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紙に書いた想い。

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・・・えーと。どんな話の流れでこうなったのか・・。よく分からないけれど。。。

変な注目を浴びるのは正直、しんどい。

とりあえず、針のムシロは嫌なので丁重にお断りさせて頂きましょう。

「申訳ありませんが、お断りさせて頂きます。」


「・・・っ、そう来るとは思ってたよ。」苦笑いを浮かべたエミリアンに私も気まずいリアクションを取る。

エミリアンに揶揄われたんだと思ったのだが・・・。一瞬傷ついたような表情を浮かべたのが気になった。

己惚れても恥ずかしいだけなので、多分気のせい。

とにかく!恋愛偏差値0の私への猫ボーナス半端ないです。


今のはアルベルト王子の婚約者で、ルナとカイザルの運命を変えるという使命を持っている。
殺される程愛されるか?殺してしまうほど愛されるか?

そんな間違った愛を否定し、違った未來の選択をするために。

「ふうん。成程ね。間違った愛か・・。貴方が成そうとしている物は多大な犠牲を払うことによってしか、成し遂げられるかもしれない程度の物・・。それでも貴方は自分の道を貫くのか?・・自分の命を懸けて?」

あ、今読まれた。
ぷうっと頬を膨らませて抗議してみる。

急にサイラスの顔が怒りに染まる。

「妹にこれ以上何も問わないでくれ。ルナの命はルナの物だ。何に命をかけようが、妹の考えた結果の選択だ。
他人にとやかく言われたくない!」悲痛な声のサイラスに皆が驚く。

珍しく声を荒らげた兄。
最近の兄は、一生懸命私を応援してくれたり、前を向けと励ましてくれる。
診療所も積極的に手伝いを乞うてくれる。兄は兄なりに、何か私に対して思うところがあるのではないかと感じた。

でも、兄の優しさも、アルベルトやカイザルの苦しみも全てを分かった訳ではないけれど、見えてきた未来が
実はあったのだ。

私なりの答えが。

この間の夜のお茶会で、虹色の猫が言っていた

の選択の時は近い。」と。

今の平和で幸せな生活は多分・・これから先の過酷な未来の選択前の充電時間・・。
戦いの前の静けさのような物だと。

「貴方はそんな力の使い方しか出来ないのですか?人を傷つけたり、試したりしてばかりだ。」
カイザルがルナの前に進み出て、庇おうとした。

エミリアンは、「そうだな。この力のせいで人が信用できなかったが、ここへ来て漸くそれは違う事に気が付いたのだよ。君たちは素直に人と向き合うことが出来て、お互いを大切にすることが出来る。
だけど、それは一見長所のようだが、短所にもなるのだ。選択には、情が入ると間違うことが多い。・・・そうではないか?」

エミリアンはアルベルトに向かって言った。
それをどんな意味で問うているのかは私には分からなかった。

「僕は、僕の大切な物を守ることが・・生きる意味だと思っている。それを守るために選択して来た。
苦しいこともあったし、悩んできた。だが、今までして来た選択を死んでも後悔しないと思う。
それだけは自信を持って言える。」

ルナの方を見て、空色の優しい笑みで「大丈夫だ。」と伝えてくれる。
私と同じ言葉だ・・・。同じ事を思って生きている人。
アルベルトの優しさにどれだけ励まされて来たのだろう。

一緒にいればいるほど、頼ったり、我儘を言って困らせたり、好きだ・・。と思うことに生きている喜びを感じる。それはルナ=フェナルデイの場合もそうだったのだろう。
カイザルがそうだったように・・・。

皆を幸せにしたい。その選択を間違えないで選びたい!!

「そうか、その覚悟があるのなら・・・。私が王太子の任命を受けるシェンブルグの任命式に君たちを招待しよう。」

エミリアンの提案に驚いた。

アルベルトとカイザルとルナの未来にシェンブルグが関係あるの?

私はエミリアンのアメジストの瞳を真っ直ぐに見る。
・・・・・大きく、静かに頷いた。

そうなんだ。このままアルベルトとの結婚式を静かに迎える前に、イベントが、、何かが起こるのかと思っていた。

そんな安易な考えではなく、エミリアンはここルーべリアではなくシェンブルグに答えがある。
そう言っているようだった。


「駄目だ!!それだけは・・止めてくれ!」


皆が一同に驚いた。
いつも平静なカイザル=エレンシュタットが声を荒らげた。

「カイザル様?どう・・どうしたのですか?」

ルナが心配そうに震える声で問う。

鋭い眼でエミリアンはカイザルを睨みつけた。

「お前の選択は、自分の物であって自分の物ではない。光か闇かの二択を背負い続けるのは地獄であろう。
そして、誰も巻き込まない選択などない。特にお前の背負う決断はな・・・。
どちらにしても、お前の大事な者は死ぬ。運命を変えるとしたら、一人で向き合うのではなく、皆で向き合う勇気を持つことではないのか?」


エミリアンの言葉の意味が呑み込めず、誰もが驚きを隠せずに彼を見つめていた。

カイザルは、一言こう言った。

「それでも、選ばない選択肢もあるのだ。私がここに居るのがそもそもの間違いなのだ。産まれてきたことでさえも・・・。」

痛みを堪えるように吐き出した。

「ちょっと・・。エミリアン殿下もカイザルも、分かるように説明してくれないかな。
それにカイザル、それではまるで遺言だ!死んでは駄目だ”お前が死ねばルナが悲しむ。僕だって、、。みんなが傷つく誤った選択をしたいのか?!」

アルベルトが黙ってられない!とばかりに会話に入り込む。

悩みながら傍にいたサイラスも、ポケットを漁り出して、一枚の紙きれを掴む。

「背負っている物がどれ程の物かは俺にも分からない。一概にカイザルの気持ちの否定も出来ない。重荷を楽にしてあげられるなら俺で出来る限りのことをする。
でも、きっと違うよな。
お前をもし救うことが出来るとしたら・・・。これだけだろうな・・・。」

サイラスがくしゃくしゃになった紙切れをカイザルに手渡した。

「それは・・・!」紙を目にしたアルベルトが焦った声を出す。

「?」私は状況が読めず、突っ立っている状況で・・・。

訝しげに受け取ったカイザルは、静かにその紙に目を走らせ文字を読む。

眉間に皺を寄せ、読み進めるほどに表情が険しくなりがくがくと身体が震えていく・・。

「・・・っなぜだ・・ばかな・・!!!」

サイラスは地面に視線を落としながら何も言わなかった。

アルベルトは目を瞑り、ぎゅっと自分の腕を握りしめていた。

読み終わった瞬間に、カイザル=エレインシュタットは涙を流しながらその場に頽れたのだった。

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