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異世界。

夢から覚めたら②

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そう言えば・・。
何で王子は大丈夫だったのか・・?

「えーと・・。多分私の中で・・・。男じゃないんですかねぇ?」

「・・・はぁ?!」

美形だけど、中世的な美形で造作が整いすぎていて、現実味ないんだよね!!
女装したら、絶対似合いそうだわ・・。

「おい!!美月・・・。失礼だろ?それに僕は女装なんか絶対にしないぞ!!!
しかも、王子に対して男じゃないって不敬だぞ・・・。
全く、君は言いたい放題だな!!」

「・・・すみません。素直な感想を伝えたまでなんですけど。
でも、女装は見たいです。絶対、似合いますって!!言われません!?」

「お前なー・・。言われないよ!!そんな連続不敬発言するのは、君ぐらいだ!!
それよりも、そんな調子でどうするんだよ?
夕方からの舞踏会では、男性と手を触れて踊るんだぞ。大丈夫なのか?」

舞踏会!?

聞いてないし・・!!!

手を繋いでダンスなんて、卒倒どころか昇天する可能性大でしょ!!?

「駄目に決まってます!!・・・私、眠いんで、このままここで寝ておきますんで大丈夫です!!
殿下はさっさと準備しに行って結構ですので。どうぞ、楽しんで来て下さい!!」

しっしと手を振ると、唖然とした表情のアルベルトが口を開けて私を見下ろしていた。

「エリカもハッキリ言うタイプだったけど・・。娘も、彼女にソックリだわ。
天は2物も3物も与えるとか、あの銀の月のように手の届かぬ麗しい王子様・・。
なーんて例えられているアルベルトがこの扱い・・・。」

「アルベルトが女性相手に、口開けて何も言えないなんて・・。
私に対してくらいかと思ってたのに。・・・強者つわものね!」

その様子を見ていたルナと、エリカは泣きそうになりながら笑いを堪えていた。

「舞踏会はダンスを踊らなくていいから、是非参加してくれたら嬉しいわ。
美味しいご馳走も出るし、もしダンスが不安だったらアルベルトと一緒にいればいいんじゃない?
私たちも会場にいるから、困った時は助けられるし・・。
アルベルトの妹であるルーベリアの女王様であるリリア様も、私の兄上のサイラス兄様も、貴方に会いたがっていたわよ!!」

ルナ王妃は、瞳を輝かせて微笑んでいた。

おいしいご飯・・・。
スイーツ大好きな私は、舞踏会のご馳走に興味はあるけど・・。

「おい・・。女の殆んどは、ドレスに着飾って舞踏会に出るのが人生の楽しみだと思っているんだぞ?
ドレスを着てダンスとか、素敵なロマンスとかには全く興味ないのか?」

だから・・、男性恐怖症だってば!!!

嫌そうに睨み付けると、アルベルトは納得したように目を丸めた。

「ああ・・。そうか、とことん不憫な女だな。」

「は?別に損してないですし。不憫でもなんでもないわよ。」

「男が怖いだなんて、可哀想だと同情しているんだ。
たかが、舞踏会やダンス、しかも触れるだけで怖いなんて・・同情するよ。」

「はぁ?別に、・・怖くないしっ!!!同情なんていらないわよ!!」

ギロリと睨みつけると、アルベルトは馬鹿にしたように口角を上げて微笑んでいた。
何故かカチンと来た私は、息を荒く王妃の方に視線を向けた。

「王妃様!!!私、舞踏会に出ます!!
・・・舞踏会の美味しいご馳走と、リリア様に興味があるので!!」

怒りに任せて、参加表明をしてしまった。

ルナ王妃と、エリカ様は「腕がなるわ!!」と大喜びでドレス探しに大急ぎで退出して行った。

「・・・ふーん。出るんだ? じゃあ、後でな!」

ニヤッと笑い、腕を組みながらアルベルトも自分の準備の為にその場を辞した。

「し、し、しまったぁぁあーーーー!!!」

わたしは閉じられた扉目がけて大声で叫び声を上げた。

最悪だ・・。

出たくないのに、出るって言っちゃったよ!!!

頭を抱えてベッドの上で悶えた。

負けず嫌いが災いし、この後私は非常に後悔することになる・・・。
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