侍女達はそそくさと退出していった。
「後もう1名を呼んであるのだが・・。
もう時間も遅いので、話を始めさせていただこう。
こんな時間まで引き留めてしまって申し訳なのだが、私的な頼み事をしたいんだ。
筆頭公爵家・侯爵家、王族に縁が深い君達に、是非とも力を借りたい趣旨の相談があって
こうして残ってもらったんだが・・。」
「カイル様、この後は私エリオス=フォルステクトが詳しくご説明いたします。
・・皆さまは高位貴族階級のご令嬢とご子息様方なので、各家同士の交流や面識はあると思いますが・・。一応、各々の自己紹介後に、趣旨の説明をさせて頂きたいと思います」
この国では「イムディーナの誓い」が絶対的な法的強制力があるため、学校も基本的には男女別学で
社交部を通した交流の場面でだけ、年に数回のコミュニケーションを取ることが出来る。
幼少期は婚約者選定があるので、交流のお茶会を開くことも多かった。
10歳を超えた後は婚約者との結婚を目指して自己研鑽に勤しむことになるのだった。
舞踏会やお茶会はあるが、男女は目的を持った会話以外を持つことは好まれないのだ。
浮気されて心底男性不信だった私には、ほぼ男性と関わることなく悠々自適に過ごせた訳で・・。
そこは喜ぶべき慣習だったのよね。
自己紹介が私の番に来た時のことだった。
学校の社交部では人気者で、何度か交流もあった侯爵家の令息であるアルフレッド=クラウが声を上げた。
「初めてお目にかかりますよね??
見たことのない絶世の美少女がいると、会場でも様々な場所で御噂が立ち動揺が起きておりましたよ!!
あの、ご無礼を承知で伺いますが。どちらの家のご令嬢ですか??」
「何言ってるんですか?アルフと姉さんは、社交部で次年度の交流行事としてピクニックの企画を一緒に検討していたでしょう??」
オーブリーが呆れた声を上げると、アルフレッドは大声を出したまま驚いて椅子から立ち上がった。
「え?姉さん!?オーブリーの姉って・・。
まさか・・。え、えええっ・・!?
本当に貴方は、エメリアさんなのかい??
何処で売っているのか分からないような底厚めの眼鏡をかけて、地味な印象だったけど・・。
それにそんな妖艶な肉体じゃないでしょう!?
・・違いすぎでしょう、すんごい美人じゃないか・・。信じられないよ!!」
何だか若干、貶めている内容が入っていた気がしたけど・・。
よく言えば素直ってか、悪く言って愚直?
だから容姿を晒すのは嫌なのよね・・。
ノアと初めて会った時に学んだのよね
「えーと。はい・・。私、エメリア=グラディアスで間違いないです。どうぞ宜しくお願いします」
「アルフレッド=クラウ。
外見の差など重要か??
いつもは優雅に社交を上手くこなす君だが・・。
珍しく女性に対して信じられない失言の数々だな」
「いつもアデレイド姉さんばかり持ち上げているもんね??姉さん、馬鹿は気にしないで無視して!」
「あら。エメリアは元から可愛いわよ?
普段は意識して隠しているだけでしょう。
殿方は目に見える物ばかりで判断するんですもの。・・分かってないわよね―・・」
リリアが、ストロベリーブロンドの巻き毛を指に巻き付けていじりながらため息を吐いた。
「大変失礼しました!!
エメリア様の趣向の変わった美しさに驚かされましたよ。申し訳ありませんでした」
恐縮したアルフレッドから申し訳ないと謝罪を受けることになった。
嬉しいけど、みんなの必死の物言いに恐縮してしまう。こちらが意図的に隠してたのに・・。
何だかアルフレッド=クラウに逆に申し訳ないんですけど
「あのぉ、エメリア様の身に着けているコルセットが気になるわ!!後でご購入先を教えて下さいませんか??」
クリームイエローのドレスを着たカリーナが、キラキラした琥珀色の瞳で私を見つめていた。
「お母様が着付けやドレスなどのコーディネートをして下さったので、コルセットの購入先を聞いたらすぐにカリーナ様にもお教えいたしますね」
「わぁ・・。いいんですか?嬉しいです!!」
私はカリーナに頷いて微笑むと、一瞬見惚れたように止まって頬を染めていた。
「コホン・・、それでは、本題に戻しますね?
ここにいる皆さまは、私がリストアップをしてお声がけをいたしました。
ここからはトップシークレットになります・・。」
全員がエリオスに視線を向け、部屋の中には緊張が走った。
「カイル様と、エメリア様は「イムディーナの誓い」の誓約で誓った婚約の破棄を考えております。
我々は3か月後に行われる「イシーラの夜」の舞踏会で筆頭公爵・侯爵家からの婚約破棄の
同意書を提出したいのです。
時間も限られてますので、皆様のお力を是非ともお借りしたいのです」
「・・な、何故ですか??
誓いを破棄ってカイル様もエメリア様もですか?
ノア様とアデレイド様はご存じなの?!」
「同意書って確かに法律的にはその手段しかないけど・・。
実際に破棄した方を知りませんが・・」
エリオスの発言に、口々に声が上がっていた。
みんなが驚きや戸惑いを隠せない様子を見せた。
その反応がこの国では当然ですよね・・。
絶対的な宣誓を前にして、私も今までどれだけ苦労したことか!!
「「イシーラの夜」で、実際に婚約を破棄をした方々は今までの
数百年の歴史でも数組だと聞いておりますよ!?
エメリア嬢とライトゴールド侯爵のご子息であるノア様との結婚は来年の予定ですよね??
それに、今夜のパーティで婚約披露の儀を行ったばかりのカイル様に置かれましては・・。
何故、婚約破棄を望んでいるのです???」
仕立ての良い紺色のスーツに身を包み、黙って考え込んでいたアルフレッドが声を上げた。
「先ほどの様子だと、予定通りご成婚の運びとなると思っておりましたが・・。
何か不都合な出来事でも起こったのですか!?」
リリアもとても心配そうに私を見た。
「・・・皆様。お静かにお願いします。まずはこちらに目を通して頂けますか?」
エリオスがみんなを見渡して、座っていたソファからゆっくりと立ち上がった。
持っていた白い封筒を一枚ずつ配り始めた。
「封筒??」
「あら・・、何ですのこれ?」
それを受け取り、何気なしに紙の文面を呼んだそれぞれの表情が固まった。アルフレッド=クラウは飲んでいた紅茶を思い切り吹き出していた。
「ひぃっ!!あり得ないですわ」リリアは珍しく頭を抱えたまま大きな悲鳴を上げていた。
クロエとカリーナは、真っ青になったままソファで唯々項垂れている。
「あれ??私達の分はないのですか?」
わくわく封筒を待っていたのに、配られなかった私とオーブリーは不思議に思って首を傾げた。
カイルは何かを察しているのか目を閉じたま黙って足を組んでいる。
「不安で仕方ないのでお聞きしますが、あの封筒の中身って・・。何なんでしょうか!??」
「エミリア様は知らなくてもいい事ですよ。ふふっ、万事これで上手く行くと思いますよ」
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